55・輪になって踊ろう
昨日は、深夜の投稿だったにもかかわらず、多くの方々にアクセスしていただき有難うございました。
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これからも自分が面白いと思うものを、自信を持って書き続けていきますので、応援よろしくお願いします。
「それでだな、ナスカ」
「来月行われるラシリア大陸東南諸国連合の定例会議について、俺の知っている事を事前に教えておいてやる」
「俺?」
「んっ、ああ。そこはまあ気にすんな」
「気にするなって言われても」
「前にガネーボウのおやじにな・・・」
マルサン公王は昔、亡くなったガネーボウ公爵から「お前の話し方は貴族として下品過ぎる、せめて自分のことを俺と言うのはやめろ」と注意されたらしい。
それ以来、自分のことを「私」と言うようになったという。
だが、自分の中ではずっと違和感があったようで、公王になったこの機会に、俺に戻す決心をしたそうだ。
自分から聞いておいてなんだが、まあ、どうでもいい話だな。
今日はみんなで、街の郊外にある公王の本宅に来ていた。
セコードの街中には城もあるが、とても小さな城で、都庁舎の建物の方が断然に大きい。
現在も城は騎士隊の駐留所兼訓練所としてしか使用されていない。
公王となったのだから、城を大きくして居を移すのかと思ったが、その考えはないみたいだ。
執務室も都庁舎においたままで、公務も住まいも今迄通りに過ごしたいそうだ。
マリとメソは公王宅に着くなりミドリに引っ張られていった。
公王とこれからの事についての話し合いが、色々とあったのだが、今も聞き耳を立てているアクラやアンナに後で聞くからいいそうだ。
ミドリはルルも連れていこうとしていたが、ルルは頑なに俺から離れないので早々に諦めた。
代わりに「人化するな」と念を押されたポンキチが、モフモフ要員として連れていかれた。
俺と公王は話し合いを始めた。
ルルは「今日は一緒にいる」と約束した俺の膝の上で終始ニコニコしていたが、俺達が難しい話を始めると直ぐに、す〜す〜と寝息を立て始めた。
今も俺の膝の上でグッスリとお休み中である。
ラシリア大陸東南諸国連合。
その名の通りラシリア大陸の東南域にある小国が集まって作った組織である。
表向きは経済援助や国同士の貿易制度について話し合う組織であるが、実際には北の帝国に対抗する為に作られた組織だ。
そのラシリア大陸東南諸国連合(通称ES RUNの頭文字をとってイスラン)の来月開かれる定例会議で、南ニスリーン連合公国と俺達の獣の国(正式名称アスリ獣国)の加入の是非が問われる事になっている。
俺達は、その為の打ち合わせを行なったのだ。
「では、その様な段取りでいいな」
「構いません。当日はよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ宜しく頼む」
「話は変わりますが、クライムフォール商会の事でお願いがあるのですが・・・」
俺は、クライムフォール商会とセコード中央孤児院の移転の件を、マルサン公王に話した。
「そうか、商会の事はテスから聞いていたが、孤児院でも移転を考えていたんだな」
「その事とも関連がある事なんだが・・・」
公王の話では、他にも俺達の新しい国についての問い合わせが殺到していて、その中にも転居を申し出ている人達がいるらしい。
その理由については、元々の俺達の知り合い、新しい国のビジネスチャンスを掴みたいと思う者、魔物の戦闘力を背景にした平和な国作りに期待する者と様々だ。
そうした人達を積極的に受け入れて欲しいと、公王が申し出てきた。
公王が、自らの国の民の流出を申し出てきたのには訳があった。
先ず一つには、今回の内戦でマルサン公国の街は荒れた。その復興に金がかかる事。
二つ目に北部の人達の、マルサン公国への流入だ。
北部では、南部との争いの他にも、北部内での勢力争いがいくつも勃発したらしい。
そうした争いのキッカケを作ったズハ政権を嫌って、南部側へと亡命してくる人達が今も増え続けているという。
その亡命者たちの全てを受け入れるのは、今の疲弊しているマルサン公国では難しいらしい。
その問題を更に大きくしたのが、ハーテノンの一件だ。
俺達がドルベ公国攻略戦を行なっていた時の事だ。
ハーテノン奪還に意欲を燃やしていたアンタン子爵がゲルキメン男爵を伴って、ハーテノンへの強襲を進言してきた。
マルサン公王はその進言を受け入れ、俺達もググ達兄妹とゴブークにその作戦を支援する事を命じた。
ハーテノンに突入した南部軍は、そこでハーテノンの現状を目撃し愕然とした。
