勇敢なる騎士と聖なる乙女
少しだけ脱線します
エミリーの好きな物語で
国内では男女ともに大半の人が知っています
ただ口づけ後の為、複雑な状態が続いています
揺れ動く馬車の中
兄アルクとジェイクの顔が目に映るが話す気にさえなれなかった。両肩に温かみを感じながら、ゆっくり瞳を閉じて今日の出来事は夢であることを信じようとした。
エミリーの脳裏にふと【勇敢なる騎士と聖なる乙女】の物語が浮かんだ。
数百年前のこと
隣国からの侵攻により何千人もの騎士たちの命が失い、国土は荒れ果てて生活は困窮していた。そんな酷い状況を変えるべく、2人の人物が天から力を借り隣国の前に立ち上がった。
勇敢なる騎士
彼は【大破の一撃】を授かった。剣を一振りすると数百メートル先の相手まで斬りつけることができた。故に大破と云われた。
聖なる乙女
彼女は【鉄壁の祈り】を授かった。両手を広げ力を込めると、数百メートル先の味方までオーラで守ることができた。故に鉄壁と云われた。
勇敢なる騎士と聖なる乙女の活躍で国を護り、繁栄を築くことができた。
もしあなたが勇敢なる騎士か聖なる乙女になりたければ次のことを守りなさい。
【勇敢なる騎士を目指す者】
剣術を学び体力を付けなさい
決して女に心を許しては成らぬ
【聖なる乙女を目指す者】
いつも他人の幸せを願いなさい
決して男に体を許しては成らぬ
クリスはいつも優しい騎士であり、エミリーにとっては王子様のような存在だった。でもそれは兄として慕っており、恋愛より家族愛が強かった。
『お願い…あれが夢なら覚めて』
【勇敢なる騎士と聖なる乙女】は第1章に入れようか悩みましたが、あれもこれも話を詰め込むと読者様も情報が多すぎて大変だと思ったので、2章へ移動しました。
エミリーはクリスに対しずっと家族愛を持っていました。クリスは違いましたけどね…
この複雑に絡んだ感情は次回も続きます。