表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/85

突然死ぬかも

こんばんは。

書くのが好きで書いていますが、

なかなか進展しないことも、ままあります。


そういう異世界ファンタジーでも、ブログのような小説。

受け入れられる方、反応お願い痛hします。

        ※


 ワギ・ヨースケという男、もしかすると悪い人ではないかもしれない。サナレスが師匠と認めたリトウ・モリと同郷のようであるし、サナレスとも旧友の関係になるらしい。


 目つきは悪い。

 リンフィーナは眉間に皺を寄せていた。

 身にまとう雰囲気も、真っ当ではなさそうだ。

 けれど、どうやら敵ではない、とリンフィーナは彼が用意した氷袋で手首を冷やしながら、そう思った。


「今日は僕たちがこのまま、交代で見張りをするので、リンフィーナは休んでください」

 リトウにうながされて、リンフィーナは最初に宿をとった部屋に戻るよう、うながされた。

 リトウとワギ2人は、部屋の外で声をひそめて、会話している。普通ならば聞こえない音量での会話のはずである。けれど魔女ソフィアが身体の中に目覚めてから、リンフィーナの聴覚も鋭い。部屋の寝台に寝転がっていても、意識を集中すれば、2人の話していることが聞こえてきた。


「今回の天災、そしてラーディア一族ジウスによる意味不明の鎖国があって、民衆の貴族に対する信仰がなくなっているな」

「ジウス皇帝がラーディア一族の総帥がいきなり鎖国し、サナレス殿下ですらラーディア一族をどうすることもできないんだよ。ラーディオヌ一族の総帥、アセス皇帝も、私的な理由で魔導士になった嫌疑をかけられ、不信感、買ってしまってるでしょ? それにここのところ立て続けに起こる地震もやばいし、この町では魚人化までーー。終期末ってこんな感じ??」

 そう言ってリトウは吐息をつく。


「せめてーー」

 サナレスがラーディア一族で存分に権威を振るえる立場に戻れば、とリトウは思っているようだった。リトウが話す口調には聞き覚えがない。旧友に対しての気やすさゆえかと思うが、ところどころ、リンフィーナには聞いたことがない方言だった。


 ワギは、「せめてアセスがーー」ラーディオヌ一族の揺るがない存在で鎮座し続けられていたらなぁ」と呟いていた。


 リトウもワギも、リンフィーナが最も大切にしている2人、サナレスとアセスを頼りにしていて、だから今彼らが自分の側にいてくれていることを感じ取った。


 リンフィーナは寝台のうえで唇を噛んで膝を抱えた。

 未だ、サナレスとアセスがいなければ何もできない自分がいる。そのような肩身の狭さなのに、ソフィアに呪われている間、自分ですら制御できない。自分の身勝手な行動に辟易していた。


 ふと、部屋に常設されている、高級品ではない調度品に目が入った。鮮明には姿を映さない。曇った鏡に、自分の姿が映っていた。

 それでも銀色の髪、蒼い双眸は、確認できた。子供の頃からとても嫌いな自分の姿だ。


 鏡の向こうに、人間ではない魔女の異形の姿をした自分がいて、リンフィーナは萎縮した。

 あなたは、いったい何を望んでいるの?

 萎縮しながら、リンフィーナは鏡の向こうのソフィアに手を伸ばした。


 身を起こして立ち上がり、近づいて触れた鏡。

 手の感触はただの鏡だった。ただ指先に伝わる感覚は、冷たい。

 

 そこに、コンプレックスだらけの自分がいる。

 嫌いな銀色の髪。


 リンフィーナが魔女と言われるソフィアに手を伸ばし、対話しようとしているその時に、圧倒的な力がその場を覆った。


 身の毛がよだった。

 何が起こったのか!?


 一瞬で、空気の密度が薄くなった。

 呼吸すら、できなくなる。


 え?


 空間は何も変わっていない。

 宿屋の一室でしかない。


 それなのに一瞬で水の中に沈められたかのような圧を感じ、全身を捕らえられた。


 息が、苦しい。


 なぜか襲撃は、もうないと思っていて、油断していた。

 扉の外にいる、リトウとワギは未だ会話を続けていた。


 異変に気づいてもらえていない!

 自分がいる部屋の中だけが、侵食された。圧倒的に力が強い水の聖霊の力を感じる。高級精霊を使役する何者かによって、扉一つ隔てたこの部屋と外を分断された。襲われたのだ。


 酸素が薄くなり、意識が遠のく。

 誘拐される。

 過去の記憶をたぐれば、ラーディア一族の皇女として誘拐は何度も経験してきたことが、今また起ころうとしていた。


 誘拐されると酷い目に遭う。

 それは何度か経験して、わかっていた。

 無力な自分があがらえないことも、同時に悟ってしまっている。


「サナレス兄様……」

 弱気になると、すぐに子供の頃の自分に意識が戻ってしまった。絶対的な存在である兄サナレスに手を伸ばそうとしてしまう。


 苦しいよ。

 兄様。


 不遇な境遇を受け入れ、ただひたすらサナレスに助けを求める。

 そうして待っていると、きっと兄は来てくれる。

 信じていた。

 かつて一度も裏切られることはなかったから、経験が確信になっている。


 幼い頃、どれほど苦しくなっても、サナレスが抱きしめてくれて頭を撫でてくれて、背中を支えてくれていれば、いずれ眠ってしまうほどに安心した。


「リンフィーナ」

 呼ばれる声は、なぜかこの時サナレスではなかった。


 リンフィーナはずっと水の中に閉じ込められた苦しさを味わった。

 苦しい、苦しい!

 死ぬ時は、1人だとわかっているけれど。

 苦しい!


 おぼれて、死ぬと思った。意識が遠退きそうになる時に、自分の中のソフィアは、死に対して抵抗した。


「リンフィーナ、おまえ! 何のつもりだ!?」

 ソフィアが一言発した瞬間、水の精霊の全ては恐怖心からソフィアに従った。

 急に呼吸が楽になった。

 リンフィーナは咳き込む。


        

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