12年前に壊滅したハーテノンは、ドガシン伯爵の手によって復興が成されていた。
しかしそこにあったのは街ではなく、軍事施設。
軍事基地と、その基地に併設された魔道具を始めとするあらゆる物を軍事利用する為の研究所だった。
そしてそこには、軍事関係者以外にも多くの人間がいた。まるで奴隷の様に働かされていた人達が。
アナデリ族長国連邦。
ニスリーン王国の東に位置する国であり、ウデア族、ヤナイ族、オロノチ族、ザス族他、多数の民族で構成された連邦国家だ。
アナデリはイスランに加盟している独立国家だが、その実情は帝国に族国扱いを受けていると噂されている。
ハーテノンで働かされていた8000人もの人達は、このアナデリから強制的に連れてこられた人達だったのだ。
ハーテノンを強襲した南部軍は、この事実を知り激怒した。
怒りのままに軍事施設を壊滅に追い込んだ南部軍だが、解放した8000人もの民間人を抱え込む事となった。
その為、それ以上の戦闘行動は不可能になり、解放した8000人を連れてファスルトに帰還した。
その8000人は今もファスルトに滞在していて、ほぼ全員がアナデリに戻る事を望まずに、亡命を希望しているのだ。
「確かに俺達の国は人的資源を望んではいますが、受け入れる施設も無ければ金もないですよ」
「ファスルトのアナデリ人に、その事は伝えてある」
「不自由は覚悟しているし、そんな事よりも新しい国でのやり甲斐の方が大きいと言ってきているよ」
「他の亡命や転居希望者達にも、お前達の現状は伝える」
「それで納得出来ない者達は、公国が全力で受け入れる」
ふ〜。責任重大だな。
でもやるしかないか!
「わかりました。俺達も全力で受け入れますよ」
「それとな、ゲルキメンも男爵位を返上したいと言ってきた」
「村長が!」
「ああ。お前達の建国の手伝いをしたいとさ」
「お前達が奴を受け入れるなら、俺は返上を受理するよ」
「村長が手伝ってくれるなら、心強いです」
「喜んで受け入れますよ」
また、忙しくなるな〜。
みんなにも頑張って貰おう。
俺の仕事は先ずはラシリア大陸東南諸国連合定例会議だな。
☆
「報告は以上です。ゼース様」
「わかった。その会議に関する事は全て把握するように」
「はい。私、自らが潜入します」
「頼んだぞ、ガブニール」
「天使長の名にかけて!」
あの者が国を持ったか。
あの者の能力からすれば、それは当然の流れだろう。
しかし、そのタイミングで奴等の内の一人が復活した。
定例会議とやらでは、あの者とあの男の息子が顔を合わせる事になる。
他にも気になることがある。
あの者の能力が進化の兆しを見せ始めている。
あの者の持つスキルも進化するかも知れん。
その中でもあの《根性》というスキルは危険だ。
あのスキルには更に途轍もない力が秘められているのかも知れん。
世界が動き始めている。
創造神たる私の予測よりもずっと早い速度で。
☆
マルサン公王との話し合いが終わった後に、みんなでご飯を食べに行きました。
内戦を戦い続けた直後の建国のドタバタで、しばらくゆっくりする暇もなかったので、たまにはと豪華な料理を注文しました。
ルルは目の前に並ぶ豪華な料理に、目を輝かせて食べ始めたが、昨日の事がよっぽど疲れたのか、食べながら寝てしまいました。
それを見たポンキチが「あっしがルルの分まで食べやす」と言ってガツガツと食べました。
結果、ポンキチは食べ過ぎで倒れましたとさ。
獣の国に人が沢山増える事になりそうです。
当然ですが、支配地域内の知恵ある魔物達はそれ以上に増える事になると思いますよ。
ルルが楽しみにしていた食事会はもっとガッツリ書く予定でしたが、説明パートが思ったより重くなってしまったので、ダイジェストでお送りしました。
ラシリア大陸東南諸国連合ですが、東南はsoutheastではなくeast southとさせていただきました。
East South Rasyria United Nations でイスランです。
☆
ゴブークでござる。
拙者はこれからもナスカ様の家臣として、精進していくでござる。
拙者にももっと活躍して欲しい。
拙者の活躍をもっと見せてくれという方がおられたらポイント評価をしてもらいたい。
これからも応援を頼むでござる。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
↓
https://ncode.syosetu.com/n8548fz/
互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




