表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最低ランクの俺が実は強いなんてわかるはずがない  作者: 真中麒麟
覇王学園入学編
4/34

入学の真実





学園長が学園長室にいると電話がかかってきた。


電話の主は赤城栄二郎だった。


受話器を取って電話にでる。


「もしもし、栄二郎さん。あなたに言われたように息子さんの誠一郎くんに固有武装リベレイトを与えました。でも私には理解できません。何故誠一郎君に武器を持たせたんですか?」


学園長、神崎舞姫は解せないとばかりに栄二郎に問いかけた。


「誠一郎は小さいときに母さんを新旧差別派に殺されているんだ。俺は本人から新旧差別派と戦うと聞いた。最初は反対したさ。命を懸けてまでやることなのか?そんなことは大人に任せればいい、と」


そんなことを言った俺に対してあいつは何て言ったと思う?と問いかける。


学園長は黙り込んだ。


それを先を促す無言ととったのか言葉を繋ぐ。


「このままやつらを放っておいたらどうなる、俺みたいに悲しむ人が増えていくだろう。これ以上他の人たちが悲しむ顔を見たくないと言ったんだ。

そんなあいつの想いを感じ取った。戦う意思があることはわかったが固有武装を持っていなかった。今の状態では渡り合うことはできない。

だから固有武装を持たせることを決めた。

俺がこの学園にあいつを入学させたのもそれが理由だ」


固有武装を持たせるのは、息子を戦争にいかせるということだ。それは断腸の思いで下した決断だったというのは想像に難くない。


「息子は俺が引退したのは調子が悪くなったからだと思っている。だけど実際はこの学園を守る、もっと言うならば、子どもを新旧差別派から守るためには、引退するしか方法がなかったからだ。

俺だって戦争を早く終わらせたい。そのためならば今まで築いてきたものを失う覚悟も出来てる。あいつが本当の理由を知ったら優しいから無茶をすると思う。

そうならないためには固有武装を持たせて真実を隠しておかなければならない。

協力してくれるかい?」


神崎舞姫に協力を求めると、


「・・・・わかりました」


納得はしていないようだったがとりあえず、要求は呑んでくれたみたいだった。


「ありがとう、助かるよ。それじゃあまた今度」


赤城栄二郎との電話が終わった直後、部屋の扉をノックされた。


「どうぞ」


扉を開けて入ってきたのは赤城誠一郎だった。


「あの、すいません。さっきの話は本当ですか。親父が俺をこの学校にいれたというのは」




もう聞かれてしまったらしい。だけど栄二郎に口止めされている以上、ここで話してしまえば栄二郎の想いが無駄になってしまう。だが、

「ええ、本当よ。」

素直に認めた。

言葉はまだ続く。

「もっと言うなら、君が固有武装を手にしたのも彼が君を心配してのことよ」

他にもいろいろと言われたが話せることは全て話した。

「そうですか、何故親父が俺に黙っていたのかはわかりませんが入学の真実を知れて良かったと思います」

神崎はまだ話は終わっていない、そう言おうとしたが栄二郎が誠一郎に真実を告げていないため、いうことはできなかった。

「それでは失礼します」

誠一郎は学園長室から出ていった。




新旧差別派日本支部第22部隊監督室。


「報告します。1週間前、新旧平等派の運営している私立覇王学園近辺の森にて、隊員1名が私立覇王学園の人物に戦いを挑み敗北しました」


この報告は本人から受けたものだ。


「・・・怪我のようすはどうだ」


「はい、幸いにも峰打ちだったようで痛みはあまり残ってはいません。

相手は背中に剣を持ち、右頬に切り傷があり、右目に前髪がかかっています。自分が撃った銃弾を剣ではたき落とし、身体を前に倒したと思ったら目にも止まらない速さで接近を許し斬られました」


「それだけ情報があれば十分だ。おい、俺の部下たちよ。今すぐ戦いの準備をしろ。これより新旧平等派の運営している私立覇王学園に戦いを挑む。気を抜くな。さあ行くぞ!!」


新旧差別派第22部隊が、出撃していった。



午後1時、学園内のカフェにて。


「昨日の決闘のことで報告したいことがある」


誠一郎を呼び出した男子生徒、西門正春とは決闘の前の日に家に泊めてもらっていた。そのときに誰かともわからない相手に背中は預けられないという話になっていた。そのことで誠一郎は決闘の結果で判断をするということになっていた。そのことで呼び出されたのだろうと予想はできた。


