8・こんな筈じゃなかったよね
ガチンコ胎児バラエティー
いろはに異世界!
ハッピバースデートゥーミー
ハッピバースデートゥーミー!
やっともうじき産まれられるな。
目的の街はもう目前らしいからね。到着まで産気づかないように我慢、我慢だ!
姉ちゃんと使用人夫婦の娘ちゃんも、目的地に着くのが嬉しいみたいで、二人ではしゃいでた。
この二人、仲良しさんみたいでよく一緒にはしゃいでるけど、今日は特に嬉しそうだ。
街に着いたらこの旅商人の一団も、ほっと一息つくだろうから、そのタイミングを見計らって俺様が華麗に登場!
俺様の誕生にみんな大喜び!って筋書きだ。
その時が待ち遠しいぜ。
しかしさっきからガタガタと随分と揺れるな。
この揺れは馬車の揺れだけど、いつもより激しい。
因みに母ちゃんが歩いている時は、もっとゆらっとした優しい揺れなのだ。
みんなも俺の誕生を待ちきれなくて、飛ばしてんのかな?
『火・は何処・・だ』
『旦那・、あ・・に煙が見・・す』
『・者君、も・・近・・・・れ。早・!』
なんか騒がしくなってきたけど、ガタガタして聞こえづらい。もっと大きい声で喋ってくれないかな。
『・・様、あれ・?』
『な・・こんな・に魔・が!しか・・群で』
『旦那・、・・以・は危険・・』
『・・っ、駄目・、こっち・向っ・来る』
『・・・んだ』
危険?向かって来る?何が?
うわっ!更にガタガタしだした。母ちゃん身重なのに大丈夫かよ。
『逃げ・・だ!もっ・急・・』
『なん・と、ガー・・ル・と』
なんだよ外の状況どうなってんの?
ガー・・ルってなんだよ?
ガー・・ル、ガー・・ル…。ガーゴイル?
『急い・、もっと飛ば・・・』
『も・・、・っとだ!飛・・・』
ガーゴイルってアレか?ゲームとかに出てくる竜みたいな奴か?あーもう、外はどうなってんだよ。
うわぁ。揺れ凄えし、こんなんじゃ母さん産気づいちゃうよ!
『駄目・、追い・・れる!』
『避け・・!』
【グアッシャアァァンッ!!!】
うわぁぁぁっ!なんだ!やられた?
馬車が転がったのか?
あぁ〜クッソ〜!状況がわからねえ〜!
『ゴガアァァー!』
なんだこれ?ガーゴイルの鳴き声か?
あ〜もう!コイツの声だけよく聞こえやがる!
『駄目だ、仕方な・。もう・るしかない!』
『旦那様、危険・す』
『あなたっ!』
『・前達は、逃げる・だ!早く!』
馬車が止まったおかげで、大体聞こえようにはなったけど、ヤバイじゃんこれ!
どうすんの?どうすりゃいいんだよ、俺!
『旦那様、剣・。私もお供・たしま・』
『しかし!』
『旦那様・ひとり・は無理です!』
『ポタミア!お前・奥様・子供達・連れて逃げろ!』
『てりゃあぁぁー!』
『うおおおぉぉぉー!』
『父ちゃ〜・!』
『パパァ〜!』
『あんたぁぁ〜!』
うおおぉっ!父さんとおっちゃんがヤベエ!
どうすりゃいんだよ。俺、まだ生まれてないんだぞ!
どうしろってんだよ、チクショー!
『御者さ・、しっかり』
『御者はもう駄目です。奥様お早く!あんた達もこっちに来なさい』
【ドガアアアァァン!】
『ぐわあぁぁ・・』
『くっそおおぉ・・』
『奥様早く、兎に角一度森に逃げ込みましょう』
『ポ・ミア!子供達・連れて先・行って!』
【ズガアァァアンッ!】
『きゃ・あ・ぁっ!』
『うわぁ・ぁ〜ん、う・えぇ〜ん』
少し前から父さんとおっちゃんの声が聞こえない。
やられたのか?
ちくしよー、せめて外に出たい。母さんたちのもとへ。
【ズギャァァァァッ】
『嫌ぁぁ・・ぁ』
ヤベエ、また転がされた!馬車ごと転がったのか?ヤバイよ母さん、逃げないと!
【ドスウウゥゥゥゥン】
[ズボッ!]
なんだっ!今、俺の身体がズレた?何?
どうなってんの?今、俺ってどうなってんの?
メリークリスマス
ミスターローランド!