変わった未来
「……なぁ、澪」
蓮が口を開く。
「フクスから、聞いたんだけどさ……」
一瞬、言葉が止まる。
「……やっぱ、いい」
澪は何も言わず、
そのまま抱きつく。
「……ギューー」
「澪……」
「大丈夫」
小さく笑う。
「ちゃんと、話し合うから」
一拍。
「キスは最後ね」
「それで落とすから」
「いや、大丈夫じゃないって……」
澪は首を傾ける。
「蓮」
「私の両親が死んだの、蓮のせいじゃないよ」
静かに言う。
「私は、恨んでない」
「……俺を庇ったせいだろ」
澪はゆっくり首を振る。
「違うよ」
「私も最初、動けなかった」
目を細める。
「蓮がいたから、動けたの」
「それでも……」
言いかけた言葉を遮るように、
澪が軽く笑う。
「……普通にキスして落とした方が早いかなぁ」
「ごめんって」
「敵討ちは終わったでしょ?」
「なら、それでいいじゃん」
蓮は少しだけ黙る。
「……確かに」
「もう、怯えて過ごさなくていいしな」
「でしょ?」
澪が嬉しそうに笑う。
「次に進もうよ」
「……分かった」
澪が頷く。
「うん」
「次に進もっか」
少しだけ、距離が近づく。
「蓮が私に抱いてる家族愛」
「それ、魅了で上書きするね」
「……え?」
「次に進むって、そういうこと?」
「当たり前でしょ」
「いや、待っ――」
言い終わる前に、
唇が重なる。
「……っ」
息が漏れる。
澪は離れない。
「よしよし」
優しく、抱きしめる。
「ギューとキス、繰り返そっか」
耳元で、囁く。
「私も、蓮のことしか考えられないし」
少しだけ、声を落とす。
「蓮も、そうなろ?」
「……澪」
澪は笑う。
柔らかく。
それでいて、逃がさないように。
「欲望だし」
「仕方ないよねぇ」




