表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/85

暗殺者の気持ち

こんばんは。

いくらでも書けるのですが、いくらでも書く時間はない。


だらっと書くな! と怒られそうですけれど。


本年も、よろしくお願いいたします。

キャラクター本位なので、書くツールがあれば、いくらでもダラダラ書きますね。

今や趣味? 生きがい? 日課?

そんな感じです。

         ※


「おまえ! 単に私のラバース(分身)不勢だから、命の重みを軽んじるのか!? おまえは、やはり所詮道具なのだな? サナレスが大事にするから、ーー私としても、ーー多少は軽んじないでやろうと取り計らっていたが、所詮その程度なんだな!?」

 ソフィアは未だ見たことがないほど、怒っていた。


「たかだかラバース(分身)だというのに、おまえは、存分に恨みを勝っているようだ」

 ソフィアがリンフィーナを非難した。

 これにはリンフィーナも完全否定をしたかった。


 目立たず、騒がず。

 生きてきたのだ。

 ラーディア一族で有名なサナレス、その妹である皇女リンフィーナとして、銀髪という忌み嫌われる容姿以外について、兄に迷惑がかからないようにと、ずっと息を潜めるように暮らしてきた。サナレスの妹としてふさわしくはない、と言われないように、存在すら隠してきた。


 恨みを買うはずもない。

『ちょっと、私じゃないわよ。恨まれているのはソフィア、あなたでしょ!』

 魔女として処刑された自分の生存元、つまりプロトタイプの方に原因があることを追求した。


 しかしソフィアは一笑した。

 確信した上で言い切ったリンフィーナに対してソフィアは、相手が使役する水の高級精霊をねじ伏せながら、宿の部屋の中に使役者を引き摺り出した。


「こいつ。おまえの知り合いだろ? 私に咎はない」

 そうして捻じ曲げられた空間に現れ、ソフィアの勢いで壁に叩きつけられたのは、確かにリンフィーナの知り合いで、目を見張る。


 ラン・シールド総帥。

「ーーウィンジン様……?」


 荒ぶる魔女ソフィアに、室内の壁に放り投げられ、身体を追って床に尻をついたのは、リンフィーナもよく知る人物だった。いや、ジウス同様、彼も神の領域に属する存在だ。


 ソフィアが自分の身体機能を奪って、ウィンジンにトドメを刺そうとするので、堪えきれずリンフィーナは抵抗した。


 鋭い爪を伸ばし、横たわるウインジンの喉を掻っ捌こうとするソフィアの手を、リンフィーナの意識だけで制御する。腕から先が、二つの反する意思に震え始めて、命を奪おうとする爪先は空中を漂う。


 どこまでソフィアの暴挙を止められるか、リンフィーナにはわからなかった。全身に力が入り、今にも飛びかかろうとするソフィアは、宿の床を前のめりに蹴り出してでも、ウィンジンを仕留めたいらしい。


「止めるな! こいつはおまえを殺そうとした相手だぞ!!」

 手がつけられないほど怒っているソフィア、この状態をリンフィーナはなぜか俯瞰していた。


 ウィンジンに殺されかけたことは唯ならぬショックだ。

 けれど彼は、理由もなくそういった行動に出る人格ではなく、リンフィーナは流行る心を鎮めるようにした。


「対話しよう」

 それしか言えなかった。

 対話して、それでもどうにもこうにもウィンジンの殺意が消えなければ、生存本能に任せて手合わせすればいいのだと、リンフィーナも腹を括った。


 見事な銀色の髪は、リンフィーナつまりかつてのソフィアの血縁であることを物語る。

 リンフィーナ自身もウィンジンという神の一族の総帥をよく知っており、馴染みがある。


 そんな彼がどうして?

 自分を殺しに来る?


「対話しよう、ウインジン様!」

 すがるような気持ちで、リンフィーナは言った。

 ごほっと咳き込むのは先ほどまで呼吸ができず、宿屋の室内だというのに溺れかけたからで、びしょ濡れのまま肩で息をする。


 ソフィアに完全に身体を奪われれば、ソフィアとウィンジンはこの場で殺し合いをしかねない。呼吸困難から意識がもうろうとなっていても、リンフィーナはソフィアを自由にするわけには行かなかった。


 長い銀色の髪と、血液すら通っていないかのような透明感のある、白い肌。

 痩せ細った肢体に、肌けた白い衣服の男は、氷のような金色の瞳でこちらをじっと見つめてきた。

 その表情はどこまでも冷たい。


「申し訳ありません。今あなたはリンフィーナ様ですよね? ですけれどーー」

 そう言い終わらないうちにウィンジンは、左手を前に出す。


 痛いっ!

 突然、室内に異常な冷気が満ちて、先ほどまでリンフィーナ覆って溺れさせようとした水が、矢礫やつぶてのように鋭く凍って、不気味に並び、先端がこちらを向いている。


 ウインジンがそれをしていることは容易にわかり、彼が手を下ろすと同時に、氷の刃は容赦なくリンフィーナに飛んでくると想像できた。


『だから言わないことはない。殺してしまおう』

 毒づくソフィアの出現を、リンフィーナは必死で止めていた。


「待って! ウィンジン様、少しでいい。話したい」

「話すことはない。ここにはサナレスがいない。ラーディア一族は、約束を違えた」

 問答無用で、尖った氷が矢のように飛んできて、リンフィーナは横の机を蹴った。机を盾にするのでやっとだが、それで全てが防げるわけではなく、左肩の皮膚が裂けた。


 ソフィアは自分への攻撃を防がない。

 気がついたことがあった。

 ソフィアは痛覚がどうかしている。

 リンフィーナにとっては痛みで思わず悲鳴を上げそうになったけれど、ソフィアにとってはかすり傷であるようで、彼女はリンフィーナの中であぐらをかいてほくそ笑んでいる。

『痛いなら、私と入れ替わって、こいつを始末させるんだな』


 リンフィーナは机の裏側に身を隠しながら、ぐっと歯噛みした。

『でないと死ぬけど。あ、死んだらこの身体は私のモノか』

 冗談ではない!

 ソフィアの言葉が物騒すぎて、リンフィーナは焦っていた。

 ソフィアの言葉はウィンジンに聞かれているはずもないのに、さらに氷の刃が飛んてきて、ウィンジンが言った。


「心配しなくとも、魔女が蘇生できないほど木っ端微塵に消してやる」

 盾にしている机が、無数に飛んでくる氷の刃にいつまで持ち堪えられるのか。


 ひえっ。

 こっちの方が物騒かもしれない!

 尖った氷が、木の机を削り始めている。

 リンフィーナは頭を抱えてうづくまった。


「ウィンジン様!! お願い」

 殺さないで。

 まだ死にたくはなくて、リンフィーナは叫ぶ。

 死にたくない。

 それに、もうこれ以上、ソフィアに人を殺させたくもない。


「サナレス兄様は、約束を違える人ではありません!!」

 だから信じて欲しい。


 相手は神様。

 願うことを諦めず、リンフィーナは両手を胸の前で組み合わせ、もう一度言う。

「サナレス兄様はラーディア一族の次代の神です!! 嘘などつくわけがない!」


 少しだけ、攻撃の手が弱まっていくの手応えを感じることができた。

 ここですかさず、リンフィーナは机の陰から立ち上がり、丸腰のままウィンジンに向かい合った。これで殺されてしまったら無念だけれど、自分の身体をソフィアに自由にされるくらいならば、これでいい。


「話を聞いていただけないなら、木っ端微塵、歓迎しますから!」

 怖いからぎゅっと目を瞑ったままで、大きく横に両手を広げ、的になる覚悟をした。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