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聖歌の才能がなくて退学寸前ですが、アニソンなら世界最強⁈  作者: さんご


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その2.ルーナこのやろう

聖歌学園の門扉は広く

しかしお金はかかった。

試験に受かれば学費、諸経費諸々免除されるが

そもそも王都までの交通費、紹介料が高い。

我が家にそんな余裕はなかった。


治療のお礼は受け取らないと決めていたし

母もそうしなさいと言っていた。

父は少し不満そうだったが

母とわたしが大好きなので口をつぐんだ。


お金は村長に借りた。

村長は援助すると言ってくれたが

母は断った。

お金の援助を受けることにより、

わたしが村に縛られることを心配してくれての事だった。


「今までいっぱい治療してきたんだから

もらってもいいんじゃない?」

言葉が喉まで出かかっていたわたしは口をつぐんだ。

母のような立派な大人が近くにいてくれて、うれしかった。


「今までのお礼で出してもらおうよ」

気軽に言った父は母に怒られた。


とにかく借金までして入学した学園をたった1年で退学では

申し訳なさすぎる。


聖歌学園は4年。

きちんと卒業できれば就職口は数多。

村に戻っても正規の料金…は高いらしいから少しお安めにして

でもきちんと収入を得られれば借金が返せる。

とにかくあと3年我慢して資格を取り、卒業しなければ。


学園長室から暗い顔をして出てきたわたしを

呼び止める声がした。

「あら、情けないお顔

よほど厳しく言われたようですわね!」

長い髪を揺らしながら意気揚々と近づいてくる聖歌学園2年のリボンをした美人。


「ルーナ…『アニソン』禁止されちゃった」

「でしょうね。

わたくしが進言しましたもの。ふさわしくないと!」

やっぱりか…とわたしはルーナを睨む。

「貴方のためを思って、ですのよ」

ルーナはツンとアゴをそらす。

意地悪な表情と態度でも可愛らしい子だ。

「『聖歌』を歌えなければ

王宮で働けませんのよ?」

ルーナは横目でこちらを伺う。

「私たちが離れ離れになっても良いと言うの⁈」


友情が重い。


ルーナはどこぞの貴族の令嬢で、聖歌学園卒業後は王宮で働く事になっているらしい。

推薦するからわたしも一緒に働こうと誘ってくる。


聖歌学園では身分なく過ごすようにと規律があるが

入学当初コミ症のルーナは貴族である事を笠に着て色々とやらかした。

「庶民からわたくしに挨拶をすべきなのではなくて!」

「わたくしの荷物を持ちなさい」

「掃除当番?なぜわたくしが?

庶民にやらせなさいな」

ルーナの家に逆らえない人がいるとわかっての発言だった。

そして取り入ろうとする人々…。

わたしは当初徹底的に避けた。

学園を無事に卒業することが目標だったから

争いごとは関わりたくなかった。


休み時間は中庭の人気の無い林の中がわたしの憩いの場だった。

ある日そこにルーナがいた。

泣いていた。

声を殺して。

「あの子たち…

影でわたしの悪口を…」

嗚咽ばじりに聞こえた声に

そりゃそうでしょ。としか思わなかった。

取り巻きの悪口でも聞いてしまったんだろう

自業自得だ。

その場を立ち去ろうとしたわたしの耳に入ってきた。

「友達のつくり方なんて、教わりませんでしたわ」


気持ちがめちゃくちゃわかった。

アニメを見ながら友情に憧れた自分。

友達の作り方なんてわからなかった前世…


気づいたらルーナの背中をポンポンと

叩いていた。

「わかるよ、その気持ち」

ルーナは慌ててハンカチで顔を隠した

「なんですの⁈誰ですの⁈

あっちへいって、馴れ馴れしいですわ‼︎」


わたしは歌った。

それが一番伝わりそうだったから。

青いロボットの歌。

友達の歌。


ルーナはきょとんとしていたが

歌を静かに聞いていて

最後は微笑んでいた。


「わたくしのために、こんなに想いを込めて

歌ってくださるなんて…

ルーナ感動しましたわ!」


この子普段の一人称は名前なんだな

なんて呑気に考えてたら爆弾発言をされた


「親友と認めて差し上げましてよ!」

涙を拭いたルーナは笑顔でそう言った。


それから取り巻きを遠ざけ、態度は改まり、

親友認定したわたしを追い回し、

私欲のためにわたしを退学に追い込んでいるのがルーナだ。


「アニカ…怒ってらっしゃる?」

上目遣いに聞いてくるルーナ。

もちろん怒ってる。しかし『アニソン』では

資格が取れないのも事実。そしてわたしは『聖歌』が苦手だ。

これを機に『アニソン』は封印して『聖歌』を頑張ろうと決心した。

「…怒ってないよ」

「なら、なんれ

わたくしのほっぺを…

ひたいれすわ」

わたしはルーナのほっぺを引っ張りながら決心した。



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