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ブライト家に到着しました!

やっと邸宅での話になります

 歪な雰囲気のまま4人を乗せた馬車はブライト邸へ到着した。しかし、正門から入りエントラストへと向かうことなく、御者は使用人入口のある裏手へと馬を走らせた。「俺たちは貴族じゃないから正面玄関は駄目なんだな」と不服な顔をしたジェイクだったが、その表情はすぐに変わることとなる。

 馬が停車して降りようとした時だった。


「ようこそ、お越しくださいました。ホワイト家の皆様」

「ジェイク様、いらっしゃいました」

「ハンナ様シフト、開始!」

「了解しました」

「ちっちょっと、何するんだよ!?」

「早く!お連れして!!」


流石、ブライト家の使用人たち。先程まで不満だったジェイクを強制的に馬車から引っ張り出し、先に連れて行ってしまった。これには馬車にいた兄2人も呆気にとられるしかなかった。

 この騒動でエミリーは漸く目を覚ました。どこまでが夢か現実か考えたくなかったが、ジェイクが降りたことだけはすぐに理解した。ジェイクに続き降りようとすると、御者から下車を止められた。そして、再び馬車は動き出した。理由を聞くと、ジェイクだけはハンナからの特別招待の為、招待状がなく、正面玄関から入ると他の来賓に対して示しがつかない。そのため、彼だけ使用人入口を利用するしか対策が取れなかったのだ。ただし、3人は招待状を持参しているため、正面から入ることができるとのことだった。

 正面玄関へ戻ったが、到着時に比べて停車している馬車の数が増えていた。ヘンリーが先に降り、エミリーの手を半ば強制的に取った。そこは先程の使用人たちと同じぐらいに思えるほどだ。そして関係性を誇示しているかの如く、エミリーの肩を抱き寄せていた。その姿はアルクに大きな違和感を持たせた。弟妹同士の仲が良いのは普通だが、ここまでスキンシップが多いクリスを彼らが小さい頃以外では記憶にない。そしてエミリーの顔色がいつもと違うことも、ずっと気にしていた。


「エミリー、大丈夫か?」

「う、うん…」

「体調が悪いか?それなら帰宅の準備を…」

「大丈夫だよ、兄さん」


話を遮ったのは、いつも通り優しい笑顔のクリスだった。


「今日は僕がずっと一緒だから、心配いらないよ。倒れる前に部屋を借りて休ませるから」

「本当に任せていいんだな?」

「もちろん。それより今日はミシェル嬢のエスコートでしょう?気にするなら、彼女のことも気にしないと大変だよ」

「そうだな、わかった。エミリーを頼む」


中へと入る2人を見送り、アルクはミシェルの到着を待つことにした。『同じ敷地内に全員いるから何かあれば連絡があるだろう』それがジェイクの考えだった。


 「エミリー、僕の左側に立って腕に掴まって」


それは男女エスコートの姿勢だった。クリスは知っていた。この社交場は爵位が低い又は無い者を見下し、陰口を平気で言う。しかし、後見人である「ブライト」を出すとその態度は一変する。ブライト家は王族と同等の力を持つ公爵家。ホワイト家が庶民だろうと後ろ盾が大きい彼らの名前を出すと、面白いほど変わる。逆を言えば、彼らの名前を出すからには恥じない行動を取らねばならないのだ。

 エミリーも彼の腕に掴まることに対しては不思議ではない。また、兄妹でダンスをすることも何も違和感がない。男性との交際がなければ、尚更ダンスの相手は親族となる。ただ何かが違う。彼は基本はジェイクと強引に連れ出すタイプでも、アルクのように先に無言で前へ進むタイプでもない。エミリーのペースにいつも合わせていた。今日はジェイクのように強引さが見受けられる。無意識に唇を手に触れて、考えてしまった。


「部屋でのことを思い出した?」

「えっ、あっ、そのお」


言葉にならない言葉で返事をしたが、それでもクリスは嬉しそうだった。


「僕の魔法は効いているみたいだからね。今日は僕のことか魔法のことだけを考えていれば良いよ」


魔法というのはアレしかない。やはり現実に起きていた。また、今日のクリスは優しさと意地悪さの両方が現れている。寧ろ悪さの方が多いくらいだ。エミリーは顔を見上げて笑顔のクリスを見つめた。


「でも、あれはお兄ちゃんにとって、ただの挨拶…だよね?」


【挨拶】と済まされたことに不満しかなかった。ここまで自分の愛情が伝わらなかったことに疑問が出るほどだ。クリスは手っ取り早い方法を思いつき、窓際までエミリーをエスコートして足を止めた。そしてそっと小声で耳打ちをした。


「君があれを挨拶と言うなら、恋人同士のキスをここでしようか?」

「え?」

「それはもう言葉では言い表せない、大胆で濃厚なものだけど?」

「うっ」


耳にかかる息も言葉の内容も恥ずかしく、エミリーは耳を抑えて赤面してしまった。そんな恥ずかしそうなエミリーを見るのも彼にとっては嬉しそうだ。

 逃げ場のない二択を突きつけられたエミリー。「あれは挨拶だ」と言えば、筆舌し難いキスが待っている。とは言え「あれはキスだった」と認めれば、自分に対し恋心を抱いていることを受け入れなければならない。

 

『私は…どちらを選べば正解なの?』

今回は掲載が遅くなり申し訳ありません。

まさかこの話が自宅のネット障害で、全部消失するとは思いもよりませんでした…

喪失感が半端なく襲いましたが、全部入力が完了して良かったです


そして「いつも楽しみにしています」と初めてメールをいただき衝撃でした。その一言ために私は頑張りますとも!そして、あなた様の推しも充分伝わりましたよ!彼と運命をともにするのか…まだまだ先でございます

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