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人を殺すという禁忌

こんばんは。

書きたい物語を書いている、異世界転生、逆転生の長い物語になります。


あとがきに読む順番を記しております。

反応は延命になりますので、よろしくお願いします。

死ぬ直前に終わらせられたら、といううのがベストですね。

        ※


 天道士という術師に焦がれて、地道に呪術の道を極めようとした。

 けれど天才と言われる剣士の兄がいて、剣術を学んだ時期もあった。


 姫君として学べることは少なかった。けれどサナレスはリンフィーナのやりたいと言ったことを全て許容してくれ、皇女として学べることの領域を超えた。だから咄嗟に反応できた。

 リンフィーナは身を屈め、武器になると集めた尖ったナイフやフォークの類のカラトリーを投げ、相手の戦力を削っていった。

 力技でかかってくる相手には、身を交わし、この時味方と認識したワギという味方に対応してもらう。


 ワギは動きが早い。そして扱う武器が細くて軽く、鋭い剣だ。サナレスが愛用している一本の剣に、刀という別称がついた貴重なものがあったけれど、ワギが扱う刀はそれに酷似していると、リンフィーナは思った。


 瞬間的にソフィアと入れ替わったため、かなり思考回路をフル回転させて対応したと思う。

 ワギと最前線に立った時間は、当事者である2人以外の人がカウントしたなら、ほんの数秒の時間だった。


 圧勝。

 倒れた敵は13名だった。


「ふうん。サナレスの妹か」

「もう妹ではありません。ーー伴侶……です」

 ワギの言葉に、リンフィーナは答えていた。そう言って照れる。

 妻と言いたいところだが、それは恥ずかしくて言えず、ゴニョゴニョと口ごもった。


 最初の襲撃を受けたリトウの傷以外、ワギは無傷で、遅れて加勢したリンフィーナも無傷のままだった。

 荒くれた人の民の暴動を、誰1人、命を奪うことはせず難を逃れたのだ。


 戦闘不能になった民を縄で縛り上げたのは、血だらけのリトウである。

「あーぁ……」

 飛び散った惨事の後を、恨めしい視線でワギという男にむけている。


「殺してねーよ。お前との約束は、ずっと守ってる」

「そうだね。ーーだから僕、和木君には何も言ってないよ。ーーもしここでソフィアさんが起きてきて、この人たちが自由だったら、ソフィアさんが殺しかねないでしょ? 一応和解できるまで、行動制限をかけないとさ。それだけ」

 そう言いながら、テキパキと敵を括り、あげくには食堂の片付けにまで着手している。


「あのぅ」

 リンフィーナはソフィアとして人格が入れ替わっている間のことも分からないので、どうしてこんな事態になっているのかを知りたかった。


「どうして私たち、襲われているんですか?」

「必然」

 即座にそう答えたのはワギという男で、人を切った刀を丹念に拭いて手入れしている。不親切な回答だった。

 ワギは人の傷よりも刀という武器が大事そうで、人として、彼の人間性の危うさを察知し、リンフィーナはこれ以上関わりたくないと思ってしまう。


 ちゃんとした答えをもらえそうなのはリトウ先生だけだと考え、リンフィーナは困惑した視線をそちらに向けた。


「襲われた理由については、分析して見ないとわかりません。今から十三名の方の意見を徴収して、科学的に考えないと。でもっ!早くこの方達を解放しないと、それはそれで問題です」

 そう言いながら、リトウは縛り上げた13名に気遣いを怠らず、神経を使っている。


「酒など飲まれていない方から順番に解放致しますので」

 すみません、すみませんと言いながら、リトウは襲撃者に頭を下げて拘束していた。


「モリ……。このような事態、サナレスならどうしたか、考えにはないのか?」

 ワギが残念そうに、リトウ・モリに問いかけていた。

「人も動物。獣になることもあれば、それを粛清する」

 リトウではなく、サナレスの言葉はリンフィーナが容易に想像でき、そして代弁した。


 縛りあげた狼藉を働いた者たちが、リンフィーナに対して怯えた顔をむけていた。

 リンフィーナは少し笑う。

 笑った分だけ、ソフィアの残酷さを受け継いだ気がしていた。

 サナレスもまた、運命を受け入れてきたのだと、確証があった。


「リトウ先生、ワギさんが弱くて、私達が戦わなければ、この者たちは躊躇なく我々の命を奪ったのです」

 リンフィーナは手の中に風の精霊を集めていた。


『お前は人を殺めるな』

 サナレスはリンフィーナにそう伝えてきた。

 いつも手を汚すのはお前を守る者の役割だと言った。


 違うと思った。


 正直リンフィーナだって、命を奪うことへの抵抗感がなかったわけではない。

 けれど自分は魔女と一体化して、すでに多くの人の命を奪った。奪った命の上に、生きているのだった。


 ナイフを逆さに、双剣のように握り直して、リンフィーナは罪を犯す覚悟をした。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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