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思い出のビーフストロガノフ

こんばんは。

また続きを書きたくて、というかキャラクターの意思表明のまま、書いている次第です。


大学院にこの春入学して、最近作文能力というか、文才には、自分に頭打ちを感じています。

でもキャラがいて、ただ物語を書きたくてというのが先行しています。


わかりやすく表現できるように、かつてのように格好つけず、書きたいなと思います。

あとがきは読む順番をただ記しています。

どこからでもいいのですが、感想反応を励みにしていますので、お付き合いよろしくお願いします。

         ※


 店主から急遽宿屋を買取って、食事場にいた者達に今食べたものを全て無料にすると約束することで、自分たちの安全を交渉で勝ち取ってきたワギは、しれっと言った。


「あ、ごめん今日の夕食は考えてない。調理人にも金を渡して、今日は帰ってもらったんだよ。今食べてる食堂の食べ物が尽きたら、終わりだね。だが酒はいくらでもある、心ゆくまで楽しんでくれ」

 そんなふうに食堂に座っている、主に地元の男たち、おそらくパーティを組んでいる冒険者達に大盤振る舞いをしようとしている。


「私の夕食はーー?」

 ソフィアは声のトーンを低くして質問した。

 だがワギはサラッと答えてくる。


「食べたいの? 酒と今あるつまみで我慢しろ。でも調理してある料理は口にするなよ」


 待ってよ。

 宿より食でしょうが。料理を口にするなって、嫌すぎて、ソフィアはじっとりとワギを睨んだ。

 つまり衣食住で大事なのは、一番は食なのだ!


 ソフィアは絶望を表情に隠しきれずに、なんとも複雑で、鼻に皺をよせ、間違えたジクソーパズルのように無理矢理な強引さに表情を引きつらせた。


 酒とつまみで腹が膨れるはずはない!

 ソフィアは断言したかった。


 感情が顔に出てしまっていたのか、リトウがワギの前に割って入った。

「あのー材料はあるのですから、私が作りますよ、今日の夕食」

「作れるの?」

 パッと顔を明るくするソフィアに対して、リトウは首肯する。

「まぁあまり美味しいものを提供できるかどうかはわかりませんが、このまま放置したら、ソフィアさんはブチキレて今にも食事場に向かいそうですから」

 その通りだと、ソフィアはうなづいた。


「ふーん。モリ、おまえ相変わらずの甘ちゃんだな」

「和木君は人を軽んじ過ぎるよ」

「こいつってーー、人か?」

「少なくとも、ソフィアさんは人格があるし、身体はサナレスの妹姫、皇女リンフィーナ様のものだ。リンフィーナの生命にも関わること、僕は見過ごさないよ」

 ふん、とワギが鼻を鳴らした。


「今晩の食事は僕が用意します。その代わりにソフィアさん、絶対に食堂に今ある食事には手をつけないで欲しい」

「どうして!?」

 ソフィアは今すぐにでも空腹を満たしたくて、抗議する口調になったが、それをリトウが冷静に低いトーンで、ぼそっと説明した。


「毒入りなんですよ」

「は?」

 衝撃しかない。


 毒入りだって?

 ソフィアは一気に食欲が減退した。毒があってもソフィアは死ぬことはない。けれど、傷んだものを食べてしまい、お腹が痛くて苦しんだ幼少期を思い出し、見過ごすことはできなかった。


「毒じゃないよなぁ?」

「麻薬は、毒です」

 一瞬、ワギとリトウの間で決定的な意見の違いがぶつかりあい、ソフィアは静観する他ない。


「薬は使いよう」

「だから僕は、その意見には賛同できない。ーー和木君……、ここにきて、また君が薬を使うなんて……」

「ラーディオヌ一族の総帥は、私の考えを否定しなかったよ」

「もともと、薬に耐性があるお方ですからね。麻薬は合法じゃないです」

「それはあっちの世界での話だ。こっちでは合法、てかその手の法律すらないだろ?」

 麻薬が合法か否かとか、不穏な会話がやりとりされ、ソフィアはとにかく今食堂で無料だと振る舞われている食べ物に手を出してはいけないのだということは理解した。


 このワギ・ヨースケとリトウ・モリという男2人は、一緒にここにいるだけで、どうやら竹馬の友という関係性ではないらしいことを学習する。


「腹が減っているんだ」

 煩わしいことを、これ以上考えていても埒があかなくて、ソフィアは気持ちを言葉にした。

 リトウはそれに応えるように微笑んだ。


「久しぶりに和木君、ビーフストロガノフを作ろうかと思うよ」

 なんだそれ、とソフィアが首を傾げたのだけれど、ワギはどこか懐かしそうに目を細めた。


 それなのに言葉はそっけない。

「今ある材料で作れるなら、なんでもいいさ」




偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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