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第91歩兵師団司令部、異世界にて指揮を執る。  作者: フニャンスキー


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27/83

27 燃料集積場

思いつきながら書いているだけあって、細かいところで帳尻が合わなくなってきています笑

なんとか矛盾がないように書いていますが、見つけても生暖かく見守ってください。よろしくお願いします。

 補給処「蜂の巣箱」

 補給処長 テッタウ少佐


 いつもどおりカツコツと規則正しく機械仕掛けのように歩いて出て行くシュラーガー少佐の後ろ姿を見送った後、続いてマールマン中尉が準備のために出て行った。

 それから少ししてシュラーガー少佐が連れてきた少女のようなダークエルフが遠慮がちに入ってきた。

「ええと、フィーラさ・・フィーラ軍属殿、こちらにどうぞ」

 ダークエルフに向かって声を掛けると、慎ましい笑顔とともに進んできた。

「そこの机を使ってください」

 俺が使っている机の前、ゼップ少尉の机と向かい合っている机を指し示すと素直に移動して椅子に腰掛けた。

「シュラーガー少佐から何か言われていますか?」

「はい、別に命令するまで待機しているように、と」

 ずいぶんと従順だな、と思いながら頷くと

「それでは、そのようにしてください。装甲車で移動するのも疲れたでしょう」

「はい、初めて乗りましたので、無作法してしまいました」

 フィーラ軍属の答えに少し違和感を覚えつつ、笑顔で返した。

「まぁ、初めてなら仕方ありませんよ。本来ならもう少し違う車にお乗せするべきなんですがね、シュラーガー少佐は任務第一主義なので」

 俺の言葉にフィーラ軍属は黙ったまま微笑みを返してきたので、俺も笑顔を返した。

(すでに経験済みで知っている、か)

 だよな、という結論であった。


 準備を整えて戻ってきたマールマン中尉に野戦飛行場の位置を教え、航空機の運び出しの段取りを整えると、中尉と工兵中隊を見送って事務所に戻った。

 その間にフィーラ軍属にお茶が出されていて、彼女は机に向かってカップを手にしていたので俺も自席に戻った。

 椅子に腰掛けて背もたれに背中を預けると、視線を中空に漂わせながら今回の襲撃で浮かんだ疑問について考えてみた。

(我々がこちらに来たと言う事と、襲撃してきた共和国軍が飛んでいた飛行機ごとこちらにいたと言う事は、地上と空中両方で起きたと言う事なんだよな。そうすると、ここを中心にした範囲にいた部隊なり物体がこっちに転移したと考えてよさそうなんだが、転移した基準と言うか理由みたいなのはなんなんだ? 軍に関係する施設や乗り物とそこにいた人間と言う事か?)

 しかし野戦警察中隊が駐屯していた集落は軍が使用していただけで純粋な軍事施設ではない、だが集落の建物は全て元と同じくあったそうだ。

 ちなみにコールローザ―警察大尉が中隊本部に使っていたのは、共和国の貴族がこの辺で狩猟をする時に滞在するために建てた館だったらしい。

(ちゃっかり良い思いしやがって)

 などと思いつつ、師団司令部が宿営していたエグリーズ村もその一例になっていることを思い出した。ということは、軍事施設に限らず軍が使用していた建築物も含まれるらしい。先程聞いた野戦飛行場の状態からすると、航空機や天幕だけでなく地面も滑走路として認識されれば施設に含まれると言う事になるのだろう。

(無人有人は関係無いようだし、現在使用していなくても以前使用したことがある物は全て、ということなのかな?)

 俺が考えたとおりなら、この周辺の村や集落で宿営に使われていない所はないだろうから、それらの建物だけ元の位置に建っている、ということになる。

(もし同じ場所にあるのなら、誰にも使われないまま朽ちさせてしまうのは惜しいなぁ。・・・あとはその範囲がどこまでなのか、と言う事だな)

