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親を訪ねて三千里

こんばんは。

長編ファンタジー。異世界転生、逆転生で書いています

読む順番は後書きに記していますので、ご興味持っていただきました方、よろしくお願いいたします。


        ※


『おまえたちはーー、私をないがしろにしていないか?』

 リンフィーナの中で行動制限をされているソフィアは、じとっとこちらを見ながら文句を言っている。

『言っておくが、私はおまえたちの敵ではない。この身体は私の体神(分身)なのに、どうしておまえが主導権をとっている……?』


 横柄な態度しか見せないソフィアが、珍しく気弱になっていて、リンフィーナはふん、と鼻を鳴らした。


「この時代では私がこの身体の持ち主なの。千年も眠っていたあなたに、そう簡単にこの身体、渡さない」

『早く寝ろ。そうすれば私が表面化できる』

「そんなこと言われて、寝るわけないでしょ!」

 ソフィアとの会話は、もはや子供同士の言い争いになっている。

 周囲のものが2人の会話を聞くことができたら、リンフィーナはまるで二重人格のように思われることだろう。ゾッとしてしまう。


「あのね、全員一致であなたの目的実行を見守るって言っているのに、いったい何が不満なの?」


 二重人格だなんて痛々しい。

 そんなふうに思われるのは、リンフィーナとしても避けたかった。


 いっそ単なる心の病気であったならよかったのに。だとしたら病気を治すことに専念するが、現状では病気の類ではない。言動も行動も、いつソフィアに入れ替わるのかわからない。


 入れ替わってしまったら呪術の能力もケタ違いになって、何をするかわからない。そして悪いことにソフィアは、強大な力を使うことを息をするように躊躇しない輩である。人の存在がどれほど消えてしまっても心が傷まない女なのだ。


『不自由だ』

 ソフィアはボソッと伝えてきた。


 自分の身体を、そう自由にされてたまるものですか。

 リンフィーナはそう反論したかったけれど、いったんソフィアの話を聞いてみることにする。


「何を不自由に感じているの? 言っておくけれど、私と身体を共存していることを不自由っていうのはなしね。ーー私だって、同じ思いなんだから」


 ソフィアは簡単には気を許さず、険しい視線の気配を感じさせたまま、リンフィーナの中であぐらをかいている。

 厳密に言えば、ソフィアのことは見えない。けれどリンフィーナにはなぜか、自分の中に存在するソフィアを、確かにいる別人格として、彼女の気配が見えているような感覚があるのだった。


 そんなソフィアは魔女として恐ろしく思う半分、なぜか憎めない。サナレスのことが好きだという共通概念は一致していて、リンフィーナはどういうわけか、迷惑をかけられる姉妹のように思い始めていた。


「えっとさ、あなたの何がしたいかっていう目的を言わないと、協力できるものもできないんだからね」

『うるさい。協力なんて不要だ。おまえはさっさと私に身体を渡せばいい』

「渡さないわよ。ーーサナレス兄様のことも、渡さない」

 そんなふうに言えばきっとソフィアは怒るだろうと、リンフィーナは予測している。ソフィアが唯一人間らしい理性を保てる理由、その鍵を握っているのはサナレスだ。


『私だって、サナレスにおまえを殺さないと誓約した。しかしーー!』

 ソフィアはだいたい、サナレスの名前を出すと混乱している。


 リンフィーナは半眼になってサナレスに叱咤する。

 サナレスは女ったらし、人たらしの類まれなる才があるとは思っていたけれど、まさか魔女までたらし込んでしまうとは。リンフィーナは吐息をついた。


「そう。サナレスに嫌われたくないなら、さっさとあなたの目的を私に話して」

『なっ何……!? サナレスのことなど、どうでも』

「話して」

 リンフィーナはソフィアに、力では圧倒的に負けている。けれど制御できそうな気がしていた。そう感じるぐらい、世界を滅ぼしたと言われる魔女ソフィアは、強大な力に相反して、精神的に幼かった。まるで子供だったリンフィーナが、兄のサナレスに盲目的に恋焦がれたような幼さを、ソフィアから感じている。


 会話の末、根負けしたのはソフィアだった。

『私は、水龍を探している。ーー私の育ての親だ』

「親?」

『私は心配している。海の中で異変が起きている。それは、私の探す水龍が弱っている。けれど弱っているとはいえ、彼は生きている』


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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[一言] めっちゃ面白いです! 続きが気になります!
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