表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/80

Cランクと指名クエスト

 次の日からも同じような日々が続いた。


 クエストを受注し、レイにできるだけ討伐させ、レベルを上げる。

 《盗む》はあれ以来使用していないのかというと、以前よりも逆に使用するようになった。


 この魔物からはどんな物が盗めるのだろうか。

 同じ種類の魔物に使用してみるとどうなるのだろうか。

 怖さよりも探究心が勝ち、多くの魔物からスキルを盗んだ。


 例えばゴブリンならば『スキル《ゴブリンパンチ》』。

 内容は影の拳が名の通り標的を打突する。

 例えば大ムカデなら『スキル《毒牙(弱)》』。

 内容は影の手の先に2本の牙が出現し標的に噛みつく。

 (弱)とあるところを見るとあまりその毒性は強くないらしい。


 盗むを使用し、分かったことがいくつかある。


 1つはその魔物の特徴にあったスキルを盗めるということ。

 魔物それぞれに特徴があり、実に様々なスキルがある。


 1つは同じ魔物でもいくつか別のスキルを盗めるということ。

 ウルフからは『スキル《ウルフズファング》』とは別に『スキル《遠吠え》』を盗むことができた。

 名前の通り影がウルフの頭部になり高い大きな声で長い遠吠えをする。

 声もあげることができ、いよいよこの影はなんでもありだと感じる。


 今のところ魔物からはスキルしか盗めてはいない。

 ゲームでよくあるレアアイテムなどは盗めないのだろうか。


 そして盗めないときもある。

 例えばゴブリンに2回目の《盗む》を使用した時だ。

 その影の手はゴブリンを掴んだがアイテムは増えてはいなかった。

 盗むスキルがもうないということ、なのだろうか。


 何はともあれ新しい魔物に遭遇するたびに盗んだ。

 アイテム欄のスキルの所持数も多くなっている。

 今まではあまり持ち物を多く持ってはいなかったがこうなってくるとこの世界の便利さを実感する。


 基本的に重量とか数とか関係なく持てる。

 そしてソート機能や検索機能まである。

 前世では考えられないとてもゲームチックで便利なものだ。


 「はい、確かに。では、こちらが今回の報酬となります。更に今回の成果によりギルドランクがCとなりました」


 冒険者となり2週間、ようやくギルドランクがCに昇格した。

 ランクEからDに昇格するのに比べ大分時間がかかってしまった。


 ここからようやくお金にも余裕が出てきそうだ。

 

 「ねえ、ランク昇格もしたことだし、少しいいものが食べたいのだけど」


 「ああ、そうだな。今日は少し豪勢にしようか」


 「ありがとう!」


 レイは本当に食べることばっかりだな。

 大食いというわけではないがいつもごはん、ごはんと言っている気がする。

 提案にのってあげるとすごくうれしそうに喜ぶ。

 

 Cランクになったし、思ったよりはやはり鈍いがレイのレベルも少し上がって強くなった。

 今のレイのステータスを確認する。


 ――――――――――――――――――――――――――――――

 レイ=アシュリー

 レベル25 状態:健康

 HP   : 250/250

 MP   : 130/130

 攻撃力  : 20

 魔法力  : 100

 防御力  : 20

 魔法防御 : 50

 かしこさ : 80

 素早さ  : 30

 器用さ  : 60


 スキル  : なし

 ――――――――――――――――――――――――――――――


 だが、やはりというべきか課題も出てくる。

 レイは討伐の際ほぼ攻撃魔法を放つだけである。

 攻撃は殆ど俺が引き受け、当然レイは1つたりとも傷を負ったことはない。


 よって魔法系のステータスの上昇率は高いがそれ以外は芳しくない。

 このまま魔法特化のステータスにするのはそれでいいのかもしれない。

 だが、ゲームなどでは平均的に上げてきた俺。

 このアンバランスさに少し違和感を覚えてしまう。

 まあ、これはまたそのうち考えればいい。


 ♢


 「ロビン様宛に依頼が届いておりますのでご確認ください」

 

 次の日Cランククエストを受注しにギルドへ行くと受付嬢からクエスト状が渡された。


 俺指名でクエスト依頼?

 差出人は――ん? 【ケト=ラゼフ】?

 ケト=ラゼフってあの【ギゼノン】の領主か?


 中身を見るとやはりその人物からの依頼のようだ。


 指名クエストは依頼された人が受注すればランク関係なくおこなうことができる。

 人物指名でのクエスト依頼はさほど珍しいものではない。

 高ランクの依頼内容ともなるとむしろ人物指名の方が多いぐらいだ。

 しかし俺はまだCランク。

 指名クエストがある事自体には特段驚いてはいないが問題はその差出人だ。

 

 ギゼノンはカルタナより西にある砂漠地帯の都市である。

 距離にしても大分あり、そこにもギルドはあるはずだが……。

 なぜわざわざカルタナギルド、それも俺宛にクエストを発注するんだ?


 ともかく内容を確認してみよう。

 話はそれからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「ねえ、ランク昇格もしたことだし、少しいいものが食べたのだけど」 食べたのだけど ではなく、 食べたいのだけど ですかね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