 俺の席から向かい合う壁に掛けてある地図を見ながら考える。

 これはグライダーが発見された事を受けてゼップ少尉の発案で作ったもので、地図を板に貼り付けて位置関係を把握しやすいように色付きの押しピンを刺せるようにしたものだ。

 元の地図はここにいた共和国軍が作製したもので、補給処を中心に20キロメートル四方の森林や河川等の地理情報と、村落、道路、鉄道等の施設情報が記載されていた。

 今のところ地図には師団司令部と補給処を示す青色、グライダーの位置を示す赤色、野戦飛行場を示す黄色のピンが刺さっていた。

 これを見ると、補給処から野戦飛行場までの約8キロが最大範囲になるが、その先はどこまでなのか、と見ていると

「どうかしましたか?」

 ゼップ少尉とフィーラ軍属が席から顔を上げてこちらを見ていた。

「ああ、ちょっとな」

 そう言った後、今考えていたことを2人に話して聞かせた。

「そうですな、こちらに来たまま放置されている物資があるとすれば、回収しておきたいですなぁ」

「・・・・・・」

「フィーラ軍属はどうお考えですか?」

 黙ったままのフィーラ軍属に話を振ってみた。

「これは、シュラーガー少佐殿にはお話したのですが・・・」

 フィーラ軍属がこの森について思っていることを話してくれたが、なかなかに衝撃的な内容だった。

「貴女ですら初めて見る光景と、それを生み出した大きな力ですか・・。そんなもの俺たちに分かるはずはないか」

「正直申し上げて正体が分からないので、そのような言葉しか思いつかないのです」

 困り顔のフィーラ軍属に頷いて理解していることを伝えた。

「その、その力が我々に向くということはあるのでしょうか?」

 ゼップ少尉が恐る恐る聞いてきた。

「無いと断言できませんが、今のところはそのような感覚はありません」

 ゼップ少尉は黙り込んでしまい、聞き耳を立てていた他の連中も同じ心境に落ちているのが感じられた。

「まぁ、俺たちを骨にしたいんだったら、とっくにやってるだろう。好意的な感覚があるということだし、安心していいと思うぞ」

 俺がそう言うと、フィーラ軍属が頷いた。

「骨になった奴らは怒らせちゃいけない何かを怒らせたんだろ、俺たちは同じ轍を踏まないようにしないとな」

 事務所の中を見渡しながら続けて言うと、ゼップ少尉はじめ皆が黙ったまま頷いた。

 俺はフィーラ軍属に視線を戻すと

「その大きな力と、我々がこちら来たことは関係がありそうですね」

「はい、私もそう考えています」

 彼女の答えを聞いて頷いた。

(仮説ではあるが、間違っているようには思えない。おいおい分かることもあるだろう。こっちに来た基準も確認できた事実を積み上げていくしかなさそうだな。その辺はこれぐらいにしておいて、手つかずで残されている施設と物資の回収を進めないと。野戦飛行場の例を考えると、とにかく軍が関わった施設が対象らしい。力がどこまで及んでいるのか範囲を探りながら、何もかも回収してやる・・・)

 そう思いながら再び地図に目をやると、ふと地図の一点で視線が止まった。

 地図の左上、北西から緩やかに南東に向かって伸びている鉄道と、緩やかに蛇行しながら西東に伸びている幹線道路、この二つが補給処の北で接近して併走している箇所で俺の視線が止まった。

 位置的には野戦飛行場の真北より少し左、距離で言うとここから15キロメートルぐらいだろうか。

「ん?」

 思わず出た声にゼップ少尉とフィーラ軍属が反応してこちらを向いた。

「どうかしましたか、少佐殿?」

 ゼップ少尉が首を伸ばして顔を覗かせた。

「いや、何か重要なことを忘れているような・・・・・あっ!」

 凄く長い間忘れていた事を思い出したような感覚を覚えたが、実際はそれほど経っていない。ただ、非常に重要なことを忘れていたのだ、非常に重要な物資のことを。

「ゼップ少尉、あれはあのままだった、な」

「あれ、とはどれのことですか?」

「道端に積んだままのあれ・・」

「道端・・・、あっ!」

 ゼップ少尉が目を見開いて電光のように反応した。

「待て、落ち着け。今更どうにもならんし、あるかどうかも分からんぞ」

「いや、それはそうですが」

「それにあったとしても、そのままにしておくしかないんだ、そうだろう」

「それはそうですが、確認はしておかないと」

「それはそうだが、勝手に部隊を動かすのはマズいな」

「そうでした・・。それならブリンクマン中佐が戻って来た時に相談してみては」

「そうするか」

「はい」

 ゼップ少尉と俺は机に両肘を着いてがっくりと頭を垂れてしまった。

 フィーラ軍属が目をぱちくりさせてこちらを見ていたが、そんな事を気にする余裕はなかった。

(シュラーガー少佐に知られたら怒られるなぁ)

