第28章 問いかける影
その日の夜。
レンは、夢を見ていた。
暗い場所。
でも、完全な闇ではない。
足元に、無数の影が広がっている。
逃げない。
襲ってもこない。
ただ――
じっと、こちらを見ていた。
(……何だよ……
この感じ……)
声はない。
なのに、問いかけだけが、胸に落ちてくる。
――選ぶのは、お前たちか?
レンは、はっと目を覚ました。
■■“敵”ではない影
翌日、ユイは三人を、
人のいない神社跡へ連れてきた。
「……昨日の影……
ただの暴走じゃない」
ミオが、慎重に聞く。
「……考えて……
動いてた……?」
ユイは、うなずいた。
「ええ。
あれは、“試す”動き」
ハルカが、息をのむ。
「……じゃあ……
話せる……?」
「可能性はある」
ユイは言った。
「ただし――
影はもう、
“完全な敵”でも、
“ただの迷い”でもない」
レンの胸が、ざわつく。
「……中間……
ってこと……?」
「ええ」
ユイは、静かに答えた。
■■クロガネの名
ミオが、思い切って言った。
「……クロガネ……
関係……ある……?」
ユイは、少し間を置いてから答える。
「深く、ね」
三人の宝玉が、
同時に、淡く光った。
「影は――
四神の“欠け”に反応している」
「欠け……?」
ハルカが聞く。
「クロガネは、
影と四神の“境目”に立つ存在」
レンは、拳を握った。
「……じゃあ……
戻せば……」
ユイは、首を横に振る。
「簡単じゃない。
戻すということは――」
少し、言葉を選んでから。
「彼を、
選び直す ということ」
■■三人の迷い
沈黙が落ちる。
ハルカが、小さく言った。
「……戻したら……
また……
いなくなる……?」
ミオも、不安そうに言う。
「……影が……
もっと……
強くなる……?」
レンは、目を閉じた。
(……クロガネ……
オレたちのために……
消えたんじゃ……)
胸の奥が、
きゅっと痛む。
「……それでも……」
レンは、目を開けた。
「……オレは……
もう一度……
話したい……」
ハルカが、ゆっくりうなずく。
「……私も……
ちゃんと……
お別れ……
してない……」
ミオも、青玉を握った。
「……選ぶなら……
三人で……」
ユイは、静かに微笑んだ。
■■次の一手
「では――
次に向かうのは、一つ」
ユイは、神社の奥を指差す。
「影と四神が、
最も近づく場所」
「……そこに……
クロガネの……
“残り”が……?」
「ええ」
ユイは、はっきり言った。
三人の宝玉が、
確かな重さを持つ。
怖い。
迷いもある。
それでも――
立ち止まらない。
レンは、静かに息を吸った。
「……行こう……」
影は、
もう問いかけている。
選ぶ覚悟が、あるのか。
答えを出すのは、
これからだ。




