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保証する概念

こんばんは。

描きたいので更新している小説ですが、

何かしらの反応は励みになりますので、

よろしくお願いします。


感想とかもなんでもいいからほしいです。

何もないと寂しい。


いや。好きだがらぼっちでも書きます。


お一人目、ブックマーク感謝申し上げます!!

        ※


 日も暮れて、三人になったので、一行は小さな宿屋に入ることにした。

 三人を一目見るなり、店主は明らかに動揺している。


「あんたら、ーーあなた達、あなた様方はーー」

 何回言い換える!?


 手続きをする立場にある店主が、三人を見るなり腰が引けて、壁側に後退する。


「一晩でいい。宿を頼む」

 そのように伝えても、一向に歓迎される雰囲気はない。


 食堂兼フロントから、ソフィア達一行を一刻も早く遠ざけたい店主は、廊下を先導しながら、声をひそめた。

「この辺りの街の住人は、お貴族様には不満いっぱいなんですよ。本当はこのまま、勝手口から逃げた方がいいと私は思うのですが……」

 店主は疫病の流行を危険だと言っているのではなかった。それで多くの命が失われた恨みが、貴族に向いていることを示唆してくる。


「どれくらいの確率で揉め事になりそうなんですか?」

「カクリツ? ダンナさん、それなんですか?」

 リトウの質問に店主は曇らせた顔で振り返る。


 古い宿だが、地域に根付いて経営してきたことは、彼の人柄から感じ取れるようだ。年代物の調度品の数々が、とても大事に維持されている。

 ソフィア自身、そういったことに気が付いてはいたけれど、所詮この宿がどうなってもしったことかと思っている。


「食事は何?」

 食い意地ばかりの質問をしていた。

 その横でくすとワギが笑って、さらに質問する。

「酒の種類は?」


 店主は肩を落として深いため息をついて、前を向いた。一階一番奥の部屋の鍵を開けて、そこに三人を案内した。

「同じ部屋?」

「お貴族の姫様には申し訳ありませんが、これが私にできる精一杯ですよ。それに護衛の方々が一緒の方が、私は安全だと思います。ーー私のようなものがお貴族様にお会いすることができ、私どもの宿に泊まっていただけ、会話できることは光栄に思います。ですが本当に、……昨今は、状況が悪い」

 店主は本心から心配し、途方に暮れているようだった。


「すみません。ほんっとすみません。おっしゃるように僕たち、このまま出て行ったほうがいいと想像できたんですけれど、女の子が一緒なんで野宿もできませんし。ご面倒はおかけしないようにしますから」

 リトウが執りなして、なんとか三人で部屋の中に落ち着いた。


「店主がいい人で良かったですね」

 リトウは部屋に入るなり窓に近寄って、木製の粗末な雨戸を閉め、さらにカーテンを引いて、部屋の中を完全に見えないようにした。

 リトウの行動を見て、ワギが肩をすくめている。


「お前達は何を心配しているのだ?」

 夕食がいつ、何が、運ばれてくるのかばかりに興味があるソフィアには、2人の行動の理由は想像できなかった。


 サナレスであれば、ソフィアに接する時、絶対にその理由を丁寧に説明してくれた。最初は全くサナレスを理解できず、分かり合えない壁を感じたけれど、サナレスはソフィアを理解しようとして、言葉を尽くしてくれていた。


 人は言葉を有する。

 だからこそ、なぜとか、どうしてとか、勝手に想像するのではなく、言葉を尽くしてほしい。


「私にはわからない。わからないから話せ」

 人と関わり、ソフィアも学習していた。

 わからないことを理解するには、自分から歩み寄る。魔女として忌み嫌われる前は、人とすら関わらず、親代わりは一匹の竜だった。

 飢えずに、寒さ暑さを凌げればそれでいいと言った環境で育ったソフィアには、人間は難しかった。


「簡単に説明しますね」

 リトウの方がソフィアに対して、優しい言葉をかけてきた。


 基本的に人は敵、そう思っているソフィアは動物的直感で、リトウには懐いて(なついて)=心を開いてもいいと思いかけている。


 サナレスも師匠と呼んでいた人だと認識していて、ソフィアは素直にリトウの言葉を受け止めようとした。


「えっと。このあたりに住んでいる人達は、重い病気にかかっているんです。サナレスはそれを治すワクチン、ーーいえ薬を作ったから心配はないんですけど、まだその薬は大陸全土に行き渡っていなくて、だから人は貴族を恨んでいるんです。それで宿の店主さんは、今晩危険ですよって教えてくださったんですよ」

「ーーわからない」

 ソフィアは眉間に皺を寄せた。


「どうして重い病気が貴族のせいなの?」

「それはーーこの世界で貴族や王族って、神様だと信じられているからなんです」


 さらに深い皺が眉間に刻まれた。

「え? 貴族が神!? 神様なんているわけないでしょ?」

 そんな当たり前のことが理解できない人って馬鹿なの?

 ソフィアは頭を抱えてしまった。


 それで人から貴族が恨みを買うとは、いったいどういう了見だろうか。まるで、かつて自分が魔女だと仕立て上げられて火炙りの刑に処された程の歪みを感じて、ソフィアは口の端を歪めた。


「だから貴族っぽい私たちが、今襲撃されそうなの? そういうことかしら?」

 リトウは、うんと苦笑した。


 人間め!

 責任転嫁もいい加減にして!

 と叫び出しそうになるソフィアを、すんでのところで静止したのはワギだった。


 三人で部屋に入るなり、一つしかないベットにどかっと腰を下ろし、気怠げに半身を起こしている彼は、「諸行無常」などとわけのわからない呪文を口にした。


「沙羅双樹の鐘の音」

 ソフィアは何かの呪い、つまり呪術の類いだと思って、背筋をゾワゾワさせたけれど、ワギは何も仕掛けてこなかった。


 そしてワギは静かに言った。

「人っていうか、生命全てはね。理解できないものはまず、敵だって思ってリスク管理するんだ。自分が理解できないものに冷たいってのは、当たり前だからね。ほんっとあたりまえだ。魔女とか貴族とか、肩書き背負わされたら余計に理解されないんだから、諦めて」


 思わずソフィアは反論した。

「好きで魔女になったわけじゃない! それに好きで貴族になったわけでもない!!」

 言いかえしになると確信する。らしくもなく熱くなったソフィアに対して、ワギは「あんた、めでたいな。そんな不条理が現実なんだよ」と言葉を被してきた。


「まぁまぁ。和木君にしては珍しいよね、そんなちゃんとした意見言うの」

 リトウが間に割って入って、ワギはクールダウンしたようだった。


 そしてワギは1000年も死ねなかったソフィアに対して、一生刻まれる言葉を残した。


「人の記憶って、感情と紐づいて残るらしい。魔女として焼かれたことだけを恨みに1000年後に復活したあんたより、100年まともに自分の感情を受け止め続けた人の言葉に耳をかせよ」

「それってーー」

「だからあんたより、サナレス。それからサナレスが選んだ妹を返せ。それが正解だ」

 リトウがワギを困った顔で抑制していたけれど、リトウもワギが言っていることを否定している様子はなかった。


「ーーそうか」

 ソフィアがため息ぐらいに反応すると、ワギがさらに言ってきた。


「これほどこの宿を大切に、貴族に対しての信仰にも実直な店主には、この宿全てを買い取ることで対価を支払えばいい」

 金額はしれている、とワギが言った。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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