78・悪足掻き
マリ視点6連発から開始です
☆
タツキとメソちゃんが来てくれた!
危ないところだったけど、形成逆転だ!
「タツキちゃん、ありがとう。助かっちゃった」
「マリ、此奴か? 坊主どもの勇者とかいうのは?」
『ええ、その娘が【勇者】シャルカールだよ。あっちの髭がゴドロワ』
『タツキもメソちゃんも来てくれて助かったよ』
「ナビに頼まれてな、間に合って良かったのだ」
「メソもアンナちゃんに頼まれたんだ。大変だったね、マリちゃんもアクラちゃんも」
『マリ、もう一度代わりましょう。ここからは貴女の方が良さそうよ』
『了解、アクラさん』
完全に形成は逆転した。
メソちゃんとキヒ姉さんの治癒魔法でシカも回復に向かっている。回復魔法を受け付けないアンデットであるシヴァルも種族特性である《自己再生》で粗方回復していた。
「あたたた、なんかヤバイ人達が来ちゃったなあ」
「どうします【勇者】シャルカール、まだやりますか?」
「いやいや、流石に逃げますよ。特にその竜人さんはヤバそうですし」
「我が逃がすと思っているのか?」
「私、逃げるのは得意なんです」
「では、逃げてみるがよい」
「ゴドロワ先輩もいいですよね?」
「クソがっ! 勝手にしろ!」
タツキとシャルカールが睨み合い、お互いに隙を伺っている。
「タツキちゃん、やっちゃえ!」
メソちゃんの声でタツキが動いた!
タツキが《影移動》でシャルカールの影から出現したが、シャルカールも《瞬間移動》でその場から消える。
タツキも直ぐに移動、速い! 向かった先にはカール王子の隣に出現したシャルカールがいた。
ビシュッ
カール王子の右腕を掴んだシャルカールに対して、タツキはもう右手の爪を振り下ろしていた。
タツキの爪がシャルカールを捉えた瞬間に、シャルカールとカール王子の姿が消えた。
タツキは戸惑う事なく直ぐに移動して、左脚で蹴りを放つ。その先にはゴドロワの隣に《瞬間移動》したシャルカールとカール王子の姿があった。
シャルカールは額から出血している。タツキの爪が掠っていたのだろう。
速過ぎて、私はタツキの姿だけを辛うじて目で追う。その追った先にはシャルカールがいるのだ。
タツキ自体は、シャルカールの移動先を確認してから反応している筈で、タツキの反応速度と反射速度が異常速い事を改めて思い知らされる。
ドゴッ
「くっ!」
タツキの蹴りがシャルカールを捉えた。しかし、シャルカールは蹴られながらも、カール王子を掴んでいる逆の手でゴドロワを捕まえる。
フッ
蹴られながら《瞬間移動》でシャルカールはカール王子、ゴドロワと共に姿を消した。直ぐにタツキも《亜空間移動》で後を追う。
アクラさんの《魔素感知》が2キロ先でタツキの存在を捉えた。同時にシャルカールの存在も捉えるが、シャルカールの存在は直ぐに消える。タツキの存在も追う様に消えた。
タツキの存在が4キロ先で現れたが、同時に捉えたシャルカールの気配はもう消えている。
タツキの存在も消えて、6キロ先で現れたが又直ぐに消えて、8キロ先で現れた。だが今度は直ぐには消えなかった。一白置いてからタツキの気配は、私の目の前に現れた。
「すまぬ、逃げられたのだ。移動距離は短いが厄介だな、あの《瞬間移動》とやらは」
「仕方ないわ、でも、タツキのおかげで概ね計画通りだし問題ないでしょ」
『マリ、報告したい事があるのだが』
『どうしたの、グライス? 王城の制圧は終わったの?』
『ああ、王城の方は問題ないのだが、王を含めた王族の姿がない。恐らくは既に脱出しているものと思う』
シャルカールが此処に来る前に逃がしていたんだろう。本当に厄介だな、あの勇者。
でもまあ、ラースの王族以外は全て捕らえた。私達の計画は成功と言えるだろう。
『逃げられたものは仕方ないわ。グライスはそのまま王城の安定に努めて』
『了解した』
私はラース王国側だった代表団の面々に向き直って告げる。
「皆さんには捕虜となって頂きます。これから戦後処理の話し合いの中で、駒となって頂きますので、そのおつもりでいてくださいね」
落胆するラース側だった代表団に、私は笑顔でそう宣言したのだ。
☆(シャルカール視点)
「げはっ、ごほ、ごほ。な、何ですかあの竜の娘は、速過ぎますよ!」
最後の蹴りで私の肋骨は5本も折れてしまった。世の中にはあんな滅茶苦茶な存在がいたんだと思い知らされます。
「お、おい、貴様、直ぐに戻れ! お、俺の王城が!」
「ああ、大丈夫ですよカール王子。王様をはじめ王族の皆様は脱出させてありますから。今から合流します」
「お、王、そんな者はどうでも良い。あ、あれは俺の城だ! 取り返せ!」
「いやいや、無理ですよ。今だって、やっと逃げてきたんですから」
め、滅茶苦茶な事言ってるな、何なのこの人!
