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ゲヒュール  作者: ルイ
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現状戦力

「……勘弁してくれ」

フクスが、静かに頭を下げる。

土下座。

昨日の件が相当堪えているのは明らかだった。

かつて“ペット”にされた時でさえ、

神代や雨宮には見せないでくれと頼んでいた。

「あー……ズルいよなぁ、それ」

朱音が苦笑する。

「可愛いから、許しちゃうじゃん」

フクスが顔を上げる。

「本当か?」

「うん」

少し考えてから、

「週一にしてあげる」

一瞬の沈黙。

フクスの表情が、固まる。

「……やっぱ無しで」

「駄目」

絶望。

「またやってんのか」

背後から声が飛ぶ。

黒崎。

「フクス」

軽く呆れたように続ける。

「弱体化したとはいえ、まだ最強だろ」

「誇りくらい持てよ」

「昨日ので完全に砕け散ったよねぇ」

朱音が楽しそうに言う。

「……可哀想」

黒崎は小さく息を吐く。

「それより」

視線をずらす。

「大丈夫なの」

「何が?」

「リンクスのこと」

一拍。

黒崎は肩をすくめる。

「神代を責めると思ってんのか?」

「リンクスが、自分で決めたことだろ」

朱音が少しだけ目を細める。

「……そっか」

「それより問題はヤクモだ」

「あぁ、例の」

「絶対、何かしてくる」

「対策は?」

朱音は軽く答える。

「フクスがそのうち予知するでしょ」

「結局それ任せかよ」

「でもさ」

少しだけ真面目な声になる。

「私たち、弱体化はしたけど」

指折り数えるように。

「神代くんは再生能力ついたし」

「雨宮さんは魅了と身体能力アップ」

「そこまで悲観する状況じゃないでしょ」

黒崎がフクスを見る。

「で、お前は?」

「どのくらい落ちた」

フクスは少し考える。

「ヴェーラーを、単独で九回は倒せる程度だ」

沈黙。

「……それ、弱体化してるか?」

「出力が無限から有限になった」

「今は蓄積式だ」

「なるほどな」

黒崎が頷く。

「充電に時間かかるタイプか」

「一日ほど必要だ」

再び、沈黙。

「……それ、弱体化してるか?」

朱音が小さく笑う。

「ね?」

「フクス、まだバケモンだよ」

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