31・スーパードクターN
12月20日の初投稿から、今日、1月19日でちょうどひと月。
今日はなんと4回も投稿したいと思います。
☆
集会場は患獣で溢れかえっているのに薬が足らん。
ナビさんからタツキが出発したと連絡がきたから、もう大丈夫だ、と思ったらもうタツキが到着した。
連絡きたばかりなんですけど!
「何を呆けた顔をしておるのだ、お前は」
タツキがなぜここにいる?
いくらなんでも早過ぎる。
「お前が出発したってナビさんから聞いたのは、ついさっきだぞ」
「どうだ!速いであろう!」
「まあ我には医療知識はあっても医療技術は無い」
「お前が先に戻ったことにも意味はあるのだ。悲観するな」
あ〜、ドヤ顔がムカツク。
タツキの言う通り俺が先に戻る必要があったんだが、釈然としねえな。
いい加減にそのドヤ顔をやめろ!
『タツキの能力はマスターの数十倍です』
『マスターが《根性》を発動しても勝負になりません』
そりゃあわかってるんだけどね。
「調合済みの薬はどのくらいある?」
「中型魔獣で5頭分しかないのだ」
「とりあえずその分の処置をする。タツキは俺を手伝ってくれ」
「承知したのだ」
「グライス、薬が届いた。こっち代わってくれるか?」
「ああ。この子の敷布を替えたらそっちに行く」
「頼む」
グライスに俺の担当を引き継いでもらい、症状の重い患獣を看護しているキュービ兄の方に向かう。
「キュービ兄、代わるよ」
「かなり苦しそうだ。処置してやってくれ」
「タツキもご苦労様。来てすぐで疲れてないか?」
「問題ないのだ。キュービこそ疲れた顔だぞ、少し休むがよい」
「ははは、そうさせて貰うかな」
そう言いながらも、キュービ兄は他の患獣の元に向かった。本当に疲れてる筈だから、少しは休んで貰いたいのだが。
タツキに薬を出して貰いながら、俺は次々と患獣を処置していく。サポートしてくれてるタツキの手際が良いので、俺も治療がしやすくて助かる。
こういう時は本当に頼もしいなタツキは。
『キヒ姉、そっちの様子はどう?』
『お母さんは大丈夫よ。顔色も良くなってた』
『今はフェラーとフェリを看てるけど、二頭とも食欲も出てきて問題なさそうよ』
『タツキが戻ってきた。一通り処置したら俺は家で調合するから、キヒ姉には集会場の応援頼める?』
『了解よ』
母さん達も順調に回復してる。後はこの集会場のみんなの処置さえ終われば安心できるな。
☆
「これで薬は最後か」
手持ちの薬を使いきり、俺とタツキが立ち上がる。
「キュービ兄、俺は家に戻るよ」
「ああ。後はやっとく」
「熊のお袋さんの容態があまり良くないんだ。処置はしてあるけど注意して看てやってくれる?」
「わかった。調合の方頼むぞ」
「それと、兄さんも少しは休んでね」
集会場を後にしたオレとタツキは連れだって俺の家に入った。
「母さん、タツキが帰ってきたよ」
「具合はどうだ、タマモ」
「お陰様で楽になったわ。タツキさんもご苦労様ね。お帰りなさい」
「タツキ。向こうの奥に薬剤を全部出してくれ」
「全部出してよいのか?結構な量になるぞ」
「全部でいい。お前この後ズライのとこに行くんだろ?」
「うむ。母様に報告には行くが」
「なら全部でいい。調合は俺一人でも出来るからな」
前もって空けておいた奥のスペースに、タツキが《影収納》から薬剤を次々と取り出して並べる。
本当に結構な量だな。
「おっと、忘れるとこだったのだ」
そう言って、タツキはもう一度自分の影に手を突っ込んだ。
「こいつ、寝ておるな」
ズボッ
「くふぁ〜、ひゅ〜」
すっかりと寝こけているルルが引っ張り出されてきた。
「あらあら。ルルちゃんってば、すっかりお眠なのね」
「ルルちゃんは私が見てるわ。ナスカは調合を始めなさい」
「母さん、まだ無理しない方が」
「このくらいは大丈夫よ」
ルルの予防接種はセコードで済ませてあるし、これぐらいは母さんの気分転換にもなって良いかもしれない。
ルルを母さんに預けて、俺はタツキと向かい合った。
「ありがとうなタツキ。助かったよ」
「ズライによろしく言っといてくれ」
「ナスカも偶には顔を出せ。お前は母様のお気に入りだからな」
「そうだな。問題が全部片付いたら行くよ。伝えといてくれ」
タツキを見送り、俺は薬の調合を始める。
結構な量だが、こればっかりは地道にやるしかない。
薬が無ければ何も始まらないからな。
☆
「母様、ただいまなのだ」
「お帰りタツキ。人間の街はどうでした」
「なかなか面白いところだったのだ。都民プレートとやらも作れたので、これからはいつでも行けるのだ」
「貴女は半分は人間の血を受けているのです。人間との交流は積極的になさい」
「貴女の事をナスカに任せて正解でした」
母様はナスカを評価し過ぎなのだ。我の方がナスカの面倒を見てやっているのに。
母様は人間の街の印象や、人間の営み、その他色々な事を聞いてきたのだ。
我も人間の街で不思議に思った事や感じた事、領主やミドリの事まで、思った事は全部母様に話して聞かせたのだ。
ニコニコしながら我の話しを聞いていた母様が、急に真面目な顔になって、口を開いたのだ。
「古竜様が貴女と話がしたいとお望みでした。今から伺うので貴女もついて来なさい」
古竜様が。なんの話だろう。なんか重要な話みたいなのだ。
久々の主人公視点から、最後はちょっとだけタツキ視点に戻りました。




