団欒
ホワイト家のクリスが帰宅した直後の話になります。
彼の現在の仕事がわかりますよ!
エミリーはクリスの腕を組み、ソファへと案内した。久々に兄が帰宅した喜びと、聞きたいことや伝えたい話題がたくさんあるからだ。
クリスを座らせるとエミリーも彼の横に座った。
「お仕事は…どう?大丈夫?」
「特に変わったことはないかな…ブライト家の領地を守っているだけだからね」
「でも大変でしょ?」
「僕も任務に就いてから6年は経ったから、苦労することは減ったかな」
エミリーの顔は心配で不安な表情だった。その理由はすぐわかる。
「大変だと感じる時は、副団長になるためのテストをされている時だね」
「え、兄さんも副団長になるの?」
ジェイクも会話に加わった。副団長について興味があるようだ。
「そうだよ。このまま騎士としてブライト家の領地に居ることで恩返しはできるけど…」
言葉を一瞬だけ止めてエミリーの目を見つめた。
「大好きな家族とずっと離れて過ごすのは、僕も辛いからね。副団長になれば希望の任地を伝えることもできるから、この街から近い任地を申請しようと思っているよ」
クリスは兄と同じで、国から騎士として認められた。でも、あの頃とは違い、エミリーは騎士として働くクリスを見ても、大泣きすることは無かった。
「騎士と聞いても泣かなくなったね、エミリー」
「もう!恥ずかしいわ、お兄ちゃん」
赤面したエミリーに頭を撫でて謝った。こうして騎士として働いていても、泣かずに迎えてくれるエミリーに対しとても嬉しかった。
「そういえば…今日は一人で帰ってきたの?」
ジェイクが唐突に質問した。クリスは毎回、長男と共に帰宅することが多いが、今日は姿が見当たらない。
「明日から休暇になるから、遅くなってでも今日中に報告書を纏めたいって…休み明けに持ち越したくないと言っていたよ。真面目な兄さんらしいね」
「あ、そういえば、今年から副団長になったって手紙が来ていた!」
「2人ともすごい!」
ジェイクとエミリーはクリスと騎士について、また今日の出来事、大学のこと、仕事のことなど身近な話題を語り合った。
「ただいまー」
玄関から声が聞こえた。この声の主はすぐにわかったので、クリスが座っていた2人に対し【待ってて】とだけ伝え、玄関まで迎えに行った。
「おかえりなさい、父さん」
「やぁクリス、先に着いていたのか!おかえり」
「ただいま。父さんが納品に出かけたと2人から聞いたよ、お仕事お疲れ様」
「本当に優しいな〜クリスは!俺の自慢の息子だ!!」
「よしてよ、もう僕も28歳だよ?」
「大人になっても、息子は息子!そういうもんだ!」
父ケビンはクリスの出迎えにとても喜んでいた。
ただ室内を見て、まだ長男が帰宅していないことにも気づいた。それは母フローラも不安に感じた。
「まだ帰って来ないなんて…副団長になると忙しいのね。心配だわ」
「母さん…俺もうお腹空いたよ」
「ジェイク、まだ全員揃ってないわよ?」
「でも、兄さんの仕事が終わるのは深夜かもしれないんだよ?待ってられないよ!」
食べ盛りのジェイクがお腹を空かせてしまうのは無理もない。もう辺りは真っ暗で、外の民家からも晩餐の匂いが感じ取れるからだ。
「母さん、兄さんの分は後で作り直せばいいから、僕たちで先に食べない?このままだと、ジェイクが暴れだすよ」
「そうだな、クリスの帰宅祝いを先にするか」
父の同意もあり、母親とエミリーは晩餐の準備を始めた。
ワイン、シャンパン、パスタにバケット、そしてスープ。テーブルコーディネートもバッチリで乾杯をした。
クリスも騎士団に入団して、任務を任されています。
クラウド家の領地はクラウド本宅とはだいぶ遠い場所にあります。その為、騎士団が守衛として任務に就きます。
長男の登場は…もう間もなくですよ!
お待ちくださいね
初投稿から今日で4日目
60人以上の読者様がエミリーをご覧いただいていると知り感激です!
毎日ご覧になっている方もいらっしゃるなんて…
私は幸せでございます。