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魔女への文句

こんばんは。

本日も週初めから、ほちほち書き始めています。


2週間前ですが、うちの愛犬の牙が私の目にクリティカルヒットして、ちょっとの間見えない期間がありました。

ほんの1週間ぐらいですが。


目が見えないって想像以上に不自由で、そしてストレスが溜まるし、何もできないんですよね。

今の医学が発達して、そんな思いをする人がいなくなればいいな、と実感しました。

          ※


 アセス・アルス・ラーディオヌという人は、リンフィーナが知る限り、女人のように艶やかで美しく、時を忘れて見惚れてしまうような美貌の持ち主だった。

 ところが違う意味で、束の間リンフィーナは今言葉を失っていた。


「ーーアセス、何だか……大きくなった」

「身長ですか? 確かにそのようですね」

「いや、背もそうなんだけど、なんか別人みたい」

「そうですか?」


 サナレスを休ませようと、アセスは無理やりリンフィーナの手をとって、サナレスのいる部屋を退出してしまった。

 だからリンフィーナは、アセスに対して間の抜けた感想を呟いてしまったのだ。


「サナレスはーー。あれで結構落ち込んでいるんです」

 アセスはリンフィーナの合点がいかない点についてわかっているようで、二人になった時に説明をした。


「目に見えての態度や行動は何一つ変わらないですけれど、ここしばらくこの館に閉じこもって、あなたに会うとは言わなかった」

「ーーうん」

「だからああでも言わないと、サナレスはきっと自分のことを責め続ける気がします」

「うん」


 それはその通りだと思った。アセスとリンフィーナがサナレスのために動くことですら、危険だからと制止していた。自分の目が、見えていないというのに。


「でもアセス。私は冥府にも異世界にも行ったことがない。本当に異世界にはサナレスがもう一人いて、その目をサナレスに持って帰るなんてこと、できるの?」

「もう一人どころか、おそらくは何人もいます」

 リンフィーナは思考が追いつかなくて、眉をしかめた。何人もいたら、確かに一人くらいから目を取ってきてもいいのかもしれない、なんて単純に思ってしまう。


「でも、おんなじ世界に同じ人が何人もいたら、とてもややこしいわね。本当にサナレスなのかしら?」

 アセスはああ、と手を打った。

「紛らわしい言い方をいたしました。いえきっと一つの世界に、サナレスという人は一人しか存在しません。無数にあるのは異世界の方です」

「ーーそれって?」

「パラレルワールド、時系列を無視した異世界が無数に存在している。サナレスが存在している世界と存在していない世界もある。姿形も、同じとは限らないでしょう」

「じゃあ、兄様の目は?」

「この世界以外でサナレスに似た彼を探せばいい」

「無数に異世界が存在するなら、それってかなり難しい?」

「ええ」

 アセスはリンフィーナの悪い予感に、あっさりとうなづいた。


「何回でも別世界に行って、今のサナレスに適合する人を探せば、サナレスの目は見えるようになる」

 リンフィーナは唸った。

「それは、わかった。そんなチャンスがあるのなら、そうしたいと思う。ーーでも一つ聞かせて。それって合法?」

「冥府に法律なんてありませんよ。法なんて所詮、人が作った瑣末なルールですから。ーーでも冥府は、容易にそれをさせてくれない立場をとっています」


 やっぱり、そうなんだ。

 リンフィーナはアセスが実行しようとしている提案の困難さを確認したいだけだった。


「やっぱりアセス、なんか変わった。ーー前はもっと、一族にがんじがらめになっていて、こんなこと言い出す人じゃなかった」

「ああ。変わったとしたら、後悔しないためにしているだけです。あなたのことも、サナレスのことも、私は今まであまりにも多くのことに目を瞑って諦めてきたので。そういった生き方をやめたんです」


 アセスは、漆黒の美しい黒髪をバッサリと切っていた。いつも手入れされた艶やかな黒髪というより、無造作に肩上で切られた髪を揺らし、アセスは穏やかに微笑んでいた。


「ああ、でもこのままではサナレスに不戦勝で負けてしまうと言った気持ちも本心ですよ。正直に私の希望的観測だけでお伝えすると、リンフィーナあなたは実はあなた自身、つまり一人になったことはなかったのかもしれません」

「どういうこと? 私はーー」

 私だと言おうとした。けれどアセスが少し言いにくげに、話をしてくる。

「だってあなたはラバース能力の保持者で、最初は分身のレヴィーラの感情を内在していた。それから今は、魔女ソフィアを内在している。あなたがサナレスを好きなことはずっと前から知っています。でもいっときでも私に気持ちを傾けたのが、レヴィーラのせいだったのか、あるいはソフィアの気まぐれだったのか、そういうことを知りたいと思っているんです」

「ソフィアは、兄様が」

「ええ。だから本当のあなたの気持ちは?」


 即座に、サナレスにあると伝えようとした。

 それなのにこんな時に、自分の心の中でソフィアがほくそ笑んでいた。

 なんでそこで笑うかな、と腹立たしい。


「アセス、ーー私、サナレス兄様への気持ちまで疑ってしまったら、もう何を信じていいのかわからないわ」

「ーーすみません。口が過ぎました」

 それ以上、アセスは何も言わなかった。


 リンフィーナは、常に自分の人格と別の人格が常に内在している人生を送ってきた。

 でも自身の感情まで、分身の影響を受けているなんて思いたくはない。


『おまえがサナレスを異性として好きだと言い始めたのは、私が覚醒してからではなかったか?』

 自らの心に住まう魔女が、チクっと痛いところをついてくる。

『それまでは、サナレスは兄。それから好きだった男は目の前のーー』


 もうっ!

 魔女、クソ魔女!!


 リンフィーナは頭を振った。

 今はそんなことを考えるより、サナレスの目を取り戻したかった。


 冥府に行く。

 クソ魔女のあんたがどれだけ拒否しても、サナレスのために冥府に行くから。


 リンフィーナは決意を固めた。

 

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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