18・六・三・三・で十二年
明けましておめでとうございます。
相変わらずスマホの調子が悪くサワリだけですが、第2章始まりました。
「まだ着かぬのかナスカ。我は歩くのに飽きてきたのだ」
「あとちょっとで着くから文句言うなよ」
「ちょっととはどれくらいだ」
「2時間くらいだな」
こっちの世界でも時間の感覚は一緒だ。1日は24時間。1年は365日。
1年を12の月に分け、各月の日数の分け方までもが一緒だ。
違うのは午前・午後と分けない事と暦週(曜日)がない事だけである。
「疲れたならメソに乗っていいよ。タツキちゃん」
「いや、勘違いをするなメソ。我は疲れたわけではない。歩くのに飽きただけなのだ」
メソは長い距離を移動する時は狐の姿になる。四つ足の方が楽なんだそうだ。
人間としてのメソは16歳になったが、霊獣テイルズフォックスとしての年齢は14歳。
テイルズフォックスは10歳で成獣となる。
狐姿のメソの大きさは日本でいう大型犬くらいあるので、身長140センチのタツキなら楽に乗れる。
12年で変わったのは大きさだけではない。
尻尾が3本から5本に増えたのだ。
元からあった3本は真っ白なままなのだが、増えた2本の尻尾は先が濃いピンク色で、根元に向かって徐々に白くなっている。
とても綺麗なグラデーションで、メソも気に入っているらしい。
「私疲れた〜。乗っていい、メソ?」
「いいよ〜、アクラちゃん」
「いやいや、お前は歩けよ」
「メソはいいって言ってんじゃないのよ!」
170センチを超える高身長のアクラでも乗れるが、痛々しく感じるので俺は見たくない。
「この先の湧き水の所で一休みするから、ちゃんと歩けよ。アクラ」
「はいはい。全く融通が利かない奴ね」
「メソもアクラを甘やかすんじゃないぞ」
俺達は今、領都セコードに向かっている。
俺達の住む獣の村に流行り病が蔓延してしまい、多量の薬を都合する為に。
現在の俺は3ヶ所に拠点を構えている。
スキル《運の羅針盤》による不幸を呼び込まない様に、その3ヶ所を移動しながら生活しているのだ。
今向かっている場所は、正確にはセコードの街の近くにある、魔獣ブラックフォックスの群れが住む小さな森で、3つの拠点の内の一つである。
常に俺と一緒に生活しているアクラ(マリ)とメソにとっては通い慣れた道で、休憩に適した場所は心得ている。
「あ〜、もう疲れた」
言うが早いか愛用の短槍を放り投げ、湧き水に顔を突っ込んでガブ飲みするアクラ。
「お前さ、水なら幾らでも水魔法で出せるだろ。水の女神なんだし」
「馬鹿ね。自分で出すのと自然の水じゃ違うのよ。本当に馬鹿じゃないの!」
まあなんとなく言わんとしてる事はわかるけど。
!!!
突然だが俺はちょっとした違和感を覚えた。
アクラが放り投げた槍にである。
この短槍は純粋な槍ではなく魔法を媒介させる杖でもある。
8面体にカットされた青水晶が石突きに付いたこの短槍を注意深く観察する。
あることに気づいて俺はおもむろに槍の影に右手を突っ込んだ。
「わっ!わわわっ!」
影の中から甲高い声がする。
「捕まえた!」
目的のものを捕らえた俺は、一気に右手を引き抜く。
「わあああ〜!」
「やっぱりお前かルル!」
「わわわっ、ナス兄ちゃんに捕まった。助けてマリ姉ちゃん」
「ついてきちゃダメだって言ったろ」
「だって、だって」
ルル。今年生まれたばかりの魔獣ソードウルフの長、エクスの息子だ。
エクスに頼まれて俺が名付けをしたのだが、それ以来やたらと懐かれている。
今回も付いて来たがったのを宥めすかして置いてきたんだが…。
「いつ槍の影に潜ったんだ?」
「マリ姉ちゃんが、この中にいれば見つからないって」
「アクラ!」
「私が寝てる時にでもマリが言ったんでしょ。知らないわよ」
ずっと槍持って歩いてて気付かないのかよ、アホ女神。
「マリ姉は?」
「寝てるわよ。今起こしてるけど起きそうにないわね」
狸寝入りだな、全く。
マリ姉は小さい子に甘いからな。
俺は呆れた様に肩を竦める。
「来たがってるんだから連れて行ってやれば良いではないか。なんなら我がルルの面倒を見てやっても良いぞ」
今回はお前の事も心配なんだよ。タツキ。
「しょうがない。連れて行くけど言うこと聞くんだぞ、ルル」
「うん。いい子にしてるよナス兄ちゃん」
返事だけは良いんだよな。いつも。
まだ暫くは不定期となりますが、今年も投稿頑張ります。
宜しくお願いします。




