66・北の山から20'冬
ブルジ山の管理を俺が一括して行う為に、ブルジ山の北側に出向きます。
エウデ様からの依頼を完遂する為に、ブルジ山の中腹の西北部へと向かう。
アスリ獣国からのメンバーは、俺とタツキ、それに近衛隊のルル、リリ、キキ、トトの予定だったんだけど。
『狭いでやんすよルル、ちょっと退くでやんす』
『ルルくん、おっきいよ〜、ポンキチくんも騒がないで』
『2頭が無理矢理入ってきたんですから、文句言わないでくださいよ。ここはいつもの自分の席ですから』
はあ〜、ついて来ちゃったんです。自称、近衛予備隊の2頭。ポンキチとラスリルが。
で、今は俺の影の中で騒いでます。影は入ってしまえば中は広いはずなのに、狭いとか文句ばかり言ってます。
まあ、2頭は小型の魔獣なんで、あっという間に大きくなって自分達を抜いていった、ルルへの文句(嫉妬)なんですけどね。
リリ、キキ、トトの三つ子三姉妹は、タツキの影に潜ってます。まあ、あの3頭は日頃からタツキのことを姉御と呼んで慕ってるので、嬉しそうでしたよ。
今回は、新しく仲間入りしたコイツらも一緒です。
「お初に〜お目に〜かかりますわね〜、ナスカ様〜。エウデモル様より〜ブルジ山の〜中腹の〜東北部を任された〜、霊獣〜シザータートルの〜、シザーラージャです〜」
ブルジ山中腹東北部の管理者のシザーラージャさん。
今は人化してるので身長は168センチだが、獣化すると20メートルにもなる巨大な亀さん。しかも両前足がガザミのような巨大バサミなので、見た目のインパクトは絶大です。
非常にのんびりした性格と話し方で、タツキの説得をのらりくらりと躱し続けたらしい。
タツキ曰く、硬かったのでかなり本気でぶん殴ったとの事。タツキのかなり本気って、相当だよな。
「母はいつものんびりしているものですから、イライラされたことと思います。すいませんでしたナスカ様。娘のシザキです。今後ともよろしくお願いします」
「妹のシザールだよ。あちきもタツキ様に名前をつけてもらったんだ。とっても気にいってるし、とても覚えやすいって評判良いんだよ。それでね、あ、そうだ、よろしくお願いしますナスカ様。それでね・・・」
この2頭がシザーラージャの娘達。しっかり者の姉とあわてんぼうで早口の妹。そこにのんびり屋さんの母親ってどんな家庭環境なんだ?
他にも東北の森の住獣で、シザータートルに守護されている2種族からも、代表が来ている。
「自分はザリと申します。幻獣グラウンドロブスター族の族長を勤めております。これからはナスカ様のお役に立てるよう精進致します。どうぞよろしくお願い致します」
「あたしはクネール。魔獣アラクネスパイダーの族長よ。東北の森のことなら、なんでも仰ってくださいな」
「クネールの娘のクネクモです。あたしはナスカ様の作ったアスリ市を、是非ともこの目で見てみたいと思っています。よろしくお願いします」
タツキの話だと、ブルジ山の東北の森はかなり変わったところらしい。幻獣グラウンドロブスターと魔獣アラクネスパイダーという、共に珍しい魔物が共存しているのだという。
幻獣グラウンドロブスター。海ではなく、陸に住む陸海老である。
幻獣種なので当然、獣人化の能力を有している。普通の幻獣の獣人化は獣色が強く、姿が人型になるだけで顔や体毛などはそのままである。
しかしグラウンドロブスターの場合は顔も変わる。甲殻はそのままだが、尾が少し短めになり二本足に二本の腕になる。手はハサミのままだが顔も人間らしくなり、その額から2本の長い触覚が伸びているのだ。
そしてこのグラウンドロブスターの若き族長であるザリは、名付けによって、ブルジ山中腹の四獣に近い戦闘力を持った。
今回の遠征で、ブルジ山周辺の管理が完了したら、ブルジ山の北の麓にもアスリ市のような複合都市を作る予定だ。
ザリには一団を率いてその都市の防衛の一翼を担ってもらうつもりでいる。
魔獣アラクネスパイダーという種族も大変変わっている。下半身は蜘蛛で上半身は人型なのだ。人型の部分を持つ魔物は普通、魔族か魔人なのだが、アラクネスパイダーはれっきとした魔獣だ。
この、アラクネスパイダーは絹糸に似た性質の糸も出すことが出来るので、新たな特産品を創り出せる可能性を持っている種族なのだ。
シザーラージャの長女のシザキが非常にしっかり者なので、新たに作る街のまとめ役としても期待している。
まあ、何にしても、西南部をしっかり纏めてからになるけどね。
「こちらこそよろしくね。俺はみんなが幸せに暮らしていけるようにしたいだけなんで、あまり、畏まらないでね」
そういうわけで、いつものメンバー+6頭で西南部に向かっています。
新メンバー達は、まだ亜空間トンネルが使えないために、東北部で合流してからは、東北の森から中央平野を通って西北の森に抜けた。
西北の森の入り口で、3頭の魔獣が俺達を待っていた。
「おう、出迎えご苦労さんなのだ」
その3頭の魔獣に向かって、タツキが話しかけた。
「いらっしゃいませタツキ様、それとナスカ様ですね。わいは西北の森を任されとります、魔獣マナバイソンの族長です。以後よろしく」
「こっちは、お引き合わせをしとこと思いまして連れて来ました、娘と息子です」
「「よろしくお願いします」」
「ナスカです、よろしくお願いします」
「早速だけど、中腹の西北部まで案内してくれる」
「元々そのつもりでお迎えにあがりました。どうぞ、こちらです」
西北の森の奥地まで進む。この森はブルジ山周辺の森の中で、もっとも美しい森だと思った。とても水源豊かな森だったのだ。
幾多もの湧き水が流れ、綺麗な泉へと注いでいる。
小川にも澄んだ水色が流れ、幾重もの白糸のような滝が落ちる。それ故か、森の緑も色鮮やかだった。
その美しい森を抜け、山道に入る。
山は森とは対照的に険しかった。その険しい山を登ること3時間。中腹の古い火口跡に到着した。その火口は小さな湖となっている。
その湖に3つの影が浮いていた。
「俺の管理地にようこそナスカ殿、タツキ殿も無理を言ってすまなかったな」
「我は別に気にしていないのだ、それよりもお前、我との約束は守るのだろうな!」
「もちろんだ! ナスカ殿が俺の主人たり得る者ならば、喜んで仲間になるさ」
「どうも、俺がナスカです。そちらのふたりは貴方の子供ですか?」
「ああ、俺の息子と娘だよ。仲間になるとなれば、コイツらも無関係ではないからな。自分達の目で見極めさせるつもりで連れてきたんだ」
「なるほどね、じゃあ、俺がお前達3頭に勝てばいいのかな?」
!!!
「はぁ〜、お前、今なんて言った?」
やっぱり怒ったなぁ、でもこの方が早いだろうからな。
ブルジ山北側の魔物、揃い踏みです。
次回は14歳になったナスカの初の戦闘です。
ご期待下さい。
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
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