71・シヴァルの両親と西側の情勢
俺達の計画に、諸国は賛同してくれた。
良い機会だから、エウデ様の言っていた大陸西側の動きについてもシヴァルに確認しておいた方が良いかもしれないな。
「シヴァル、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「おう、なんだよナスカ、改まって」
「いやさ、シヴァルって大陸の西側出身だろ、最近、西側に出来たばかりらしいんだけど、亜人の国で何か知ってる事ってある?」
「ああ、なんだ、クソ親父の作った国の事か」
「え、え、今なんて?」
「だから、親父が作ったヴァンレイン亜人国とかいう国の事だろう」
「ええ〜! 西側の亜人の国ってシヴァルの父親が作った国なの〜!」
クライムフォール商会の仕事は、アスリ獣国との関わるようになってから多岐に渡っている。
ここ、ゼブンス支店でもそれらの仕事に対処出来るように様々な施設が増築されている。
更に言えばここ、ゼブンスの街は元々宿場町として栄えた街である。
そのような事情から、クライムフォール商会ゼブンス支店には立派な宿泊施設も併設されている。
最終確認を終えて、ナスカ達は会議室から宿泊施設の大広間へ移動して、食事しながらの懇親会へと移行していた。
最初のシヴァルとのやり取りは、その懇親会での事である。
「どうした? ナスカくん。大きな声を出して」
「あ、すいませんミィージョ公王。シヴァルに西側に新たにできた亜人の国について聞いていたのですが、どうやらその国の王がシヴァルの父親らしいのです」
「王様じゃねえよ、ナスカ。あの怠け者はよ、王を名乗らずに代表と名乗ってるそうだぜ」
「ほう、それは興味深い話だな、シヴァルよ。僕にも聞かせてくれるかな」
「わたくしにもお聞かせいただきたいですわ、シヴァル王」
「かっかっか、そうですな、ワシらがこれからもアスリさんと付き合っていくには、大陸の中央部や西側の話も知っといた方が良いかも知れませんな」
「まあよお、別に隠すような事でもねぇし、俺は構わないぜ」
そう言ってシヴァルは話し始めた。
「ナスカよぉ、お前、300年前の【勇者】アイザーって知ってっか?」
「知ってますよ。四大魔王を倒した勇者の事でしょう」
「【勇者】アイザーの伝説なら、うちらの国のような極東の島国にも伝わっておりますなぁ」
ジホム皇国の【勇者】シカも話しに加わってきた。
「おうよ、そのアイザーなんだがよ、実は大して強くなかったらしいんだわ。ギリで勇者の資格はあったらしいんだがな」
「勇者種ってことやろかぁ?」
「おう、それだそれ、勇者種って言ってたな」
「勇者種?」
なんだ、勇者種って? 俺は聞き慣れない言葉に首を捻った。
「ナスカはんは知らんかったん? 強さを計る[闘級]いうのがあるんですわぁ」
「うちら勇者にも3段階の闘級があってぇ、勇者種、勇者、覚醒勇者、言いますのやぁ」
「魔王にも、魔王種、魔王、覚醒魔王、大魔王の4段階がありますよぉ」
「へ〜、初めて聞きました」
「うちは《闘級鑑定》いうスキル持ちですよってぇ、大体の強さがわかるんですわぁ」
「ここに集まってはる皆さんの中で闘級が英雄以上、魔物で言えば上位魔人以上の方で言いますとなぁ」
「うちとこのケヤス将軍とガリアはんとこのキヨナ女王様が英雄級やなぁ、ジベルトのブラドショーはんも上位魔人級やぁ」
「アスリはんとこのフェリはんは魔王種級やがぁ、魔王級に近い力を持ってはりますぅ」
「シヴァル王はんも魔王級やがぁ、覚醒魔王に近いですなぁ。マリはんは完全に覚醒魔王級やわぁ」
「そんでうちは覚醒勇者級ですぅ。ナスカはんは大魔王級やなぁ。覚醒勇者と大魔王は同じようなものやがぁ、ナスカはんの方がうちよりちぃとばかり力は上みたいやわぁ」
「へえ、スキル《闘級鑑定》ってなんか便利ですね」
「ちなみにやけどぉ、人間の限界は覚醒勇者の上の超人いう闘級らしいですわぁ。うちは見た事あらしまへんけどなぁ」
「ああ、それだそれ。俺のお袋の話では、親父が300年前にその[超人]だったらしいぜ。そんで四大魔王を全員倒したのは親父らしい、呼び名は【英雄】だったらしいがな」
「ええっ、じゃあ【勇者】アイザーって何した人なの? あ、そういえば亜人国を建国したのは人から魔物に転生してるって聞いたけど?」
「アイザーってのは親父のパーティーのリーダーってだけらしいぜ。それと300年前に親父を吸血鬼に転生させたのはお袋らしい、お袋は大魔王の幹部だったらしいからよ」
「はあ〜? 大魔王の幹部ってどういう事?」
