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建前と本音

クリスとエミリーがレオン・ブライトに呼ばれてからの続きです。

少しレオンについてお話してから、再開します


どんな会話や動きが出てくるのか…注目です!

 レオン・ブライトはクリスの古くからの親友である。公爵の子息と庶民の息子では生活環境が違い過ぎて、普通であれば仲良くなれる筈がない。しかし仕事において、依頼主であるブライト家を訪れる際に、父ケビンは息子2人を連れて手伝わせたことがあった。アルク10歳、クリス8歳の時だった。最初は使用人たちが対応していたが、途中からある人物たちも加わった。それは公爵と息子のレオンだった。彼はレオンを連れて「2人と勉強友達になってほしい」と要望した。

 勉強友達とは剣術、馬術、学問など跡取りとして必要な技能と学力を互いに競い、向上させてほしいことが狙いだった。「2人に必要な費用はブライト家が負担する」と条件を出された父は断る理由が一つも無いため、その場で直ぐに承諾した。切磋琢磨した日々は3人の友情を深めることとなった。


さて、ここまでを簡単に集約すると、アルクとクリス、そしてレオンは子供の頃から仲が良い。しかし、そこにはエミリーとの接点は無いのだ。彼女はその時0歳だったからだ。




 レオンがエミリーへ話しかける前に、クリスは一歩前へ出て、左胸に手を当てて挨拶をした。


「この度はお招きいただき、ありがとうございます。ブライト家次期当主、レオン様」

「あ、いや、そうだけど…どうしたのクリス?」

「【どうしたの】とおっしゃいましたが、もうすぐ公爵様となられる方に気軽フランクな挨拶は出来ません」

「ああ…間違っていないけど、何か違うよ」


レオンは親友のクリスが今更ながら堅苦しい挨拶をしたことで、呆れてしまった。次期当主でもうすぐ公爵を引き継ぐことは間違っていないが、友達と挨拶する態度ではないことに対して違いを感じている。続いてエミリーも前へ出て、ドレスを広げて挨拶をした。


「お久しぶりでございます、レオン様。素敵なドレスをありがとうございました。大変嬉しく思います」

「久しぶりだね、エミリー。そのドレス、とても君に似合っているよ!」

「お褒めの言葉、誠にありがとうございます」

【パン】


エミリーのお礼が言い終わると同時に手を叩く音がした。叩いたのはレオンだ。クリスとエミリーに声をかけた。


「はい、形式上の挨拶はここまで!僕、この主従関係のような話し方は君たちとは無理だよ…ここでは誰も何も言わないから、普通に話して」

「ふふ、わかったよレオン」

「助かります」

「では、最近の領地の治安についてだけど、僕が任務についた頃に比べ…」

「ちょっと、待った!」


挨拶も済み、クリスが最近の状況を説明しようとしたが、レオンから止められてしまった。


「何か、問題でも?」

「まさか…今から報告を始めるつもり…?」

「そのつもり…だけど」

「今さら報告はいいよ。君たちのレポートは完璧だから、報告する理由もないよ」


惚けた顔のクリスと呆れた顔のレオン。これもクリスの作戦で報告で時間を費やし、部屋を出る予定だったが失敗したようだ。


「あ、あの…」

「なに?エミリー」


恥ずかしそうなエミリーに声をかけたのは、クリスだった。


「あ、あの…どうして私にドレスを送ったのですか?」


それは率直な質問だった。確かに、兄弟を含め全員が届いたドレスに疑問を持った。エミリー自身も、豪華なドレスを受け取って着用して良いのか悩んだほどだ。


「今日はハンナの社交界お披露目デビューの日だから、特別なお客さんも多いんだ。エミリーが社交界へ顔を出していないことを、母が気付いて僕とハンナに聞いてきたんだよ」

「レオンさんたちのお母様が?」

「そう。特別なお客の中に、ドレスを持っていないと思われる君を招待するのは失礼だって。僕の名前で発注したけど、ドレスのデザインは母の指示だよ」


淡々と説明をしていたが、意外な答えだった。それと同時に、謎が更に深まった。レオンの母親がエミリーを気にかけた理由だ。それはレオン本人もわからないことだった。

 

 クリスには最大の疑問がもう1つある。


「レオン、どうして君のお母様ではなくて、君の名前で送ったのかな?」

「え、特に…僕が注文したから、僕の名前で送ったけど?」

「このドレスを送った【本当の意味】を君は知っているの?」

「本当の意味?えっちょっと、クリス!」


クリスはレオンの肩を押し、エミリーから離れ壁際まで立たせた。そしてエミリーには聞こえぬよう、小声で耳打ちをした。聞いたレオンは真っ赤になり照れた。どうやら【本当の意味】を知らなかったようだ。


「うわあ…僕、やってしまったね」

「そうだね、でも、エミリー本人が知っているとは思わないけど」

「その方が助かるよ。恋人でもないのに送ってしまうなんて…恥ずかしいな」


照れたレオンはその顔のままエミリーを見つめた。声はクリスにしか聞こえない。


「でも、僕は彼女が意味を知っていても撤回はしない。エミリーと出会えたことは運命だと感じているんだ。両親は猛反対したけど、いずれブライト家に迎え入れたい」

『やっぱりか…最悪な展開だな』


それはクリスにとって聞き入れたくない一言だった。自分の気持ちを受け入れてくれるのをゆっくり待つつもりだが、横から邪魔されるなど受け入れたない。

 ちなみに男性が女性へドレスを送る【本当の意味】だが、この国でも同じような意味合いを持つ。

【このドレスを寝室で脱がしたい】

寝室で男性が女性のドレスを脱がすだけで終わるなどありえない。それ以上の仲になりたいと遠回しに伝えている。


 『今夜は全力で阻止する』

クリス兄ちゃん頑張っております。

エミリーとレオンの恋を成就させる気は一切ございません。


また、ブクマをしていただいた、あなた様!

本当にありがとうございます!!


掲載時間がバラバラで申し訳ないですが、毎日UP目指して入力します


やはりスマホ入力よりキーボードの方が早くて、サクサク進みます〜

ネット不良が起こると全消しになってしまうのが難点です。

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