魔女の目的が交渉材料
こんばんは。
異世界転生、逆転生、色々あってのファンタジーです。
完全オリジナルを書くのが趣味です。
長編ですが後書きにいつも読む順番を載せています。
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故郷を離れ、大好きなサナレスやアセスが居ない未開の地で殺されたら、自分の魂は浮かばれない。きっと、ずっと浮かばれない!
リンフィーナは思った。
そして千年前、魔女として十字架で火炙りの刑に処せられたソフィアの無念は、おそらくは自分の比ではないぐらいのものだったと想像できて、なぜか悲しくなる。
結局、ソフィアも自分の人生も、ロクでもない災厄に見舞われているのだろうか。リンフィーナだって弱気になる時もある。
「私が魔女になって、とんでもないことをしでかした時は、喜んで命を差し出しますから、まだ殺さないでいてほしい!」
お願い。
命乞いという懇願は、あまりにも屈辱的だった。
だから頭は下げず、一歩も引かず、リンフィーナはじぃっと相手を睨みつけた。
かつて火刑に処されながらも、世界を呪うことでプライドを保ったソフィアの記憶が、なぜか今、まるで自分の記憶のようにリンフィーナの中に深く入っていた。
「おそらく魔女ソフィアが、ソフィア・レニス崩壊を招き、ラン・シールド一族を海中深く沈めたという歴史は、単なる伝承で、真実ではありません!」
ウィンジンの冷たい眼差しの上で、わずかに彼の片眉が動く。
それを見過ごすリンフィーナではなかった。
「もし魔女ソフィアが、ラン・シールド一族を地中深く沈めた疫病神であれば、あなたに殺されても仕方がないですけれど。そうでないからこそ、この世においてラン・シールド一族を海底よりお救いしたのだと思います」
間髪入れず、言葉を繰り出す。
「ーー確かに我が一族は、リンフィーナ、そなたに借りがある。けれどサナレスの保護下にいないそなたは、いつ魔女に変わるかもしれない」
「変わらない!」
逆に自分が殺されれば、ソフィアはその土塊となった屍で、蘇ってしまうかもしれない。
「ーー私が生きている限り、好きにはさせません! ですから対話を」
リンフィーナは胸の前で祈るようにぎゅっと握り拳を作った。
「それにソフィアーー、魔女と言われる彼女は、おそらくは今何らかの目的を持って動いています」
ウィンジンの瞳がわずかに細められ、攻撃しようとしていた手が、心なしか少し下がっており、聞く耳を持ってくれているように感じられる。
「ソフィアは、どうやらサナレスを気に入っているようなんです」
あまり口に出したくはないことだったが、ウインジンを説得するためだ。
「それはーー知っている」
あっさりウィンジンが首肯して、リンフィーナは肩を落とす。
なんでウィンジンが知っているのか。
自分の意識のないところで、ソフィアとサナレスの仲はどうなっているのか。
深く考えると気分がどす黒くモヤモヤするけれど、今はそんなこと考えている場合ではない。命が風前の灯だ。
「そんな、彼女が大好きなサナレスの側を離れてまで、何かをしなければならないと思い、こちらに足を向けたように思います」
ウィンジンからスッと殺意が消える。
「魔女の目的は?」
問われた時、リンフィーナは自らの話術にしてやったりと拍手した。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「異世界で勝ち組になる取説」
「戻った場所は、異世界か故郷」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー