61・グライス&シヴァルVS2体のキマイラ
俺達アスリ獣国のイスラン加盟が認められた。
だが、その直後に真イスリーン王国国王ズハが立ち上がり宣言する。
「我が真イスリーン王国は、国王ズハの名においてイスランからの脱退を宣言する!」
「そうですな、こんな連盟に未練もない。我がアナデリ族長国連邦も共に脱退いたします」
ズハ王に続いて、アナデリ族国のストイコフ族長も立ち上がり、脱退の意思を伝えた。
「何を言っているのですか、あなた方は。議長国の代表として一方的な脱退などは認められない」
ラース王国代表の言葉など歯牙にもかけずに、ズハ王は言葉を重ねる。
「此方は貴様らの承認など求めていないのだよ、なあストイコフ族長」
「勿論ですよ、どうせ二度と会う事もない奴らですからな」
「トガシン公爵!」
「はい。国王陛下のお言葉通りに」
ズハ王の目配せとともに指名された、トガシン公爵が立ち上がり、懐から何かの装置を取り出す。
「くたばれ、クズ共が!」
カチリ
「うぎゃああわあわあぁぁ」
「ひぎいぃぃぎゃいぃぃぃ」
トガシン公爵が何かの装置を起動させた。途端に二人の男が胸を押さえて苦しみだす。
真イスリーン王国選出理事とアナデリ族国選出理事の二人だ。
メキャメキキメキメキ、メキリ、メキメキ
「ひぎゃあぁぁうあうあぁぁぁ」
メリイメシメシリィィ、ミシリ、メシリィィ
「うぎいぃぃりゃぃぃうりゃぃ」
絶叫を続ける二人の身体が、変形しつつ盛り上がっていく。痛々しい異音をたてながら変形、変質を続ける身体はどんどん巨大化していく。
「クソ野郎が!」
シヴァルが一人を掴んで窓から飛び出し、中庭に叩きつけた。王城前広場の方が広いが、人が大勢いるために中庭を選んだのだろう。
俺がもう一人を連れ出そうと近づくと、誰かに肩を掴まれた。
「俺がやろう、貴様は王様だろうが、ここで見物してろ」
グライスがもう一人を窓から放り投げ、後を追うように飛び出す。上空から男を中庭へと蹴り落とし、自らはゆっくりと静かに着地した。
「へえ、おまえが来たのかグライス」
「最初から二人掴んで出れは良いだろう。手間を掛けさせるなシヴァル」
中庭に変質を続ける二人に向かい合うかたちで、二人のイケメンが並んで立っている。
一人は銀髪の吸血鬼、一人は金髪の聖獣グリフィン。
共に長髪長身の色男。闇の貴公子は爪を伸ばし、光の貴公子は獣化を始める。
その二人の前には変質を終えた2体の魔獣。
ヌエとベヒモス。共に10メートル近い巨大なSランクの魔獣だ。
『確かに元はヌエとベヒモスですが、あれらはキマイラ。合成魔獣です』
『どういう事、ナビさん』
『鑑定の結果、バジリスクの細胞が混ざっています。方法はわかりませんが、それを圧縮して魔道具に詰めたものを人間に埋め込んだと思われます』
『結果、現在の状態はヌエとベヒモス、それぞれにバジリスクと人間を混ぜたキマイラとなっています』
『ふ〜ん、気持ちのいいもんじゃないね。マリ姉とメソはどうしてる?』
『異変に気づいて向かっていましたので、王城前広場に被害が向かぬ様にそちらをお願いしました。キュービとキヒにも中庭の監視をお願いしています』
『仕事が早いね、ナビさん』
『当然です』
おっと、そろそろ始まりそうだな。
「俺の邪魔すんなよグライス」
『そちらこそ私の邪魔をしないことだ』
「ダークネススクエア!」
中庭をすっぽりと四角い立方体が包み込み光を遮断する。
「暗いか?」
『別に問題はない』
シヴァルは光が苦手なんだろう。でもまあ俺達には問題ない。俺も見えてるし。
シヴァルが低く構え飛び込む体制をとる。
『サンダーフレア!』
ピシャアアァァン、ドゴオオォン
グライスの放った雷がベヒモスを直撃し大爆発を起こす。ベヒモスの全身は灼け爛れていた。
だが、ベヒモスの身体は少しづつ修復されていく。再生能力か、厄介だな。
「眩しいじゃねえか、この野郎」
シヴァルが飛び込む体制のまま、固まっている。
逆にヌエが飛び込んできた。
ドス、ギャシアシャシャー
