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首ちょんぱ

あ。

サブタイトルで遊んでしまいました。

SPY×FAMILY面白いですね。


この小説は、

ーーあまり、いえ、ほとんどニーズのない、オリジナルハイファンタジーで、長編です。


読む順番だけは、後書に示します。

独りよがりにはならないように、最低限の配慮をしておりますが、あくまで作者が描きたいストーリーを書いていますので、ご理解いただける方、お付き合いよろしくお願いします。

         ※


 魔女の目的だなんて。

 よく言ったぁーー!


 殺されそうになる相手に対して、対話の中に、苦し紛れによく入れたものだ……。

 リンフィーナは自分の二枚舌に感心した。


 サナレスの妹として、ずっと兄のやりくちを見てきた。

 いけしゃあしゃあと「嘘も方便だ」とサラッと口にするサナレスと一緒にいれば、知らないうちに自分のツラの皮も厚くなってきているらしい。


 そしてサナレスがつく方便の全ては嘘ではない。多かれ少なかれ、必ず真実が含まれるので、相手はたいてい騙されてしまう。


 自分も騙されているのかな?

『リンフィーナ、お前が一番愛しい。お前にはこの先、もっともっと自信を持っていて欲しい』

 リンフィーナは兄が言った言葉を思い出し、勝手に自分毎にして、グッと息をつめた。

 考えてみれば、これって恋愛感情を口にしたのではなく、単なる励ましの言葉のようだ。


 でも。

 異性としても、自分を好きだと言ってくれた。

 ーーはず。


 そのことですら、今となっては、リンフィーナには夢のように思えてしまう。もしかするとあの言葉は、サナレスが単に自分を安心させるために言った方便だったのかもしれない。ほとんどが嘘で、何割が本心だっのかを考えると、リンフィーナの心はジクジクと痛み始める。


 ただ。

 今は、そんなことを考えている場合ではない。

 交渉相手は、未だ自分の命を手中においており、生かすべきか殺すべきかを天秤にかけていた。


 リンフィーナは呼吸を整え、落ち着いた口調で先を続けた。

「ソフィアという魔女は、どうやら、この世界を今滅ぼそうとしているものの抵抗勢力だと思っていいかと」


 世界を呪った魔女が、今でも誰彼無しに殺すことを目的にしているのであれば、世界の有識者であるサナレスとアセス、すなわちラーディアとラーディオヌ一族の総帥を殺すのが手っ取り早い。それだけでなく只今ラン・シールドの総帥であるウィンジンが目の前にいても、何ら憎しみを感じることもなく、刃を引っ込めたままでいる。


 ラーディア一族の現総帥ジウスに対しても、ソフィアからは敵意というものを全く感じることはない。


「魔女ーーソフィアと古代の因縁に何があったのかはわからないです。ーーでも今、彼女はアルス家でもランシールド一族でもない、他の一族にこだわりを見せています」

 それはリンフィーナが考える真実だった。


「他の一族?」

 だってソフィアが足を向けたこの土地は、どこに海路が通じているのか。少し考えれば簡単に理解できた。


「サナレス殿下はかなり執着していたようだ。貴方が魔女がこだわっていると思うのは、キシル大陸の氏族のことか?」

 リンフィーナは首肯した。

「そう。でもそれだけではなくて、ソフィアはこの世界で、この世界の中に開いている時空の穴みたいなものに拘りがあるように思う」

「穴? 漠然としていますね」

 ウィンジンの冷静さは、リンフィーナにとっては氷のように冷たく感じる。


 自分が生きてきた年月の数十倍、一族の長として存在した人に、自分などが意見して良いのだろうかと、戸惑いすら覚える。

 けれど怯んではいけないと思った。方便の中には、信念のある真実が必要なのだ。


「本当に、魔女ソフィアは恨みをはらすためにこの世に覚醒したのではないと、わたしは考えています。おそらく兄サナレスも同意見です。ソフィア・レニスを滅ぼしたのが魔女ソフィアでないと仮定するなら、ソフィアはまた別の目的を持ってこの世に覚醒した存在です」

 だから今、沙汰するのはやめて頂きたい!

 殺さないで!


 私も死にたくない!

 飲み込んだ言葉には私利が混じってしまうので、リンフィーナは視線だけでウィンジンに交渉した。


 その真剣さが伝わったのかどうか。

 呼吸すらできない緊張感の中、リンフィーナはウィンジンの応答を待っていた。

 もし彼がそれでも自分を魔女ソフィアごと命を経とうとしてきたら、おそらくはソフィアも臨戦態勢になるだろうし、リンフィーナも死にたくはない。命を奪い合う戦闘を避けることができないのだ。


 ウィンジンという名の一族の総帥である天道士相手に、ソフィアの力が拮抗したら、想像しただけで恐ろしかった。おそらく宿屋どころか、この港街一つが一瞬で吹っ飛ぶことは確実だった。


「サナレスは約束を違えない。それにまだ私が魔女を支配できている状況です。ーーですからもう少しご猶予を頂きたいと思います」

 リンフィーナは今にも首から上を切り取られる覚悟をしていた。それでも、一触即発の危機を感じながら、ウィンジンに首を垂れた。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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