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最低ランクの俺が実は強いなんてわかるはずがない  作者: 真中麒麟
覇王学園入学編
5/34

開戦







「誠一郎」

聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。誠一郎は声のした方に振り向くと正面から抱きつかれた。びっくりした誠一郎は

「ちょっと待って。一旦離れようか」

抱きついたのはエリスよりも5センチくらい身長の低い、ピンクのショートカットで前髪のサイドを三つ編みにしていて、アホ毛のある女の子だった。

「そうですわ!いきなり抱きつくなんて」

顔を真っ赤にしていうと

「別に。あたしと誠一郎はこれが普通」

「そんなことはどうでもいいのよ!何故初対面の男の人に抱きついたりできるんですの?ほらあなたからも何かいってよ」

「そんなこと言われてもねぇ」

言葉に詰まる誠一郎。これは事実なのだから仕方がない。

「なんで楓がこんなところにいるんだ?」

ふとそんな疑問が口からでた。前に俺が彼女とあったのは昨年の10月のはずでそのときはまだ孤児院にいたはずだ。すると、

「誠一郎って誰があたしを孤児院にいれたのか知ってる?」

「いや、知らないけど」

そんなことは聞かなかった。そもそも親かその施設の人のどちらなのはわかっている。

「それはこの学園の学園長、神崎舞姫。だからあたしに固有武装(リベレイト)の適性があるってわかったとき、すぐにこの学園に入れてくれた」

と楓。だから、

「神崎さんのおかげでこうして誠一郎と会えた」

と楓。とても嬉しそうだった。

「それでそっちの彼女は?」

「ああ、彼女はエリス。俺のルームメイトだ」

「私はエリス・ラティアークです。よろしくお願いします」

エリスが自己紹介すると、

「・・・」

無視した。

「なんで無視するんですの!」

「ごめん、エリス。楓は人見知りが激しくてさ。心を開いた人としか話さないんだ」

楓は不信症で誠一郎と学園長にしか心を開いていない。「まあ、ここでこうしていても仕方がないしな。

それじゃあ三人で服見に行くか」

二人よりも三人の方がいいだろうと提案する誠一郎に

「別に構いませんわ」

「あたしは誠一郎と二人がいい」

と主張する楓。おいおい、最初はエリスが行きたいといいだしたんだぞ。

「しかも彼女が誠一郎のルームメイトなんて認められない。

あたしは誠一郎とルームメイトじゃないと嫌」

「そんなこと言われてもねぇ。もう学園長にも申請したしな」

「言うこと聞いてくれないなら誠一郎殺しちゃおうかな」

おいおい、エリスがいるときにそんなこと言うか普通。しかもエリス以外にも人がいる場所で。

「誠くんはとても強いのよ。Fランクだけど私に勝ったんだから。あなたじゃ殺せないわよ」

それに、

「あなたBランクでしょう。そんなんじゃ彼には勝てないわよ」

楓はむぅと唸ったがそれきり口を閉じる。

「とにかく三人で服見に行こう、な?」

「・・・わかった」

そういって三人は近くのデパートに向かった。




近くのデパートにて。




エリスは服を選び終わったのか更衣室から出てきた。

「この服はどうですの」

そう聞いてきた。誠一郎は、

「似合ってると思うよ」

と本心を口にすると、

「そう?よかったですわ。じゃあ買ってきますわ」

そういってエリスは服を買いにレジに並んだ。二人きりになった誠一郎と楓は少しのあいだ沈黙があったが意を決したのか誠一郎が遂に口を開いた。

「どうした楓。こっちに来てから一回もしゃべっていないぞ。何か買いたい服があるのか」

楓は首を振る。

「もしかしてさっきのルームメイトの話のこと、まだ怒ってる?」

「あの王女、あたしを弱いって言った。許せない。」

とても怒っているようだ。可愛い顔に怒りの表情がうっすら浮かんでいる。だから、

「別に気にしなくていいよ。エリスは楓が嫌いでそんな言い方をした訳じゃないんだよ」

そういい楓を宥める。そうしているとエリスが戻ってきた。

「ありがとう、誠くん。おかげで可愛い服が買えたわ」

「私も服買う」

対抗心を燃やしたのだろう。自分も買いたいと言い出したから、

「別にいいぞ、俺らもついていくから。いいだろセリス」

「構いませんわ」

そうして俺ら三人は移動し始めたのだった。





訪れたのは服でもおとなしい方の色合いの服を扱うドライベールという店だ。楓はおとなしい性格であまり明るい感じの服は好んで着ない。だからこの店を訪れたのは正解だ。楓は試着するために試着室に入っていった。