シヴァルはその辺の事も詳しく話してくれた。
シヴァルの母親は、【酷薄なる悪魔】ディブロと【黒怒竜】ニーズヘイルの2体の大魔王の幹部を歴任した女吸血鬼で、シヴァルの父親がニーズヘイルを討伐した時に、ランスロードのパーティーメンバーだったアイザーとルフェイの二人と共謀してランスロードを吸血鬼へと変えてしまったそうだ。
その後、シヴァルの両親は結婚して、アザマ山というところの洞窟に隠れ住んだそうだ。
シヴァルの話しだと、父親のランスロードという人はのんびりとした暮らしを好む人物?らしくて、仕事もしないで洞窟で引きこもり生活を送っていたらしい。シヴァルはそんな父親に反発して、家出をしてラシリア大陸の東側までやって来たのだとか。
シヴァルが日頃から、怠け者が嫌いだとか、勇者になりたいだとか言っているのは、この父親の影響なんだろうな。
「かっかっか、変わったご両親ですね。ところでシヴァルさん、今の西側の情勢はわかりますか?」
「俺もこっちに来て大分経つから詳しくは知らんがな。大体のところで言うと・・・」
シヴァルの話しを要約するとこんな感じになる。
最西端に位置する国がスペルレイン女王国。勇者アイザーのパーティーメンバーは全員がこの国の前身であるスペルレイン王国の出身だが、四大魔王討伐後にパーティーメンバーでありスペルレイン王国の王女でもあったルフェイがクーデターを起こして乗っ取ったのが今のスペルレイン女王国らしい。
その東にあるのがドルツランド王国。勇者アイザーが四大魔王討伐後に興した国だそうだ。
その更に東にドワーフ王国がある。小国だが、優れた武具を所持し、アルツ山脈という天然の要害に守られた国らしい。
その東には、このラシリア大陸で最大の勢力を誇る北の帝国がある。その広大な領土は大陸西部にも届いていて、俺達のいる大陸東部と同じように西側にも圧力をかけているらしい。
アルツ山脈はラシリア大陸の西側を分断するように聳える大山脈で、そのアルツ山脈の北端にあるのがドワーフ王国なら、南端に位置するのが、この度建国されたヴァンレイン亜人国らしい。
そのヴァンレイン亜人国の東側は、中央部へと続く魔物の支配する地域であり、俺達のアスリ獣国と中央部を挟んで鏡合わせのような位置関係にあるらしく、立場的にも俺達アスリ獣国と似た立場になっているようだ。
ヴァンレイン亜人国の南にあるのがエフード王国。
国土の大半は砂漠地域らしいが、地下資源の豊富な大国らしい。また、この国の建国者は勇者アイザーのパーティーメンバーで、シヴァルの父親ランスロードの親友だったモルドという人らしい。
現在はこのエフード王国とランスロードのヴァンレイン亜人国にドワーフ王国を加えた3カ国で3国同盟というものを結んでいるらしい。
エフード王国の南側にもいくつかの小国が存在するらしいけど、有力な国はなく、纏めて西南諸国連合を形成していると言う。その纏め役としての立場もエフード王国が担っているらしい。
西南諸国は西の大陸と近く、復活し、西の大陸に拠点を置く大魔王、【破滅の堕天使】ルシフルとエフード王国との間で不可侵条約がヴァンレイン亜人国の仲介で結ばれたそうだ。
またヴァンレイン亜人国は、北のドワーフ王国と、復活し、北の大陸に拠点を置く大魔王【酷薄なる悪魔】ディブロとの不可侵条約も仲介したそうである。
どうやら、ラシリア大陸の西側にも大きな動きが起こっているようだ。
【古竜】エウデモル様の言っていた「世界が動き出している」という言葉は本当らしい。
俺達もまた、気を引き締めていかねばならないのだろう。
この[転生5回目・・・]と対を成す形で連載中の[能力はチート・・・]との接点が増えてきております。
どちらも独立して片方だけ読んでもわかる内容にしたいので、どちらもお読み頂いている読者様には、重複する話が増えていると思います。
どうか、復習だと思ってお読み頂きたいと思っております。
ポイント評価の仕方が変わったみたいです。
本文、後書きの下の☆☆☆☆☆をボチっと押すだけで良いそうです。
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お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
↓
https://ncode.syosetu.com/n8548fz/
互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