「おい、馬鹿女!」
「何です、ゴドロワ先輩?」
馬鹿女って、助けてあげたのに、この人も大概酷い人だな。
「貴様の使ってる《瞬間移動》って、俺にも使えるか?」
「どうでしょうね、私の《瞬間移動》は後天的に得たスキルですし、ゴドロワ先輩も聖属性ですから、習得出来る可能性はあると思いますけど」
「そうか、なら俺に《瞬間移動》を教えろ! 貴様なんぞの力は借りねぇ、アイツらは俺がぶっ殺してやる!」
「まあ、教えるくらいはいいですけど」
私に教わろうっていうのに、何でこの人は、こんな態度なんだろう?
☆(ルタ視点)
「だ、駄目です、ルタ提督。持ち堪えられません」
「黙れ! 持ち堪えられんで済むか! 貴様ら聖騎士は何の為にいると思っているのか!」
俺が、俺様が、こんな所で終わってたまるものか!
「ルタ提督、メリカーナ教会と魔道具通信が繋がりました」
「良し、貸せ!」
魔道具通信員の手から引ったくる様に通話具を奪ったルタ提督が、必死の形相で話し始める。
「こちらベダム教会のルタ提督です。魔獣達に襲われています。脱出船の用意は出来ていますが、このままでは追いつかれる。メテス様に救援を求めます」
『メリカーナ教会の魔道具通信員のリックと申します。失礼ですが、メリカーナ教会では、ベダム教会を正式なプロステート派のギリス教教会とは認めておりません。他を当たって頂きたい』
「ば、バカな、ベダム教会は正しくプロステート派だ。俺はメリカーナ教会で洗礼を受けているんだ。き、貴様では話しにならん。総裁主、いや総裁主とは言わん、大監督に繋げ!」
『何度も言うようですが、ルタ提督、貴方は既に除名処分となっており、貴方が築いたベダム教会も当然認められるものではありません。通信を切らせて頂きます』
「待て、待ってくれ。せめて弁明を、俺に弁明の機会を与えてくれ! 大監督に繋いでくれればわかって頂ける筈なんだ」
『お繋ぎすることは出来ません。私にそのような権限は・・・。は、はい。どうぞ。・・・ルタよ、今更見苦しいとは思わんのか?』
「そ、その声、そ、総裁主、フリドリッヒ総裁主様ですか?」
『ああ、フリドリッヒじゃ。ルタよ、お主はわしらの言も聞かずに己の欲の為にラシリア大陸に渡った。今更、命乞いなど虫が良いとは思わんか?』
「ち、違います。決して欲の為などではありません。す、全てはプロステート派の為にした事です。信じてください」
『メリカーナ教会を出る時にお前は何と言った? ラシリア大陸におけるカソリーク派の隆盛を羨んだお前は何と言ったのだ? お前はメリゲン大陸を捨てて出て行ったのだぞ。あの時の言葉を今更無かった事になど出来ぬと知れ』
「も、申し訳ありませんでした。お、私が間違っていました。た、助けてください。もう一度私に機会を、機会をお与えください。め、メテス様にお願いしてください総裁主様!」
『お前のあの時の言葉は、そのメテス様に向けられたものだぞ、今更、・・・いや、しかし・・・』
『暫しそのまま待て、ルタよ』
な、何だ?
いや、何でもいい。このまま命乞いを続けるしかない。
昔話で聞いているだけだが、あの女は甘い。何とかあの女まで話がいけば助かるかもしれない。
それに俺の暴言をあの女は直接聞いた訳ではないのだ。あの女はまだ復活していなかったのだから。
『聞こえているかルタよ』
「は、はい、総裁主様」
『お前とわしの話しを、先程からメテス様は横で聞いておられた。お前に最後の機会を与えてくださるそうだ。メリゲン大陸に向かって脱出しなさい、きっとメテス様が助けてくださる筈だ』
「あ、ありがとうございます。必ず、今度こそ必ず、心を入れ替えてプロステート派の為に働きます!」
良し! 良し! やはりあの女は甘い、これで助かる!
「脱出船を用意しろ! 今すぐラシリア大陸を脱出する!」
生きてさえいればどうとでもなる。俺様ならば何とでも出来るのだ。
そうだ! あの甘い女を言いくるめて俺が操って仕舞えばいい!
大魔王の癖に甘いあの女【反逆の勇者】メテスを!
いやあ、長かったですね定例会議。1話1話の文字数も多かったし。
次回からは主人公ナスカ視点に戻ります。[転生5回目・・・]では初の大魔王登場回です。お楽しみに!
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【作者からのお願いです】
読者様からの反応を何よりの励みとしています。
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お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
↓
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




