変わった未来二
「ふんふんふーん」
朱音が上機嫌に鼻歌を歌う。
「…………」
フクスは何も言えない。
喋れない。
「目隠しに、猿轡、首輪」
指折り数える。
「手足も拘束っと」
楽しそうに笑う。
「いいねぇ、完璧」
フクスは身体を捩る。
拘束を外そうともがく。
「フクス」
朱音が覗き込む。
「無駄だよ」
くすりと笑う。
「魅了、かかってるでしょ」
「力、入らないよね?」
「……うー、うー……!」
さらに布が巻き付く。
猿轡が強く締められる。
「はい、強化」
朱音は満足げに頷く。
「ねぇ、知ってる?」
指先でフクスの頬をなぞる。
「突然変異体がゲヒュールに好かれる理由」
少しだけ顔を近づける。
「フェロモン、つまり匂い」
くすくすと笑う。
「それ、何日つけっぱなしだっけ」
「夏だしさぁ……汗、染み込んでるでしょ」
フクスの身体が強ばる。
朱音はそのまま跨る。
視線を落とす。
「呼吸、抑えてるよね」
じっと見つめる。
「吸わないようにしてる」
「だって――」
小さく笑う。
「吸ったら、壊れちゃうもんね」
間。
「……壊れちゃえ」
指が動く。
首元。
脇。
腹。
そして――肉球。
「……っ!」
フクスの身体が震える。
「ここ、弱いんだ」
楽しそうに笑う。
「脇の下」
呼吸が乱れる。
「ねぇ、大丈夫?」
顔を覗き込む。
「荒くなってるよ」
優しく言う。
「頑張って」
そのまま、囁く。
「壊れちゃうよ、フクス」
笑い声が重なる。
「ほら、もっと」
「頑張って」
時間が、過ぎる。
――三十分後。
「……あれ?」
朱音が首を傾げる。
「反応、ないなぁ」
少しだけ覗き込む。
「……ほんとに壊れちゃった?」
一拍。
「あーあ」
軽く息を吐く。
「ま、いっか」
拘束に手をかける。
「外してあげる」
ゆっくりと解いていく。
「また明日、やろっか」
楽しそうに、笑った。




