ねずみのちょろ助。
『ぉはようございます。』
朝の挨拶は欠かしませんょ。
ぇ、誰にって?
自分にですがなにか?
学校でシュン君に会えるかと思うと、落ち着きません。
毎朝、一緒に学校に行くためにゆぅが家まで迎えに来てくれます。
それまで家の中をうろちょろちょろちょろ助。
ちょろ助ってのはたぶんネズミの国の王子で、魔王に幽閉された姫を助けに行くんです。
そして、魔王を倒して最後に姫とチューするんです。
ねずみだけに。
ここ笑うとこですょ
ぁ、それできっとちょろ助には兄のちょろ辰がいるんです。
魔王はいいます。
『仲間になるなら世界の半分をやろう。』
勇者ちょろ辰は迷わず答えます。
『はい。』と。
なんて悲しい話だろ。泣けてきた。
そして、ちょろ助に倒された兄ちょろ辰は死に際にこう言うんです。
『よくやった。我が息子よ。』って。
ぇーーーーー。
兄が父で父が兄?
家計図メチャクチャだょ。
今年の珍事件ベストテンには入るよね。
もはや魔王なんて何処吹く風。
『おーぃ、しょこー。朝からいい加減にしなさいょ。』
外からゆぅの声がしました。
いつの間にか妄想の世界に入り浸ってしまっていたようです。
『わかってるってー。すぐ行くょー。』
「ガチャン」
ぇ、なんで?
『しょこー、今日からシュンも一緒に行くことにしたからー。別にいぃよねー?』
『改めてよろしくお願いします、祥子さん。』
『ぇッ。ぁ、ぅん。』
それがその時ゎたしが返せた精一杯の返事でした。
こうなった経緯を後でゆぅにこっそり、しっかり聞かないとね。
『シュン、昨日のテレビのぁれ見たー?』
『うん、角が生えて敵と闘ってたね。』
『なんと、親指を立てた時曲がるか曲がんないかは遺伝なのかー。とか言う敵によって違う死に際のセリフが好きなんだょ。』
『僕もだよ、趣味合いそうだね。』
ぁあ、ゎたしはこの会話には入れないんです。
ぃや、入らないんです。
だってどんな死にゼリフだょ、それ。
ちょろ辰も敵も、死に際なら何を言っても許されると思ったら大間違えだぞ。
『しょこ聞いてるの?まったく、さっきだってどうせくだらないこと考えてたんでしょ。』
ぅ、図星ですね。
ゆぅの勘には恐ろしいほどのものがあるんです。
この間なんかぉ父さんに万馬券を当てさせたとか、違うとか。
競馬なんてちっともわかんないくせにね。
『違うもん。星座占いみてたんだもん。双子座は8位だったんだから。』
ゆぅがこっちみてにやけてるのが気にくわないなぁ。
頼むからシュン君の前では妄想癖のこと言わないでょね?
次週、シュン君と二人でイチャイチャ。
ぇ、嘘?
きっと実現して見せます。
だって愛の力はすごいんですもの。