旅の同行者
こんばんは。
また、そろそろ書き始めます。
忙しさは相変わらずですが、書かないとメンタルゲージがゼロになりそうなので、そろそろ物語進めていきます。
長編です。
後書に読む順番を載せています。
反応とかは嬉しいです。
※
「どうしてあなた、ここに居るのです?」
ソフィアは横柄になる言葉を、必死で貴族らしい表現に変更して言い直した。
「あ、私? 私なら存在感を消してくっついてきてるので、お気になさらず。脇役です。姫君達様からすればそこらの小石と思っていただければ」
はぁ?
存在感を消していると、いけしゃあしゃあと口にする男は、完全にソフィアとリンフィーナ2人の会話を聞いて楽しんでいて、嫌な笑みを浮かべていた。
「そんなデカい図体を隠しもせず、よくも存在感を消しているなどとーー」
「おや? 姫君にしてはずいぶん言葉使いがーー」
「ーー消しているなどとおっしゃるんですわね?」
眉間に皺を寄せるソフィアに対して、リンフィーナは「大きいから、隠れていないわ」、と率直な感想を口にしてくる。
天然ボケか!
と、ソフィアはリンフィーナに毒づきたくなる。
ワギという男は名前を名乗り、空気みたいなものなので気にするなと言ったまま、完全に傍観者を決め込んでいる。興味本位にこちらを見る。聞いたらちゃんと名乗ってくるのが、更に太々しかった。
「ごめんなさい。僕たちは別に君たちのやり取りを邪魔しようとしているわけじゃないんだよ」
ワギと名乗った男の横には上背の高い男が側にいて、ずり落ちるメガネを直しながら、ぺこぺこと頭を下げていた。
「いたの?」
存在感が薄い。リンフィーナだけではなく、ソフィアですら、彼が口を開くまで2人目に気が付かなかった。
見覚えがある。
こっちの男は名乗ってこないけれど、確かリトウ・モリとかいう学者だった。
彼は本物。天然ものだ。
「和木君さ、名乗れば良いってもんじゃないよ。ちゃんとーーその、僕たちが付いてきた理由を、話すべきだと僕は思うんだけど……」
黙って女の子に付いていったら、ただのストーカーだと思われてしまうよ。
背の高い男、もう1人の天然ものは、相変わらず暴走路線をひた走っていた。
テンポの悪い会話に、ソフィアは頭を抱えたが、他の三人はマイペースだ。
「リトウ先生、もうワクチンの研究は終わったんですか? 兄様が目覚めないから、研究はリトウ先生にしかできないものかと」
リトウに比べればわりと的を得たことを問いかけるリンフィーナは、悲壮な面持ちになって質問した。
「面白いなぁ。二重人格ってこんな感じ? 初めて見るわ。秒刻みで性格、分裂してるし」
「和木君! 本当のことだとしても失礼だって。リンフィーナ、ワクチンは完成したんだ。あとは臨床実験を重ねるだけだから心配しないでね」
冒頭の部分、丸聞こえなんですけど。
そっちの方が失礼なんですけど。
「それで、どうして私達に付いて来ることになったんですの?」
ソフィアは唇をへの字にして斜め上から彼らを眺めた。
「ーーリトウ先生、でもサナレス兄様が」
「リンフィーナ、サナレスは多分大丈夫だよ。彼はちゃんと臨床実験を進められる手筈をとっていたし、彼ならばこっちに戻って来られる方程式を見つけられる」
「方程式?」
ソフィアとリンフィーナはそろって首を傾げた。
「僕も和木君もさ、方程式を解いてあっちとこっちを行き来したから。僕たちでもできるなら、サナレスならできると、僕は思う」
リンフィーナがほっと胸を撫で下ろしたのを、同じ体なので気配で察知し、ソフィアも同調してうなづいた。
うるさかったリンフィーナの意識が急に薄らぐのを、ソフィアは感じた。
本来、一つの身体に二つの魂が秒で入れ替わって会話するのは、肉体の寿命を削る行為だった。不自然な状態が続いたのは、リンフィーナがサナレスの無事を確認せずに、彼のそばを離れたソフィアに、反発し続けたから起こった現象だった。
疲れて眠る赤子のように、リンフィーナの意識は遠のいていく。
ソフィアはそれを感じ取って、更に眉間に皺を寄せて渋面になった。
「で、お前たちが付いてきた目的って?」
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「異世界で勝ち組になる取説」
「戻った場所は、異世界か故郷」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー