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僕は殺し屋に向いてない  作者: 土竜道化
2/7

1話-①

雨。

見てる分には好きだ。しかし、接するとなると煩わしい。

降らなければ世界が渇いて困るのに、降ったら降ったで気分が良くない。

一番迷惑してるのは雨自身であろう。「どうすりゃいいんだ!?」と怒られそうである。

買ったばかりの傘を装備して、降らないうちから心待ちにしている女の子もいるだろう。

クリーニングしたてのスーツが濡れてしまう、眉をしかめるおじさまもいるだろう。

格言う僕はシトシトと鳴る雨音を聞くのは大好きである。

目が覚めると雨音がしていたので、少しだけ気分が良かった。

カーテンを締め切った暗がりの中で、型の古くなったノートパソコンを立ち上げ、メールのチェックを行う。

迷惑メールのポップなタイトルが並ぶ。そんな中、ただ一つ「依頼」の文字が目に入る。

簡素なタイトルの方がかえって目につくという皮肉な事実に、頭を捻って迷惑メールのタイトルを考えてる不届き者に対して、わずかに同情する。

「仕事か」

じっくりと腰を据えて考えるために、コーヒーを入れる。

人間というものは、なんと言うか、無責任である。

濃いめのコーヒーをすすり、依頼のメッセージを開く。この瞬間は、いつまで経っても少しだけ緊張する。

「憎い」「もう耐えられない」というネガティブな言葉が並ぶ。いつもそうだ。

「とは言ってもなるべく苦しまないよう」「銃殺希望」少し優しい。いつもそうだ。

「銃殺、ねぇ」

大変なんだぞ。計画。

メッセージの返信を打ち込む。

応相談。指定の場所に来られたし。


聡明な読者ならお気づきだと思う。

彼の職業は殺し屋である。

かくして彼は本日、一つの依頼を引き受けるべく場所を指定し、四日ぶりに家を出た。

雨に対して眉をひそめ、その後、少しだけ笑った彼の表情には何かを諦めた悲哀で満ちていた。


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