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カゴメカゴメ

こんばんは。

楽しみで書いています。


最近は仕事が忙しく、週一ぐらいのペースです。


皆様の反応や励まし、コメントが励みになりますので、何なりとよろしくお願いします。



        ※



「姿が見えない落札者なんて、これ金の匂いしかしねーよ」

 なぜか『カゴメカゴメ、カゴの中の鳥は、いついつ出会い』とかいう不気味な歌詞の歌を口ずさんでいるヨースケが、ふふふっと笑っている。


「異国の歌なの?」

 リンフィーナが確認すると、リトウは苦笑する。

「僕たちの故郷の歌と説明した方がいいですね。ただリンフィーナ、僕たちの故郷のことですが、サナレス殿下とアセス総帥には、すでにご理解いただいているということだけ認識ください」


 ご理解していると言うことは、サナレスもアセスも、彼らの世界に故郷に行ったということだろうか。


「ーー私も、行ってみたいわ」

 リンフィーナは真顔で言ったけれど、リトウは滅相もないと拒否してきた。

「それ、死ぬってことなんで」

 リトウはブルっと身震いしている。

「正しくは死にかけてもあり得ることだ」

 ヨースケが補足した。

 

「サナレス殿下とアセス総帥、お二人とも貴方がそちらに行かれることは全力で阻止するでしょう。万が一貴方が我々の故郷に、ーーなんてことになったら、あの個性的な人達がこぞって転生、ーーいいえ後を追っていかれるってことですよね。あっちの世界で起きる騒動を想像するだけで、僕は面倒くさいです」

 リトウがそう言い、その横でヨースケまで深くうなづくので、リンフィーナはむすっと唇を引き結んだ。


 彼らは嘘は言っていない。

 それだけはわかった。


 王族貴族の生活の中で、媚びへつらう輩には見覚えがあった。そういった嫌悪感は、彼らからいっさい感じなかった。その点に関しては、さすがサナレスが直々に言葉を交わしてきた者達といったところだ。


 話していてわかることだが、彼らの故郷はかなり文化的だと思った。おそらくはアルス大陸の貴族社会を遥かに凌駕する文明が築かれているような気がする。


 もう、私も行ってみたいのに。

 どうやったら行けるのか。仮死状態になれば行けるのならば、どの薬草を煎じて飲めばいいのだろうか。そんなことを考えていると瞬く間に時はたった。


「着きましたよ」

 姿の見えない落札者は言った。


 会話と思考に、馬車が進む先について何の警戒もしていなかったリンフィーナは、到着したその場の風景に絶句する。


「えっとぉぉ?」

 ここが到着地点なのだろうかと首を捻った。


 少しの間、頭の中を整理する。

 ランシールド一族に潜入するため、自分たちは深海に向かっていた。深海には、驚くような文明が根付いていて、人が暮らす家も、貴族の館も実存した。

 それなのに馬車が向かった先は、海辺だったのだ。


 貴族の城どころか、何の建屋も見つからない。

 海辺ってさ、砂浜と海。あと夜になっているらしい、煌々と照る月だけなんじゃ……。

 見渡す限り、滞在できる宿泊先なんて見つからない。


「えっと、私達、海底から地上に出てきてしまったのかしら??」

 砂浜なんて地上にあるものだと思い込んでいたリンフィーナは、誰に問うともなく呟いた。


 砂浜が広がる海岸を、月の光が照らしている。

 海なんてものをこれほど間近で見ることはなかった。馬車から降りて、リンフィーナは打ち寄せる水面にそっと近づいた。


「ここって……?」

 砂を踏む感覚が慣れない。靴を履いて歩くことに不便を感じ、リンフィーナは裸足になって水辺に立っていた。


 リトウとヨースケにとってはさほど珍しくはないのか、のっそりと二人も馬車から降りてくる。

「え、野宿とか嫌なんですけど。僕、虫とか苦手なんで」

「宿がないなら、今すぐリンフィーナの落札先に宿を変えよう」

 二人とも、連れてこられたこの風景にゲンナリしているようだ。


 リトウが言った。

「少し質問します、声の主さま」

 こういう時のサナレスの師匠は逞しい。

「3つほどお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 声の主は、「うむ」と了承した。


「月明かりが綺麗な、ほとんど何もない海岸なのですが、ここは地上ですか? それとも海底のままなのでしょうか?」

「海底のままである」

 そうなんだ。これは一番知りたかったことだ。

 けれどリンフィーナは少し驚いていた。海岸、それから砂浜なんて、絶対に地上だと思っていたのだ。


「海底というのは承知しました。では、我々が落札されて、今晩寝るための宿というのは、どちらになりますか?」

 目を凝らしても、海辺の大自然が広がるばかりではないか。リンフィーナ含めリトウとヨースケが落胆した視線で訴えていた。


「ご心配なく。こちらで目にしているのは海底。お泊まりいただくのは、さらに地下になります」

 声の主は安心させるように微笑みを含んだ優しげな声で、答えてくる。


「えっとぉ。さらに地下って……」

 愕然として足元の砂浜を見るリンフィーナの側に、ガサガサと動く異形の影が存在した。


「きゃっ!」

 月明かりでよく見えない。

 けれどその異形のものが動いた後に、砂浜の砂がこんもりと盛り上がっている。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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