29・予定は未定です
領主様に出発の延期をお願いされました。
どういう事でしょう。
「元ハーテノンの自治管理者で私の部下でもあるアンタン子爵が、自分でも調査したいと申し出てきてな」
「彼の決意を無下には出来んので、許可したのだ」
「第3騎士隊から30名を選抜して、彼の下に付け調査団を編成したので、お前達も彼等に同行して貰いたいんだ」
「お言葉だけど領主、私達の足は早いですよ」
「馬車を一台用意するので、それに乗って行って貰いたい」
『どう思う、アクラさん』
『馬車に乗って楽が出来るんだし、いいんじゃないの』
『う〜ん、でもな〜』
「私達はその調査団の指揮下に入るって事ですか?」
「いや、お前達は好きに動いてもらって構わない。あくまで行きの道中だけだ」
「その旨はアンタンにも伝えてある」
「私の同行はどうなりましたの、お父様?」
「アンタンが許可してくれたよ。但し第3騎士隊隊長ボットの言うことを聞けばという条件付きだ」
「お前がマリ達と行動するのは行きの道中だけになるぞ」
「もちろん構いませんわ。私だって遊びに行くのではないのですから」
『要するに親バカがどうにかこうにか見付け出した妥協点ってことね』
『そういう事みたいだね。領主様にもミドリ様にも困ったものだけど』
「調査団の準備に後一日かかるという事ですね」
「そういう事だ」
「わかりました。私達も調査団に同行します」
「やった〜、ミドリちゃんと一緒だ〜」
「面倒をかけてすまんな」
「セイメン。お前も護衛としてミドリに同行してくれ」
「畏まりました、旦那様」
「すまんな」
領主様が若い執事に声をかけると、執事は速やかに了承していた。
「情報は何か増えましたか?」
「いや、さっぱりだな」
「魔物の目撃情報もないし、村も平穏そのものだそうだ」
「明日も一日探ってみるが、何も上がってこない可能性が高いな」
「そうですか」
「明日の事はまた明日話し合うとして、そろそろ夕食にしよう」
領主様の一言で執事やメイド達が一斉に動き出すと、目の前のテーブルがあっという間に料理で埋まる。
私も美味しく頂きました。
☆
夕食を終えてミドリ様のお部屋に移動し、いつもの様に会話に華を咲かせています。
女の子達が集まれば話が尽きる事などありません。
そんな中、最近疑問に思っていた事をアクラさんに訊いてみる事にする。
『アクラさん、ちょっと聞きたいんだけど』
『何よ?』
『ナビとアンナって自我が芽生えてきてる気がしない?』
『えっ、いやまさか、それはないでしょう』
『たしかにそんな気がする事も、いやいや』
『・・・・・・』
『うん。ないわね。あり得ないもの』
『でもあの二人って勝手に色々やってたりしない?』
『だとしても、スキルの能力の範囲内だと思うわよ』
『スキルが自我を持つ可能性は?』
『ないない。絶対ない。そんな事になったら前代未聞よ』
『仮にそうなったとしたら、私がアクーリス様に大目玉を喰らっちゃう』
『スキルの持つ特殊性が高過ぎるだけよ』
『やっぱりないのかあ。そうよね、スキルが自我を獲得するってなんかちょっと怖いものね』
『そうそう。みんなとの話しに戻りましょ』
『タツキを見送ったら領都観光行くんでしょ』
『ミドリに良い所聞かないと』
改めて私はまたみんなの話しに加わった。
女の子4人のガールズトークは夜遅くまで続きました。
マリ目線も漸く終わりました。
次回はタツキ目線です。
主人公の活躍まではもう少しお待ちください。
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