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冥府とつながる海

こんばんは。

また少しご無沙汰しました。

ですが書くことが生き甲斐なので、生きている限り多分書いています。


先週愛しいロードバイくで通勤していたら、信号青の横断歩道で、突っ込んできた車にはねられました。

だから突然死するってことは、なきにしもあらずなんですけど。


「どうして信号見てないかな1?」

思わず、運転手のおばちゃんに説教した次第です。


死んでたら、異世界転生でもしたんだろうか。

んーー。ごめんだな、文明的じゃない暮らし。

        ※


「あなたって人は。ーーかなり恐ろしいことを簡単に口にする」

「アセス、それはお前が、私が仕掛けたことを恐ろしいと認識する知識があるからじゃないか? 風向きによっては、海と、あっちの大陸が汚染され、アルス大陸は一部になるな。魚はとうぶんの間、食べられないだろうけれど」

 アセスに睨めつけられて、サナレスは首を傾げた。なんて気楽な対応なのかと思ってしまうほど、それは軽い仕草だった。


 アセスが過敏に反応しすぎなのでは、と考えてしまうほど、サナレスは冷静だった。

「結果、この船が爆破しない未来になったのであれば、それでいいんじゃないか?」

 軽く笑うサナレスの表情は、リンフィーナに何かしら恐怖をもたらしたけれど、何が起ころうとしたのか、まるでわからなかった。


「私は昔から、魚は食の嗜好に合わない。でもこんな大陸中央で、核を爆発させたなら、魚を食べる民には毒、ーー気の毒だよな」

 だからサナレスはその一線を越えなかった事態に安堵しているようだったけれど、科学に疎いウインジンとは違い、アセスとリンフィーナは額にジリっと汗をにじませた。


「ーーアルス大陸の王族の意見を、握手や協定で集約したいというお考えは、わかりましたよ」

 アセスの方が、サナレスに対して腫れ物に触るていで話かける。

「それで、協力体制なり、協定なりを結べたとして、これから私達には何ができるんでしょう?」


 ウィンジンが温厚で、サナレスの決意を感じ取ってくれたからこそ、対話の機会があるのだと、アセスは理解しているようだった。

「あなたが魚を食べないのは、承知していますがーー」

「そうよ! 兄様!海にはポセイオンがいるの」

 リンフィーナも、海に守りたい生命がいて、サナレスの衣服をさらに強く引っ張っていた。そのうち袖口から半身が剥がれそうな勢いで力が入る。サナレスはリンフィーナにじっと視線を向けた。


「とりあえず、ここにいる人間はお前の命に価値があると思っている。それを忘れないで、リンフィーナ」

 サナレスからそんなふうに言われて、リンフィーナはアセスとウィンジンを見回した。


「だから同じように考える私の賭けは、勝ちが決まっていた」

「わかんない!」

「だから、核なんて海にばらまく可能性はゼロだったと思ってくれ」

 アセスとウィンジンのため息が聞こえてきそうなほど、張り詰めていた緊張感が揺らぐ。


「でもソフィアが暴れたら、核どころの騒動でないかもしれないと、ここにいる皆が思っている。わかるね?」

 リンフィーナは首肯した。

「お前の中のソフィアを解放しないわけではない。でも過去の因縁から暴れさせるわけにはいかないんだ」

 サナレスの言葉が、一言ひとこと、リンフィーナの胸に刻まれていく。


「魔女裁判にかけられた、太古の魔女、それがお前を侵食してはいけないと、ここにいる誰もが思っている」

 リンフィーナはうなづいた。

 アセスが席を立ち上がる。そして真向かって話す自分の背後に立って、サナレスの言葉を聞いていた。


「すみませんリンフィーナ。私は王族の立場を捨てられずにいて、今までサナレスのように視野を広く持てなかったのです」

 肩越しにアセスが息のかかる距離にいて、リンフィーナは顔を赤らめてくちの端をむすんで、息遣いを隠していた。


 サナレスと真実の兄妹ではないと知って、180度傾いていた気持ちが、磁石さながらにどうしてアセスにふってしまうのか、リンフィーナには制御できそうにない。


「私はーー」

 何か言わないとと困り果て、アセスを見つめると、サナレスはリンフィーナとアセスの間に割って入った。


「さて。この状況でアセス、リンフィーナをかどわかさないでもらいたいな」

 そう言って真っ直ぐに海を指差す。

 長い腕が、指し示す指先までピンと伸びており、サナレスの立ち振る舞いに注目してしまう。そして程なく、その方向に視線を向けると、船よりも高い波がこちらに向かっていることが見てとれた。


「サナレス!」

 リンフィーナは「ひっ」と不自然な呼吸音を漏らしていた。


 大波になっている水の透明度は高く、波の中に大量の不純物が混じっていることを見たからだ。


 魑魅魍魎!?


 リンフィーナがなんとはなく頭の中に思ったことを、次の瞬間、アセスが言語化していた。


「レテの川が溢れたのかーー? 冥府の扉が、まさか」

 リンフィーナはぞっとして青ざめた。ソフィアが長年眠りについた場所が冥府だった。ソフィアが全身で警戒している。自分の皮膚だというのに、他人のもののようだ。全身に鳥肌が立っていた。


「サナレス!」

 兄様とすがりつきたい気持ちになったが、冥府からの使者は、おそらくはソフィアを目当てにしているようだと悟る。サナレスを頼って、彼を巻き込んではいけないと、なけなしの勇気で踏みとどまった。


 もう。この世はあの世じゃない。

 それなのにどうして冥府が海と繋がったのか!?


 リンフィーナは後退りしたい気持ちを押し殺して、風に靡く髪を片手で押さえながら、船の端に歩いて行った。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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