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伸びた爪の先、一筋の光

こんばんは。

仕事終わり、余暇で書いております。


長編ですので、なんらかの反応が死ぬまでの楽しみになります。

なんでも愚直に聞きますので、何なりと。


しかし普通に暮らしてたらボキャボラリー、なかなかつかないですねぇ

あとがきには読む順番を書きました。


         ※


 伸びた爪が痛い。

 だから憎い。

 かゆいからと軽く掻いた皮膚がやぶれ、血がにじむ。


 貴族の姫君は爪が伸びていた方が装飾できて綺麗なのにな。

 物心ついた生誕祭で、貴族として装飾されたとき、色とりどりに着飾った王族貴族を見た。


 剣なんて握らなくても、と苦笑したサナレスは、優雅で美しい王族貴族の姫君になればいいと、リンフィーナには何不自由ない暮らしができるようにはからってくれていた。


 サナレスがそう願っているから、リンフィーナは極力、自分の身なりがちゃんとしていないと、と注意していたけれど、長い爪は機能性が低い。気がつくといつも、リンフィーナは指の長さまで爪を切りそろえた。


 サナレスが考える皇女の姿から、リンフィーナはずっと程遠いところにいたと思う。


 そもそも銀色の髪という疎まれた容姿で生まれた。剣を教えろといい、あげく呪術まで学びたいと言った。その上今、足首の皮膚までボロボロになってしまった。元妹であるという特権があるリンフィーナでも、こんな有様ではサナレスに伴侶にしてくれなんて言えそうにない。


 兄はモテる。

 こんな伴侶なんて、きっと嫌だろう。


 そもそも、リンフィーナには容姿に対して自信がなかった。

 幼児だった頃と比べ、サナレスと釣り合うようになったことといえば身長だけだった。


 アセスはこんな銀色の髪を綺麗だと言ってくれたけれど、ラーディア一族では異形とされているのだった。


 魔女を覚醒する器だと知れており、今はおそらく、魚人化の病にまでかかってしまっているようだ。頼るところはもうない、とリンフィーナは思う。

 いずれウィンジンの手にかかって処刑されても、仕方がないのかもしれないと落胆していた。


「ーー僕は、このまま海底を散策したいのですけれど」

 ふいにリトウが提案してきた。

「是非、この海底のシステムについて調べたいし、ここでの生態系がどうなっているのか知りたいと思っています。神殿中核に行く前に、お時間とっていただけませんか?」


 リトウの言葉に、少しだけ命が繋がったと、ほっとしているのはリンフィーナだけだったと思う。

 ラン・シールド一族の貴族に責められ、その責任を取れと命を要求されたなら、リンフィーナは拒絶する術を知らなかった。自分の命の有用性を信じることができないのだ。


 所詮、サナレスやアセスのような高貴な人達と釣り合う存在ではない。自分は彼らを、逆に困らせてしまう。


「ーー私も、可能ならもう少し、ラン・シールド一族を調べたいと思う」

「そう」

 リトウとリンフィーナの意見に、ワギはあっさり承諾した。

「だったら潜入も成功したことだし、足がつく前に、民衆にまみれてしまおう」

 そういってワギが親指で示したのは、リンフィーナ達が入ってきた反対方向に見える、人の雑踏だった。


「なんかあっちには、人がいっぱいいるだろ? 魚人化してるふうでもないしさ、民衆を観察するなら、あそこに混じるのがいいよな」

「うん!」

 心強く響くリトウの返答に、リンフィーナも大きく首を縦に振った。


「とりま、海中にいる人々がどんなふうな暮らしをしているのか、僕は知りたいからね」

 リトウが前に立つ。壊れかけたメガネの奥で笑う。白いフードを目深に被って、リトウは進む方向に足を向けた。何も言わず、それに続くのはヨースケだ。


 この二人、どうして言葉も少ないのにこれほど信頼関係を築けているのかな。

 置いていかれないように、リンフィーナは横に並んだ。


「下調べしているうちに、私たちが次に何をすればいいのかもわかるかもしれませんね」

 右横に立って歩くリトウがそう言った。彼のその言葉は、リンフィーナの思考回路が闇落ちして行こうとするのに待ったをかけてくれた。


「行こう」

 ソフィアの出生。魔女ソフィアの母が暮らした、ラン・シールド一族の現状について知ることは、リンフィーナにとっても大事だった。


 ラン・シールド一族の民達が多く行き交っている通路がそこに見えていて、リトウが道を開いている先は、とても明るく見えていた。


「うん」


 一筋の巧妙だと思った。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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