 まず心配なのはそこであった。


 それから気を取り直してゼップ少尉に以前作成した書類を探させたり、記録されている数字を確認したり、コーヒーを2人分淹れたりしていると、外から重々しいエンジン音が聞こえてきて事務所の前で止まった。

 ゼップ少尉と顔を見合わせて気持ちを落ち着かせると、入ってくるその人を待った。

「只今戻りました。」

 ブリンクマン中佐が爽やかな笑顔で略帽に右手を当てながら事務所に入ってきた。

「おかえりなさい、中佐殿」

 俺は努めて笑顔を作りながら直立不動で迎えた。ゼップ少尉も同じようなものだ。

「補給が行き届いているので作業は予定より早く進んでいます、テッタウ少佐のおかげですよ。それに、あの装甲指揮車はとても使いやすいですね、あれも共和国軍の車輌ですか?」

「中佐殿、いつもどおりの仕事をしただけですよ。あの装甲指揮車はグレーブリン王国製なんです。共和国軍が輸入して採用したやつでして、使いやすいように少し改修してあるんです。あともう2台ありますので、師団司令部でお使いになりますか?」

 俺がそう言うと、入ってきた時からご機嫌で話しているブリンクマン中佐の顔が、さらに明るくなった。

「よろしければ是非お願いします。師団長閣下は前線で指揮を執るお考えのようなのですが、その際の安全確保が悩みの種でして。あの装甲指揮車があればかなり改善されます」

「そうでしたか。それでしたら、もう少し中を綺麗にしたやつを準備しましょう。師団長閣下専用にしてもいいかと思います」

「ありがとうございます」

 極上の笑顔になったブリンクマン中佐に、俺とゼップ少尉が笑顔で答える。

「・・・・何かありましたか?」

 その笑顔に違和感を覚えたのか、ブリンクマン中佐の笑顔がゆっくり消えた。

「いや、ちょっとご相談したいことがありまして」

「相談ですか、未把握の損害がありましたか?」

「いえ、そうではありません。確認したいことがあるのです、早急に」

「早急にですか、なにを・・」

 ゆっくりと近付く俺に警戒しながら、ブリンクマン中佐が身構える。

「実は、共和国軍の燃料集積場があるのです」

 俺が低い声で告げた内容に、一瞬の間を置いてブリンクマン中佐は瞬時に反応した。

「そ、それは本当ですかっ!」

 事務所内にブリンクマン中佐の声が響き渡った。



 前同

 第91歩兵師団司令部軍属 ヴィクゼル・ヤスウェル・フィーラ


「ゼップ少尉、あれはあのままだった、な」

「あれ、とはどれのことですか?」


 フィーラは突然始まった2人のやり取りを黙って見守っていた。

(お二人とも肯定しているのか否定しているのかよく分からないわ。察するにテッタウ少佐殿が大切な何かを忘れていたようね。あの飛行場と航空機の事も忘れていたみたいだけど、お忙しいから仕方ないわね)

 やり取りを終えて、目の前で落ち込んでいる2人を見ながら多少同情する。

(それにしても地上を走る車輌や装甲車だけじゃなくて、航空機って空を飛ぶ機械もあるのね。シュラーガー少佐殿に教えていただいたけど、異世界の軍勢は凄いわ。もっと他にも色々な物がありそうだし、なんだかワクワクしちゃう。お姉様が言っていたとおり、私も凄く興味が湧いてきたわ。ホーフェンベルグ伯爵様がこの軍勢をどう使うのか、それによってこの世界が変わるかも知れない、そう思うと居ても経っても居られなくなるわ。なんとしても見届けないと。あと、お二人のこの後も)

 傍から見ると落ち込んでいる2人を困ったような笑顔で見ているが、内心では毒があり過ぎる満面の笑みだった。


某少佐「ターン終了!」

某少佐「・・・・・」

某中将「wwwww」

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