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血祭りの間違いですか?

こんばんは。

書くことが好きで、我が人生、書くことに始まり書くことに終わればそれでいいと思っています。


でも読み手がいないと寂しいので、こちらのサイトに日々投稿しています。

反応は励みになりますので、何なりと頂きたいです。


止まっているシリーズもあるのですが、全てのシリーズは私の頭の中で連結しているので、ちょっとネタバレ的に書けていません。

あとがきに、なるべくわかるような順番を記しています。

          ※


  天井から噴水が下に向かって噴き出している広間を出て、リンフィーナ達はラン・シールド一族の民達が行き交う場所に出て行った。


「これって、市場なの?」

 リンフィーナは故郷ダイナグラムで軒を連ねる店舗を思い出して、ぼそっと質問を口にした。それにしては少し様子が違う。


 ラン・シールド一族は、相変わらず天井が海であり、太陽の光は直接海底を照らしていなかった。先ほどの広間と同じだ。海底である天井から水柱が降りており、そこに一人の男が巻き付いている。


「どうやって水柱に巻き付いているのかな?」

「よく見てくださいリンフィーナ、この部屋の天井へ伸びる水柱には、ちゃんと支柱があるようです」

 リトウは言った。


「お前ら、特にリトウはフードもっと目深に被っとけ。こっちの世界じゃ黒髪なんて存在していないようだ」

 ヨースケの言葉でハッとしてリンフィーナは辺りを見た。よく見るとラン・シールド一族の民のほとんどが、金髪か銀髪、目の色も青か紫、稀に赤い瞳が印象的だ。

「みんな色白、色素薄い系の人種だ。俺たちが一番目立っちまう」

 警戒するヨースケは、リトウのフードの前をガシッと引っ張り下ろした。


 リンフィーナはポカンと口を開けていた。

「やっぱりここ、私の血族の氏族なんだね……」

 そこにはラーディア一族で迫害された銀髪の民がたくさんいた。アルス大陸では希少になった銀色の髪が珍しくはないなんて、リンフィーナにとっては天地がひっくり帰るほど驚いてしまう。


「エルフって感じですね。美形が多いし、皆ちょっと、現実離れするほどの存在感です」

 リトウの言葉を聞いて、リンフィーナは質問した。

「エルフって妖精、つまり精霊になる前の存在ってことだよね?」

「えっと。こちらの世界ではそういう設定なのでしたか。僕にしたら、なんていうか絵の中から抜き出てきたような存在なんですよ。ほら」

 リトウは肩をすくめて、リンフィーナに視線を送った。


 その先にあったのは、確かに神話の中の一枚の絵のような光景で、皆が一様に楽しそうだった。美しいだけの存在ではない。なぜかとても楽しそうなのだ。


「ちょっと不自然なくらいだな。愛想笑いもあそこまで演じられると気持ちが悪い」

 ヨースケはちっと舌打ちした。


 確かに。

 時代の歪みから、海底深くに居住区を移し、民の大半に魚人化という病が始まっているというラン・シールド一族の民なのだ。どうしてそこまで憂いなくいられるのか。


「あ、君たちは客人かい?」

 ふとした瞬間に、一人の民に話しかけられた。


「ーーえっと、……えっと、海上から本日到着したっていうか……」

「おいっ! お前!!」

 あ。いけない。

 咄嗟のことに、正直に答えてしまった。

 ヨースケがものすごい形相でリンフィーナの腕を掴んで警戒する。しかし、ぽろっと口から出てしまった真実なんて、戻すことはできなかった。


 これはまずい状態。

「ばか! やばいって!」

「困りましたねぇ」

 脱兎のごとく逃げる準備をするヨースケとリトウの緊張が伝わって、リンフィーナは青ざめた。


 それなのにランシールド一族の民はカラカラと笑って、逃げ腰になるリンフィーナの肩に、わしっと腕を回してきた。


 ひえっーー。

 声にならない悲鳴が出そうで、リンフィーナは捕獲された事実を知る。


「いや。おどおどしているからもしかしてと思ったんだけど、地上から人が来るなんて、もう何年振りの客人だろうね」

 見た目はどう見ても二十歳前に見える青年は、サラッと何年振りだろうかなんて言って、リンフィーナを天井から降りている支柱の近くに連れて行った。


 心配したリトウが後を追い、不機嫌そうに眉根を寄せるヨースケは、微妙な間合いでついてきた。


 リンフィーナの両腕を自分の左脇にがっつり抱え込んでいる青年は、吸うっと息を吸い込んだ。そして想像以上の大声を出す。


「皆、注目!! この人達、地上から来たんだってさ」

 うわっ!

 言っちゃったよ。


 リンフィーナはうつむいて、行きた心地がしない。

 八つ裂き!?

 もしかして一斉に襲いかかられて食われるのだろうか!?


 かつて水月の宮でアセスと一緒に襲ってきた、魚人化した群れのことを思い出すと、行きた心地がしない。

 リトウやヨースケの顔を見ても、二人は血相を変えて言葉を無くしていた。


 それなのに青年はリンフィーナを見て、満面の笑みを浮かべた。

「今夜はお祭りだね」


 え?

 血祭りの間違いですか??

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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