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どんどん欲張りになる

こんばんは。

あ、修論を書く期日が迫ってきているのに、こんなに呑気にかきたい小説を書いている。

なんか、すみません。


最近、私の下手な文章をAIに任せるっての、ちょっと考えます。

仕事ではAIフル活用なんで。


人が滅びて、AIみたいなデジタル知能が生き残った時のことを考え、私の残りの余生はAIに小説の再編を頼もうかな。

てかそれを一つ、ネタとして先にあると思っています。


人の想像力のキャラクターって美しすぎるからね。


ネタバレはここまで。

でも想像できる産物は、想像の範囲を超えていく。

遺伝子なんて最たるものですね。



    ※


 アセスとリンフィーナ、二人を追いかけることよりも父親であるジウスから伝えられたミッションを再確認しているサナレスを冥府に残したまま、リンフィーナとアセスは先んじて異世界に転生しようとしていた。


 時空が歪む。

 異世界の文化も、時間も、全てが走馬灯のように流れるレテの川に流されるリンフィーナは、初めての体験に恐怖していた。

 ただ、アセスの声と真剣な眼差しだけが目の前に見えている。

 転移空間で、アセスがリンフィーナに手を伸ばしていた。


「別々の時空で転生すれば、出会うことなんて絶対にできません。手を繋いでいてください」

「ーーうん」

 でもアセスが自分に伸ばしてくる手を繋いで良いものか、リンフィーナは躊躇ってしまう。


「私はーー」

 とても怖くて震えていたけれど、自分はサナレスとアセスを天秤にかけ、サナレスを選んでいる。


 そんな躊躇がアセスに伝わったのか、アセスはリンフィーナの左手首を右手でぎゅっと掴んでいた。

「こんな大事な局面で、迷われるなんてやめなさい。私は、あなたがた兄妹の力になりたい。私は、すでに自分がどうなろうと、お二人の役に立つことを決めているんです!」


 レテの川の流れが早くて、リンフィーナが迷うと、だんだんとアセスとの距離が開いていく。それは物理的な距離ではないようだった。魂の距離だ。

「一緒にこの局面を乗り越えるのです。リンフィーナ! あなたの意識がなければ、一緒にはいられません!」

 たとえ私が貴方の体を抱き止めていても、とアセスは訴えかけてくる。


「一緒にサナレスの視力を取り戻すんです」

 アセスはともすれば離れそうになるリンフィーナの心に語りかけていた。


 サナレスの視力を取り戻すという言葉に、リンフィーナは再び、離れそうになるアセスに意識を向ける。


 人というのはなんて我儘なのか。

 リンフィーナは冥府のレテで溺れそうになりながら、アセスの声だけを聞いていた。


 リンフィーナはそもそも、ラーディア一族の王族ではない出生だった。

 魔女ソフィアのラバース(分身)という、生物としての出自ですら危うい存在だというのに、サナレスの庇護の元に成長した。


 当然兄サナレスは次世代の王族であり、妹としてリンフィーナを育ててはくれたが、サナレスには忘れられないほど好きな女性がいたのだと知る。

 妹として育ててくれただけでも感謝しなければならないと言うのに、長らく自分の出自について知らなかったリンフィーナは、なんとか自分が兄の伴侶になれると、ずっと幼い頃からそれを願った。


 それが無理だと知った思春期、リンフィーナはアセスと再会した。

 サナレスの気持ちを自分に向けられないと思ったリンフィーナは、実兄との婚姻を一旦は諦めた。出会ったアセスに誘われるまま、彼と婚約することを決めておきながら、一時期アセスから離縁を切り出されることになって、また迷った。


 人の心というのはなんて我儘で、そして私利私欲に満ちているのか。

 ラーディア一族というアルス大陸のこの世に生まれたばかりの頃の以前は、サナレスがそばにいてくれるだけで、至福だと感じていた。

 それなのにサナレスを独占したくなり、年頃になりそれを諦め、違う人であるアセスに目を向けた。


 幼いリンフィーナは、サナレスさえそばにいてくれればそれで世界が完結したと言うのに。赤子であるリンフィーナは、その能力を意識してはいなかったけれど、魅了眼でサナレスに近づいた。

 たとえそれが恋愛感情抜きの関係でも、現実にサナレスがそこにいてくれればいいと思っていたのだ。

 彼が側にいてくれるだけで満足だった。


 やがてリンフィーナの欲望が、サナレスとの関係を変えていった。

 親しくなればなるほど、人というのは自分の欲望に忠実になってしまう。

 血がつながらないというだけで、完璧な兄なのに。身内でいてくれたのに。


『兄様!』


 こうであれば良いという欲望は際限なく思考され、感謝すらせず、さらに無理難題を生み出してしまう。


 その結果、サナレスが失明した。

 そう。大切なサナレスが失明してしまったのだ。


 赤子のリンフィーナは、サナレスが側にいてくれて、彼のエメラルドグリーンの瞳がこちらに向けられるだけで幸せだった。リンフィーナはサナレスに、自分を視界に入れてもらう機会を失ったのだ。

 リンフィーナはサナレスが視力を失ったことを深く受け止めていた。

 悲しい。つらい。


 サナレスはずっと変わらず、自分の兄でいてくれたというのに、リンフィーナ自身がその関係を壊してしまった。後悔と落ち込みが押し寄せていた。


 だからここで、アセスの手を取ることに躊躇いがあった。

 ずっと兄サナレスが、永遠にも近い、リンフィーナとは違う女性を恋人だと思って恋焦がれていたとしても納得すればよかったと思っていた。ずっと兄サナレスを、兄でないとは知ってその上で焦がれても、リンフィーナはサナレスを好きでいられることが理想だった。


 ずいぶん贅沢だ。

 こっちを見てほしい。

 自分に夢中になってほしい。

 そんな気持ちは、今思えばなんて贅沢だったのだろうか。


 ただ願う。

 サナレスの目が見えていてほしい。

 自分を見てくれていなくても、視力を取り戻してほしい。


「アセス、私ね。サナレス兄さまに幸せになってほしいの」

 涙まじりにそう言うと、アセスは微笑んでうなづいた。

「同意しております。私も同じ気持ちなのです。だから迷わず、私の手を取ってください」

 リンフィーナは同じ心の灯火に、すっと手を伸ばした。


「ごめんなさいアセス」

 リンフィーナが謝罪する理由の全てを知っていても、アセスがリンフィーナを受け止める力は思いの外強くて、リンフィーナは魂ごと引き寄せられた。

「大丈夫です」


 転生先の出口が二人を包み込む。

「何が大丈夫なの?」

 リンフィーナはアセスに聞いてみた。


「私は、あなた方兄妹に対して、永遠に片思いでも大丈夫です。リンフィーナ、貴方の思いごと、私が貴方を大切に思っています。その生命の人生を引き受けます」


 

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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