表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

第18章 四神の試練

 影主からの警告を受けた翌日。

 三人は放課後、ユイに呼び出され、いつもとは違う場所に連れてこられていた。


「……ここ、学校じゃないよね?」

 ハルカが不安そうに周囲を見回す。


 そこは、街の中にひっそり残された小さな神社だった。

 コンクリートのビルに囲まれているのに、

 この場所だけ空気が澄んでいる。


「ここは“四神の気配”が集まりやすい場所よ」

 ユイは鳥居の前で立ち止まった。


「影主と向き合う前に、

 あなたたちはそれぞれ、自分の四神と“ちゃんと話す”必要がある」


「話す……?」

 ミオが青玉を見つめる。


「これまでは、宝玉を通して力を借りていただけ。

 でも次は――

 四神の“性質”を理解しないといけない」


 レンの胸が、どくんと鳴った。


(クロガネを助けるため……

 本気で向き合う時が来たんだ)


 ■■四神の試練は“バラバラ”に始まる


「三人とも、同じ修行はしないわ」


「えっ?」

 三人が同時に声を上げる。


「四神はそれぞれ性質が違う。

 朱雀、青龍、白虎――

 求める答えも違うの」


 ユイは一人ずつ、静かに指をさした。


「レン。あなたは朱雀の試練」

「ミオ。あなたは青龍の試練」

「ハルカ。あなたは白虎の試練」


「べ、別々!?」

 ハルカが目を丸くする。


「心配しないで。

 同じ場所にいるけれど、見えるものが違うだけ」


 ユイが手を合わせると、

 神社の境内にやさしい光が広がった。


 ■■レン ――朱雀の試練「迷いを選べ」


 レンの前に現れたのは、二つの道だった。


 一つは、まっすぐで明るい道。

 もう一つは、影に覆われた細い道。


『……選べ』


 朱雀の声が、胸の奥に響く。


『迷わぬ道か。

 迷いながら進む道か』


「……」


 レンは唇をかみしめた。


 楽な道を選べば、怖くない。

 でも――クロガネがいるのは、きっと影の中だ。


「……オレは、迷う方を選ぶ」


『なぜだ』


「迷いがなきゃ……

 誰かの不安にも、痛みにも気づけない」


 影の道へ一歩踏み出した瞬間、

 朱玉が熱く輝いた。


『よい。

 朱雀は“覚悟を決める心”を好む』


 道は消え、レンは境内に立っていた。


 ■■ミオ ――青龍の試練「すべてを聞け」


 ミオの周囲には、無数の音が流れていた。


 笑い声。

 怒り声。

 泣き声。


 頭がくらくらする。


『……どれを選ぶ』


 青龍の声は静かだった。


「え……選ぶ?」


『すべて聞くことはできぬ。

 だが、背を向けることもできる』


 ミオはぎゅっと青玉を握った。


「……全部、聞く」


『なぜ』


「だって……

 聞かれなかった声が、影になるから……」


 一瞬、音が止んだ。


 そして、青玉がやさしく光る。


『青龍は“受け止める心”を選んだ』


 音は静かに消え、ミオは息をついた。


 ■■ハルカ ――白虎の試練「恐れを認めよ」


 ハルカの前には、大きな影が立ちはだかっていた。


 足がすくむ。


「……こわい……」


『逃げるか』


 白虎の低い声。


「……逃げたい」


 正直な気持ちだった。


『ならば、逃げよ』


「……でも!」


 ハルカは顔を上げた。


「怖いって思ってる自分を、置いていきたくない!」


 影が、ふっと小さくなった。


『白虎は“恐れを認める強さ”を尊ぶ』


 白玉が、まぶしく輝いた。


 ■■試練の終わりと、新しい力


 光が消え、三人は再び境内に立っていた。


「……戻ってきた」

「夢……じゃないよね?」


 ユイは三人の宝玉を見て、深くうなずいた。


「成功よ。

 これであなたたちは、四神の性質を理解した」


 レンは胸の奥に、前より強い“芯”を感じていた。


「これで……影主に近づける?」


「ええ。でも――」


 ユイは少し表情を曇らせる。


「影主は“元・人間”よ」


「……え?」


「強い感情に飲まれ、

 影の世界に取り込まれた存在。

 だからこそ、クロガネもそこに縛られている」


 三人は息をのんだ。


「影主を倒すだけじゃ、救えない。

 向き合い、選ばせる必要がある」


 レンは静かにうなずいた。


「……じゃあ、オレたちがやることは一つだ」


「うん」

「一緒に、連れ戻そう」


 三つの宝玉が、同時に強く輝いた。


 影主との対決は――

 もう、すぐそこまで来ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