その12.三つ編みは楽なのよ。
倒れたルーナはわたしの『アニソン』ですぐ回復した。
「ぐっすり寝たかのような心地ですわ!」
ルーナはわたしの『アニソン』による回復魔法に賞賛をくれる。
さすが友達だ。
周りの生徒は困惑している。
無理もない。
『聖歌』だからこそ、回復魔法となりうる。
『聖歌』を学ぶからこそ、応用で植物を成長させたりできると学ぶのだ。
その常識を目の前で崩された…村でのように意見が対立するかな?
それとも排除一択かな?
「そういえばお昼はまだでしたよね。
アニカお弁当食べてくださるでしょう?」
上目遣いに聞いてくるルーナ。
「…ありがとう。いただきます。」
へこたれない良い娘だ。
「クーガ様の分も用意しましたのよ。よかったらご一緒しませんか?」
「それはうれしいです。」
「わたくしの手作りですのよ」
「楽しみです。」
前を歩いていく二人…。
二人とも美人で絵になる。
目の保養だ〜。とにこやかに眺めていたが
自分の三つ編みが急に気になり出した。
いつも通り毛がはみ出てるテキトー三つ編み。
ダーラ先生のテストを合格した高揚感がしぼんでいく。
「僕の分はありますかね?」
よだれを垂らしたイグルーが真剣な目でこちらを見てる。
いつの間に?
「わたしの分をこっそり分けてあげるよ」
「期待してます!」
「うん。美味しいね。」
「よかったですわ!
アニカはどうですの?遠方のスパイスを使用しましたのよ」
「ピリ辛で美味しい」
本当に美味しいのでイグルーにあげるのが惜しくなったが約束だ。
サンドイッチをひとつイグルーに手渡す。
ルーナから見えない位置にいるとはいえ、気づかれないイグルーすごいな。
「今、イグルーに食事を分け与えました?」
クーガが睨んでくる。
おっと、勝手にご飯をあげちゃダメだったかな。
「なんの話をしてますの?」
キョトンとしてるルーナ。
「いえ、なんでもありませんよ」
にこやかなクーガ。
イグルーは素早く消えた。
ルーナには紹介しちゃダメなのかな?
それにしてもクーガに睨まれた事に胸がチクリと痛む。
なんで?
目つきが悪いだけさと流せない自分がいる。
なんで?
「お父様からの連絡が遅くて申し訳ないですわ」
昼食が終わる頃ルーナが言った。
昨日、例の本を借りれるようすぐ父に交渉したルーナ。
ルーナに甘い父は二つ返事だったが
保管場所にトラップを仕掛けたらしく解除できないそうだ。
数年前に貴族の間で流行したのが「宝物を守る為の罠を仕掛ける部屋」
バカらしいがロマンはあるね。
その罠を仕掛ける会社まであったらしい。
しかし罠を解除するのが面倒…との事で
需要がなくなり、罠を仕掛けまくった会社は倒産。
罠を解除をされずに「開かずの間」になった部屋が貴族の屋敷に取り残された。
その「開かずの間」に例の「手描きの絵本」は保管されていると言う。
「わたくしの家には「開かずの間」が5部屋はありますの」
自慢げに言う事じゃないよ?
「罠が解除されたら連絡がくるはずですわ」
放課後連絡は来た。
ルーナの父からの「罠解除無理」と。




