68・勇者アイザーの伝説と四大魔王
「みんな揃ってよく来てくれた。礼を言うぞ」
「それに、タツキにナスカ、この山の北側を治めてくれた事にも礼を申すぞ、ご苦労だったな」
「いえ、エウデ様からの頼みやお話があるというのなら、いつでも来ますよ」
今日は古竜エウデモル様から、直々のお話があるというので、ブルジ山の山頂にやってきている。
前にも同じような事があったが、その時にはマリとメソはいなかった。
今回は皆んなでという事なので、俺、タツキ、マリ、メソの四人で、【古竜】エウデモル様とタツキの母親の【灼炎竜】ズライサラーマの話を聞きにきた。
『今回は私が一緒に聞いてても大丈夫なのかしら?』
『うむ、別に隠す事でもないのでな、アクラ殿にも聞いていただきたい』
そういえば、前の時にはアクラにも遠慮してもらってたな。
「ところでナスカよ、お前は勇者アイザーの伝説というものを知っておるか?」
「よくは知りませんが、話だけなら聞いた事はあります。300年前に四大魔王と呼ばれた最凶の大魔王を倒した勇者一行の話ですよね」
「そうじゃ、その勇者一行が倒した四大魔王なのだが、先日にその四人共に復活を果たしておる」
「へっ? 復活? 復活って、今も生きてるって事ですか?」
「そうじゃ、その四大魔王は冥界神バルデスの加護を受けておったようじゃ。そしてこのほど全員が復活を果たしておる」
「詳しく申せば、約2年前に東の大陸で【反逆の勇者】メテスが復活した。それから順に西の大陸で【破滅の堕天使】ルシフルが、北の大陸に【酷薄なる悪魔】ディブロが、そして先月の事だが最後の四大魔王である【黒怒竜】ニーズヘイルが南の大陸で復活を遂げたのだ」
「【黒怒竜】ニーズヘイル? もしかして竜族なのですか? それに【反逆の勇者】って?」
「うむ、【反逆の勇者】の事はひとまず置いておくが、ニーズヘイルとは如何にも竜族じゃ。かつて私が創造した33柱の1柱であった。今では不死性は失われて1頭ではあるがな」
「エウデモル様、そのことは私から」
「そうか、ではそうしてくれ」
「はい」
どことなく話辛そうなエウデ様に代わって、ズライが話し始めた。
「ナスカよ、前にエウデモル様より地上の管理がエウデモル様から創造神ゼースに移った事は聞いたな?」
「はい、伺っています」
「その折りに、その事に不満を待つ竜族も少なくなかった。そして竜族は三つの勢力に分かれてしまったのだ」
「その一つが私【灼炎竜】ズライサラーマが率いる10柱で、私達は【古竜】エウデモル様と共にあることを望んだのだ」
「二つ目の勢力が【絶風竜】ジュガイルの率いる10柱で、彼女らは創造神ゼースに敵対こそしなかったが自由を望み飛び去った。今は何処にいるのかもわからない」
「そして三つ目の勢力が【極氷竜】ドーマルマン率いる10柱だ。彼らは中立の立場を好み、創造神ゼースにもエウデモル様にも組しない事を決め、今は北の大陸で【酷薄なる悪魔】ディブロと共にいるようだ。だが、共闘しているわけではなく、エウデモル様や天界の動向を窺っているようだな」
「その三つ目の勢力であるドーマルマンの元にいたのが【黒怒竜】ニーズヘイルだ。彼は創造神ゼースに対しての敵意を隠そうともしなかった。中立という立場をとったドーマルマンに対しても不満を持ち、単身で創造神ゼースに対して敵対したのだ」
「復活した彼は、今度もゼースに対して敵対するだろう。それはゼースの創造した人間に対しても同様である。お前達とも敵対する可能性があるだろうと思う」
前にエウデ様が言葉を濁したのはこの事だったんだな。エウデ様にとつては身内の不始末みたいな物なのだろう。たしかに言い辛いのかもしれないな。
「すまんなナスカよ、わしの不始末であるのだが、お前達にも迷惑をかけるかもしれぬ。許せ」
「いえ、まだ俺達と敵対すると決まったわけではないですから、エウデ様が気になさる事ではありませんよ」
「そう言ってくれるか、ナスカは優しいのお、ホッホッホ」
「それで【反逆の勇者】とは一体どういう事なのですか?」
「うむ【反逆の勇者】メテスとは、その名の通り人間の勇者だった者じゃ。わしも詳しくは知らんのじゃが、ある事件がキッカケになり人間に反旗を翻し、創造神ゼースに対しても明確に敵対しておる」
「ナスカはラシリア大陸の東南諸国におかしな動きがあると申しておったのぉ」
「はい」
「ラシリア大陸の東南域は東の大陸と近い。メテスが絡んでくる可能性は充分にある。その事を心に留めておくと良いだろう」
「はい、肝に命じておきます」
「それに1年前の事じゃが、ラシリア大陸の西側で魔物の国が建国されておる。その国の王が、人間から魔物に転生した元勇者アイザーの一行の一人という事じゃ」
人間が魔物に転生? そんな事もあるのか?
このラシリア大陸は中央部に強力な大国が多い為に、東と西は分断されていて情報が伝わりずらい。俺も西の事情は殆ど分からないからなぁ。一度、西側出身のシヴァルに聞いておいた方が良いかもしれないな。
「世界が様々な方向に動き出しているようじゃ。ナスカよ、お主もその中心におる内の一人じゃ」
「これからは何が起こってもおかしくは無いぞ。それを一言伝えておきたかったのだ」
「ご心配ありがとうございます。これからはより慎重に行動することを心掛けていきます」
エウデ様には、いつも貴重な意見をもらえる。他の獣の皆んなにも伝えておいた方が良いだろうな。
☆
「貴様も何か知っているのではないのか、精霊ティルベルよ」
「なんだ、うちのことに気がついてたんだ、古竜はん」
「天界はどう動くつもりじゃ?」
「天界の事なんて知らないわよ、うちはあくまでデアミタル様の眷属だからね」
「で、お主はいつまでわしの元にくっついているつもりじゃ? 言っておくが、わしはナスカに任せておるからのぉ、わし自身が動く事なんぞないぞ」
「精霊はうちだけでないので、いいんよ。それにうちもあのナスカって子はちょっと気に入っているしね」
此奴らも何を考えておるのかわからんのぉ。
ナスカよ、呉々も注意して行動するのじゃぞ!
[能力はチート・・・]では何度も出てきている、勇者アイザーと四大魔王の話です。
[転生5回目・・・]ではやっとの話になりますかね。
両方とも独立した話に仕上げる為に、ちゃんと説明したいのですが、書いてる方としてはどっちにどう書いたかわかんなくなりそうで怖いです。
読者の皆様の方で、あれ、ここおかしくないって思ったらご報告いただけると嬉しいです。
☆
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読者様からの反応を何よりの励みとしています。
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お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
↓
https://ncode.syosetu.com/n8548fz/
互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




