37・内乱勃発
セイメンからファスルトが魔物に襲われているとの報告があったが、途中で通信が切れてしまった。
その後も回線は復旧していない。
ファスルトは今どうなっているのだ。
「第3騎士隊の準備が整いました。今すぐ出発出来ます」
「ご苦労。思ったより早かったな」
「朝方だったのが幸いしました。全員の所在を容易に掴む事が出来ましたので」
「良し。直ちに出発させろ。騎馬騎士を先行させるように」
「はっ」
恐れられていた事態ではあるが、まさかこれほど早く起きてしまうとは誤算だった。
間に合ってくれればいいのだが。
「この先、何が起こるかわからん。第1・第2騎士隊にも待機させろ」
「物資の備えはどうだ?」
「はい。武器・兵糧共に万全です。騎士隊を招集待機させます」
今は私が直接動く事は出来ん。
せめて通信だけでも回復してくれれば状況が掴めるのだが。
私が色々と思案しているところに通信員が駆け込んできた。
「どうした、ファスルトと通信出来たのか?」
「いえ、ファスルトではありません」
「・・・・・・王都からです」
またか!
通信員が青い顔をしている。どうせ碌な話しではあるまい。
「申せ!」
「いえ、ですが」
「いいから話せ! 待たせるな!」
「はい。・・・・・・国王様より・・・」
「国王様より領主様の、その、貴族位を、剥奪するとの通達が届きました」
「・・・何。・・・何だと!」
「・・・・・・」
「全文を読み上げろ!」
「はっ、マルサン公爵・ミイージョ公爵・ガネーボウ公爵の爵位を剥奪すると」
「三公爵全てか?」
「はい、ならびにヌドゥリウル侯爵の爵位を剥奪し、マルサン公爵・ミイージョ公爵・ヌドゥリウル侯爵は領地を没収の上に追放」
「ガネーボウ公爵の領地は全てトガシン伯爵に与えるものとすると」
トガシン伯爵。
たしかおやじに拾われて伯爵まで登りつめた男だ。
国王側と密約でもしたか、あの野郎!
「ドルベ侯爵が罷免されたのは一昨日だったな」
「はい」
「そして今日がこれか!」
「はい」
「この国を潰すつもりか、若王は!!!」
「ガネーボウ公爵の処遇は?」
「既に捕らえられており、近日中に処刑すると布告書には書いてあります」
「捕らえられただと、あのおやじが!」
「処刑・・・」
「追放ではなく、処刑なのか?」
「はい」
おやじが処刑、一体何の罪で処刑すると言うのか?
おやじは功臣だ。
私の父、先代マルサン公爵と先代ミイージョ公爵、それとおやじ、ガネーボウ公爵の三人で長く王国を支えた時代があった。
それ故に私達は三公爵と言われ、領民達に慕われてきたのだ。
私の父が亡くなった後も、おやじは私の良い相談相手になってくれた。
時に褒められ、時には叱られもした大恩あるおやじだ。
それは現ミイージョ公爵にとっても同じ筈。
そのおやじを処刑すると。
そのおやじを殺すというのか。
「ズハの好きになどさせん!」
「第1・第2騎士隊の準備を急がせろ!」
「これ以上、ズハの好きにさせるな!」
☆(ここよりメソ視点)
「また一つ壁に穴を開けられました」
「これ以上は持ちません」
壁も天井も大分穴だらけになっちゃった。
そろそろかな。
みんなとの話し合いでこの後の方針は決まってる。
壁と天井が持たなくなったら、マリちゃんの合図で一緒に消して、魔素に戻して吸収する。
少しでもメソ達の魔力を回復する為に。
一度魔力で作った壁を魔素に戻して吸収するなんて、やった事無いけど、アンナちゃんは出来るって言ってる。
大して魔力は戻らないけど、やらないよりはマシだって。
その後は、メソとマリちゃんは空の魔物に集中。
陸の魔物はみんなが何とかするって言ってた。
壁の中まで入り込んでた魔物は、全部片付け終わってる。
みんなもそれぞれの持ち場で、マリちゃんの合図を待ってるんだ。
メソも頑張って戦うぞ!
『メソ殿、ゴブークでござる』
『申し訳ないが、そちらの援護には向かえそうにない』
『どうしたのゴブークくん。なにかあったの?』
『森の方にも人間の軍隊が3000人程向かってきている』
『えっ、大丈夫なの?』
『こちらの心配は無用でござる』
『人間など蹴散らしてやるでござるよ』
『無理しちゃダメだよ。・・・頑張ってね』
『承知』
「マリちゃん、森が!」
「うん。私にも連絡があったわ」
「大丈夫!みんな強いから任せよう」
マリちゃんの顔色が良くない。
マリちゃんもやっはり不安なんだ。
「ナスカにも魔物の襲撃は伝わってるわ」
「ナスカ達が来るまで守り切れれば私達の勝ちよ」
「ナスカくん、いつ頃来てくれるかなあ」
「ナスカなら今日中に来れると思う。早ければ夕方かな」
「タツキならもっと早く来れるかもね」
「夕方かぁ。長いなぁ」
「頑張りましょ」
「そろそろ始めるわよ」
マリちゃんが一度大きく深呼吸してから、両手を大きく広げた。
そして大きな声でみんなに向かって叫んだ。
「みんな準備はいい」
「「「「「おおーーー」」」」」
「無理せず防衛に徹するのよ。ナスカ達が来るまで守り切れば私達の勝ちよ」
「みんな、始めるよ」
「「「「「おおおおおーーーーー」」」」」
熾烈な防衛戦が始まります。
主人公は何やってるんですかね〜。




