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ep7.私は妖精さん?



木星改め緑茶毛玉は私にこう言った。




「オマエは森の者を奪った。だから森の者はオマエを奪う。」




それはこの間の山火事を言っているのか?

ならアレは不慮の事故というもので……

そもそもあの山、もとい森の管理人さんが居るならなんで今日まで姿を見せてないんだ。

それこそ管理不行き届きじゃないか。




毛玉はこちらをジッと見ている(目は見えないが視線を感じる)。




────あの、いまいち話がよく分から「というかオマエなんで耳出さない?そんな四本足より耳大事」




遮りやがった。コイツモテないぞ。

というか耳を出すって、今の私には耳が無いの……あ、無いわ

考えながら顔をペタペタ触っていたら耳が無いことに気づいた。というか目と口以外何も無いぞこれ。

ホラーがすぎる。

ここまでどうやって音を聞いていたんだろうか。




───耳ってどうやって出せば良いんですか?




こういう時は人に聞くのが一番!人じゃないけど。

心なしか毛玉が呆れている気がする。




「その足を出すのと一緒。そんな大きなものは作れるのに耳は作れないの?」




足を出すって……気づいたら出てたものだし……。でも何となく分かるところがある。

初日に触手が出た時、あの時私は腕を出そうとしていたはずだ。

つまり欲すれば器官も作れるということ?



何はともあれやってみる。




────耳出てこい〜〜〜〜ついでに他のも美形で出てこい〜〜〜〜〜〜





キーーーン カサ ビュオォ ガサ パキ カサ ビュオォ カサ ビュオォ ガサガサ カサ ビュオォ ガサ カサ ビュオォ ガサ ジジジ パキ カサ ビュオォ パキ カサ カサ ビュゥ パタパタ パキ カサ ビュオォ




「ウワッ!!!!!!!!」





情報量に圧倒される。

今のは毛玉の声ではない。私の声だ。

私は自分の声にまたびっくりする。

なるほど、こりゃ文句を言われるわけだ。




毛玉はその様子がおかしかったらしい。

震えている(笑ってる?)




何はともあれ耳を出すことが出来た。

それにしても失礼な奴である。

初めてメガネをかけたら人は感動するものだ。

どうやらこちらの不満気な様子を理解したらしい。




「これでオマエも少しはワレワレらしくなった」




「ワレワレって?」




「ワレワレは舟と(コン)、それによって成る。生の者たちとは別。」




要領を得ない説明だ。

フネトコン?セイノモノ?日本語(ひのもとことば)喋れよ。

冗談はさておいて、毛玉の言ったことをそのまま受け取るなら私たちは動物では無いと言ってるように感じるのだけど。

なら私たちは何なんだ?




「コンってなんですか?」




「コンは欲し、思う。」




またまた要領を得ない返答だ。哲学問答をしたい訳じゃないんだが。この非モテ毛玉はこんな言い方しか出来ないのだろう。



「つまり私たちは肉体を持たない自我という事?」



「よく分からんがそうだ。」




おい。よく分からんとか言ったぞ。

ほんとにこいつのこと信じて大丈夫か?


でも、仮にコイツの言ったことが全てそのままなら、私は魂とその器かつ乗り物である体を持つ、妖精みたいな存在なんじゃなかろうか。

ずっと魂だけな感じしたし。

勘弁して欲しい。

SFチックなキャトルミューティレーションの線は消えてしまったじゃないか。

異世界転生や転移にしてもそもそも生きていないだなんて。

いやまあアイツの言う通りなら生きてるのと同じだけど。



にしても



「なんでそんな見た目なんですか」




別にdisでは無い。

ここまでずっと気になっていた。木星や毛玉がコイツの言う舟なのだとしたら、なんでこんな見た目が変わるんだ。





「?これがヤマだからだ。」





ああ、そっすか。

つまり自認している姿ならなんでもいい訳か?

だから私は人型でコイツは異形なのか?


つまり私が自認をアノ妖精の姿にしたら────




全身が縮むのを感じる。

毛玉は不可解そうな顔をしている。

無視して体を作り替えていく。

小さくなった体には露出の多い肩出しのミニスカドレスを。

頭には金髪お団子ヘア。

背中からは透明な4枚の羽。


出来てしまった……。

有名な妖精そのものの姿が……。





「オマエは自分をそう見ているんだな……」





毛玉のくせにちょっと引いたような反応しやがる。

別に良いだろ。

コスプレなんて初めてなんだぞ。

そうやって人を馬鹿にしてたらつまらない人間になるぞ。

人間じゃないけど。





「そんなことしてる場合?オマエ、モリのこと忘れたか?」




「そういやそんなの居ましたね」




「そんなのとはオレの事か?」




やべっ




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