5分後楓が試着室からでてきた。

「誠一郎、どう?」

そう言ってその場で1回転した。楓が選んだのは、灰色のカーディガンと黒のスカートだ。

「凄い似合ってるよ。気に入ったなら買っていいよ」

楓はおとなしい性格なのでこの組み合わせは彼女の個性が出ているのが分かる。

「うん、買ってくる」

と言って楓はレジに並んだ。




結界のすぐ外。新旧差別派日本支部第22部隊。

「ほう。こんなところに新旧平等派の学園があるとはな。しかも学園長の斥力とその結界の二重仕掛けで守られているとは。道理で今までこの場所が差別派に見つからないわけだ」だが、

「それも今日で終わりだ。一回でこの場所を支配して見せるぞ」自信満々の笑い声が響く。こうして新旧差別派は遂に行動を開始した。





「誠くんと彼女ってどういう関係なんですの」

「俺が6歳のとき、父親とある孤児院に行って会ったんだ。そのときに何がおきに召したのかわからないけど仲良くなったんだ」

楓が戻ってきた。時計を見ると3時になっていた。

「まだ時間はあるけどどこか行きたいところはない?」

「そうですわね」

少し考えて、

「じゃあ・・・」

と口を開こうとしたときだった。地面が大きく揺れたのは。

周りにいた人たちは状況を把握出来ずにパニックに陥った。

「皆さん落ち着いてください!今から言うことを聞いてください」

だがパニックに陥り叫ぶ人もいるなか声は周りの人には聞こえていない。

「ちょっと待って、私に考えがあるんですの。私に一回代わって」

そう言ってこちらがなにか言う前にエリスは喋りだした。

「皆さん、私の話に耳を傾けてください!」

そういうと周りが静かになった。

「ここが戦場へと変わるかもしれません。なので私が作る異空間に避難してください。ここなら私以外に誰も干渉することはできませんので、安全ですの、いいですね」

そういうと、すぐに誠一郎たちは避難誘導を開始した。先程の言葉で安心したのか、皆素直に避難してくれて、ものの10分でこの近くの人たちの避難が完了した。その直後、

「誠一郎君、至急学園に戻ってくるように。エリスさんと楓ちゃんも一緒に」

学園長からそう連絡が入ってきた。何故エリスと楓が一緒にいるのが分かったのか気になるが今はそんなことを考える余裕はない。

「学園長から連絡があり至急学園に戻ってこいって言ってた。もう行こう」

「解ったわ」

「うん、解った」

三人はすぐにこの場所を後にして学園に戻っていった。




覇王学園学園長室。



新旧差別派が学園都市ベルティスに侵攻して来てから20分後、各学園の重要責任者が集まって会議をしている。

「どうしますか?」

梁間中学の教頭、青薙笠樹あおなぎりゅうきが尋ねた。

それに対して覇王学園学園長、神崎舞姫は

「今の襲撃は新旧差別派の部隊によるものです」

と他の学校に公言した。

「なので覇王学園の者たちで事態の収拾に向かいます。他の人達は、学園に避難して頂きます。よろしいですか?」

「解りました。それでは誰が来てくれるのですか。できれば、その人の写真があればいいのですが」

この学園が攻撃されているのは二重の結界が破られたことを意味する。ということは学園都市内に新旧差別派と通じている者がいるのではということなので、

「解りました。それでは連れてきます」

と後ろの扉に向かって

「入ってきてください」

と、言った。すると、一人の教師が入ってきた。

「彼は新田嵐です。我が学園の教師で固有武装、転移門トランスポーターの使用者です」

「なるほど。解りました。それでは転移、お願いします」

といい、学校にもどると全学生と教員が集まっていた。すぐに固有武装の力をつかうと巨大な門が現れた。

「この門を潜って下さい」

門を全員潜らせると学園長と新田も門を潜る。と同時に収縮し全員の避難が完了した。



誠一郎たちが学園に戻ってから数分後、学園長が戻ってきた。呼び出しておいてどこ行ってたのか問おうとしたがすぐにその言葉をのみこんだ。学生と教員が集まっていたからだ。

「そういうことだったのですね」

と納得する。

「ところで何が起きているのですか」

と尋ねる。すると

「新旧差別派が攻めてきたの。この学園にいる赤城誠一郎を連れてこい。さもなくば、ここが血の海になるぞと言われたのよね」

さらに言葉を続けようとしたが、

「解りました。それでは向こうに向かいます。狙いが俺なのに他の人が傷つけられるのを見てはいられません。許可を下さい」

といい頭を下げた。

「解りました。それでは、新田先生、お願いします」

すると、

「あの、私も一緒に行くので許可を下さい。それと私が誠くんを送ります」

と言ってきた。すぐに許可が降りたのですぐに空間転移を使用し現場へと向かった。




続く




















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