禁忌
私は禁忌を犯した。
私は、自分の意図でそれを起こしたワケじゃないし、そもそもそれが起こる前は、それがイケナイことだなんて、自分では把握してはいなかったんだけれど。
それでも、罪は罪だ。
悪気がなくたって、犯罪を犯したら犯罪になるように。
私は禁忌を犯すという行動を、起こしてしまったのだ。
結局、生と死の彼岸は、犯すべからざる領域だった。
それをひょいひょいと、気軽に乗り越えても何も良いことなんてない。
でも、あの時の私は必死で。
他のことなんて考える余裕なんてなくて。
『禁忌を犯した』なんて仰々しく言ったヤツのセリフではないかもしれないけれど、それでも、時間が巻き戻って、同じ局面に立ったら、きっと同じ選択をする。
私はだから、望んで禁忌を犯したのだ。
それが、どんなに罪深いことだとしても。
それが、どんなに意味のないことだとしても。
でも、きっと忘れてはいけないことがある。
禁忌を犯したら、その『代償』を支払う必要があるということだ。
罪には罰が与えられる。
でも、そんなのは生と死の彼岸を乗り越えたら、むしろ当然のことだと思うんだけれど。
地獄を覗き込んだ馬鹿者は、然るべき報いを受けるのが当然というものだと思うんだけれど。
私には、当然その覚悟があった。
しかし、彼らにはその覚悟を持つに値する、『馬鹿者』足り得たのだろうか? 全く、私の考えっていうのは浅いんだ。だって、世界が狭いから。
結局、今回の話は、そんなお話。
世間知らずの、女の子の話。