シヴァルはヌエの爪を躱して、肩口に爪を突き刺した。そのままヌエの右前脚を爪で引き裂く。
ヌエの右前脚は引き裂かれて、数本に枝分かれている。が、こちらの傷も少しずつ塞がっていく。
ブワアアァン
シヴァルが自分の首を斬りつけ、自らの黒い血液を撒き散らす。血を浴びたヌエは自由を奪われている
『翼に黒いモノを付けるな! 馬鹿か貴様は!』
爪を構え、上空からベヒモスに向かって急降下していたグライスの翼にシヴァルの血がかかった。
グライスは力を失って降下した。
ベヒモスのその巨体がジャンプした。着地したグライスに向かって、巨体を生かしたプラス攻撃を仕掛ける。
「ライトニングアロー!」
ドシャイィィィン
グライスの放った光の矢が、眩い光を放ちながら部屋の胴体を貫き迎撃した。
「眩しいって言ってんだろうが、てめえは」
ヌエに攻勢をかけていたシヴァルの手がまたしても止まる。シヴァルはバックステップして、なんとかヌエから距離を取った。
「邪魔すんじゃねぇよ、こら!」
『貴様こそ私の邪魔をするな!』
だめだこりゃ。
二人の相性は最悪だな。どちらも力ではキマイラを凌駕しているのに、互いが互いの足を引っ張っている。
今も優勢に闘ってはいるが、いいところで邪魔が入り決め手に欠ける。その間にキマイラ達は再生するの繰り返しだ。
『どうしようかナビさん、これって俺も行かないと終わらないんじゃない?』
『いえ、マスターより先に、あっちの二人が痺れを切らせたようです』
「グラウンドウォール・プレス!」
「アイスドジュエルロック!」
巨大な4つの土の壁に囲まれたヌエが、狭められた壁によってペチャンコにされた。あそこまでぐちゃぐちゃに潰されては再生も不可能だろう。
ベヒモスの方は完全に氷漬けにされている。カチンコチンで再生もなにもない。
「何やってんの二人とも、ちゃんとしないとダメでしょ!」
「グライス、あなた真面目にやってるの!」
マリ姉とメソの乱入で、一気に方がついた。
あ〜あ、グライスの奴、マリ姉に怒られちゃってるよ。
可哀想に・・・。
☆
「ご苦労だったなガブニール」
「いえ、しかし良かったのですか? このような者達を脱出させてしまっても」
セントラルチェン市より15北の森の中に4人の人間が転がっている。真ニスリーン王国とアナデリ族国の代表達である。
「確かにこの者達は、人として逸脱した行為を繰り返しておる。だが、あの者への対抗勢力は必要なのだ」
「奴等の復活も始まっておるのだ。駒は多い方が良い」
「わかりました。我らの痕跡は全て消した上で記憶も改ざんしておきます」
「うむ、頼んだぞ」
「は、創造神ゼース様」
奴等の復活は我にとって非常に目障りだ。バルデスが何か仕掛けてするやもしれぬ。
あの男にも監視を付けるべきかもしれぬな。
グライス&シヴァルの活躍?回でした。
設定上、グライスとシヴァルはマリとメソより遥かに強いんですけどね。
特にグライスは、タツキに次ぐ実力を持つ貴公子的なキャラとして生み出したのに、どんどん不遇になっていってる。
すまんグライス、そんなつもりはなかったんだ。
次回で第2章も終わりです。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
☆
キュービです。
私もキヒと共にこの場にいたのですが、出番はなかったですね。
まあ、私達テイルズフォックスは戦闘向きではないですから、仕方がないですね。
この後、私はイスランの理事に、キヒは駐在大使に任命されるようなので、そちらの方でアスリ獣国の為に頑張ろうと思います。
私達のアスリ獣国の発展に期待する。
アスリ獣国の繁栄を願ってくれる方はポイント評価をお願いします。
私達も頑張りますので、応援、よろしくお願いします。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
↓
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




