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ep1.私はどこ、ここは誰



まるで見たこともない月に見蕩れてから早1時間





私は地面に横たわり、イヤイヤのポーズで手足をジタバタさせていた。さながらおもちゃコーナーの5歳児である。

微笑ましくは無い。





頭がおかしいと思われただろうが、そうでもしないと正気じゃ居られなかったのだ。私は今、ただひたすらに同情と安息感を求めている。




少なくともこの1時間でだいたいの事を把握する事は出来た。理解はしたくないが。





まず一つ目に、ここは本当に知らない場所のようだ。



ずっと山を降りて居るが街の灯りも文明の痕跡も、道も足跡も何も見つからないのだ。



まずもって日本では無い。

死後の世界かもしれないし違う星か異世界かもしれない。月は変だし。




大方宇宙人やら神やらにでも連れて来られたのだろう。

そうとしか思えない。



はた迷惑な輩である。

キャトルミューティレーションするにしてももっとこっちのことを考えて欲しい。

1時間イベント無しに放置はセンスが無さすぎる。



まあとりあえず、今は何とか生きる為に水場を探すしかない。

どうやら草木ははだいたい見た事のある形状のものばかりである。一部知らない物もあるが。

なんなら足元に生えてるのはワラビじゃないだろうか、天ぷらにしてやろうか。


兎にも角にも、ここがどこか分からない以上助けもいつ来るか分からない。

だからこそ水の確保を最優先にすべきと色んなメディアが言っていたことを実践する。


こんなところで野垂れ死んでも全国ニュースに載るどころか年間5000人増の行方不明者リストに入っておしまいである。そんなのは絶対に嫌だ。





先程から宇宙人やら神やらに連れ去られた前提で話を進めているが、これにはそれ相応の理由がある。


それが二つ目に分かった事である。




私はどうやら肉体改造?を受けているようなのだ。

現在私は、肉体という檻を飛び出してしまっているのだ。


冗談でもなんでもなく、どうやら私には体が無いようなのだ。

正しくは、薄ぼんやりと発光する自分自身に当たり判定が無い半透明の体がある。つまり全裸だ。



まあほぼ幽霊と一緒である。なんなら服が無いから幽霊以下である。




しかし痛覚も触覚も一応ちゃんとあるのだ。

目覚めた時に草がチクチクしていたのは分かったし、斜面を歩いていると重力に頭が引っ張られる感覚もあった。



味覚も土を直接舐めたおかげでちゃんと存在する事が分かった(すっ転んだ時に口に入った)。


感覚だけあっても困ってしまうんだが……





そして3つ目、私はどうやら記憶喪失らしいのだ。


だのにこんな訳の分からん場所に居る、こんな訳の分からん体になってる。

頭がおかしくなりそうである。



日本がどんな場所か、地球がどんな場所か、私が居た街がどんな場所か、ここまではハッキリと分かる。

しかしそれ以上、自分自身の事となると男だったのか女だったのか、学生だったのか社会人だったのか、どこに通っていたのか、家族が居たのか、そもそも人だったのか、何も分からないのだ。



本当に頭がおかしくなりそうである。


そうして不安でいっぱいになり、訳の分からない場所で全裸のままジタバタしているのだ。



ちょうつらい……

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