「ああ、例の話だな。それでどうだ、信じる気になった?」


「判断の結果は信用できるという結論に達した。これからよろしうな」

正春本人の口から信じられると言われホッとしている誠一郎。すると、


「さっき学園長と学園長室に入っていったけど何しとったんだい?」


「実はな、学園内にある1つの固有武装を使うことができるかどうかのテストをしていたんだよ」


後をつけていたのか、と思ったがそのことは今は言及しないでおこう。


「そんでどうやった?適性はあったかい?どういう固有武装やったかおしえてくれよ。わしの固有武装を誠一郎に教えたやろ」


「一気に捲し立てるなよ。固有武装の適性はあった。それで固有武装の名前、技剣テク・データだってさ」


「それでどういう能力をもっとるんだい?」


「それがな、説明はなかったし使ったこともないんだよ」


はぁ、とため息をつきながらそういった。


「そないことよりもさ誠、君凄いな。あのエリス・ラティアークに勝つなんて。しかも固有武装無しでなんてさ」


呆れたかのようにそう言われた。


「ていうかさ、そんなに凄いの?固有武装無しで固有武装を持っている人に勝つのって」


「当たり前やろ。今まででそないな話聞いた事もないよ」


・・・そういうもんなのかな?とくに気にして戦ってたわけじゃないし。


そう言おうとしたが、ただの嫌味にしかならないから飲み込んだ。


「いったいなにがどうなったらああなるんだよ」

と呟いた正春。


「ごめんな、このあと人と会う約束をしているからこれで失礼するよ」


そういって誠一郎はその場をあとにした。






正春と別れたあと、誠一郎はある場所を訪れていた。学園内で唯一の図書館、覇王学園図書館だ。ここには、約15万冊の本が置いてある。図書館といっても中だと迷惑がかかるので外で待ち合わせしている。ある人物とここで会う約束をしているが約束の時間になっても現れない。もう帰ろうかと思ったとき


「ごめんなさい。遅れましたわ」


向こうから一人の女の子がやって来た。それはこの間模擬戦を行い勝った結果、ルームメイトとなったエリス・ラティアークだった。


「別にいいよ。俺も今来たとこだし」


実質誠一郎がここに着いたのは10分前くらいだった。


「私との決闘のあとに学園長につれられてどこ行っていたんですの」


エリスは誠一郎にそう聞いた。すると、


「学園内に一つだけあった固有武装を使えるかどうかの検査をしていたんだよ」


さっきも正春に同じことを聞かれたから、今回も同じことを言った。

身を乗り出し、


「それでどうでしたの」


と聞いた。よく食い付くなと感心したがあえて言わないでおこう。

「しっかりと適性は確認できたよ。しかもとてもいい数値だとさ」

「そう、良かったですわね」

今日はこんな会話をするために誠一郎を呼んだわけではない。だからエリスは話を本題に移す。

「改めてこれから3年間よろしくお願いします。早速ですけど一つだけお願いがあります。よろしいですか?」

と、前置きしてエリスは話を続ける。

「この学園には、覇王剣祭というのがあるのは知っていますわね?」

とエリス。覇王剣祭とは、一年に一回ある、覇王学園の中でナンバーワンを決める武闘大会のことだ。この大会には個人戦と団体戦があり生徒はどちらか片方に必ず参加しなければならない。

「知ってるけどそれがどうかしたのか」

「覇王剣祭は、二人一組と個人戦の内1つ、もしくは2つに出ることができるんですけど二人一組のほうであなたにパートナーになってもらいたいんですの」

といい、エリスは目を逸らした。顔を見ると少しだけ赤い。

「それに私の裸をみたのだからこれくらいはいいですわね?」

「まぁ別にそれくらいならいいけど」

別にいやという訳ではなかったから断る理由はない。だから了承すると、

「本当ですの」

と再び顔をこちらに向けて確認をした。

「本当だよ」

「やったぁ」

エリスは喜びの声を上げた。言葉を続ける。

「それじゃあいい?今から私服を買いに行きたいのだけれど付き合ってくれるかしら?」

「もちろん構わないよ」

私服を買いに行きたいと言ったエリスにそれじゃあ早速行こうといい出発しようとしたとき、

「誠一郎」


誰かに名前を呼ばれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