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突然入れ替わって

こんばんは。

楽しみで書いています。


異世界転生、逆転生の長編です。

最近はなるべく読みやすいように書くということを意識しています。


でも古い人間です。

なるべく頑張りますネ。

        ※


 えっ!?

 

 二重人格に慣れつつあるとはいえ、最悪の時に入れ替わってしまったのではないだろうかと、リンフィーナは青ざめた。

 右手にスプーン、左手に飲料を注いだグラスを持っており、目の前には空になった皿が置かれていた。


 視覚情報は平和な食事風景。

 けれど聴覚情報は。


「伏せて!!」


 ええっ??

 どういう状況かと思いながら、ソフィアと入れ替わったリンフィーナは咄嗟に机の下に身を屈めた。


 自分の頭の上を、すんでの所で斧のような鉄製の重いものが飛んでいき、すごい音で背後の壁を破壊する。戸棚の中には多くの陶器の皿やグラスがあり、ぶち込まれた金属に砕かれ、尖った破片が飛んでくるという惨事だった。


「うわぁ」

 かろうじて自分の後ろに背の高い男の人がいてくれて、飛んできた破片は全てその人に突き刺さっている。


「大丈夫? ソフィアさん??」

 リンフィーナは確認され、その声の主に心当たりがあって、自分を庇う格好になった人を見上げ、ギョッとする。


「えっと! リトウ先生!!血だらけです!」

「そうですねぇ」

「そんな呑気な……」


 サナレスの師匠はリンフィーナにとっても先生で、リンフィーナは焦る。

 それなのにリトウはニコッと笑って、血だらけの顔でこちらを覗き込んできた。


「ーーああ。リンフィーナ様、あなたなんですね?」

 リンフィーナは息をするのも忘れて、首を振るだけで意思表示する。


「ちょっと襲撃されておりまして。でも和木くんがいるので、安心してください」

 誰?

 ワギクン!?


 机の下に隠れながら、リトウが見つめている先をリンフィーナは目で追った。


 時刻は夜。

 いくつか壊れてしまった照明の灯りを頼りにする他なく、リンフィーナは目を凝らした。

 そこには、細い閃光がキラキラと縦横斜めに光っている。


 敵は何人いるのかーー?

 何度か命を狙われた経験もあり、剣術を習ったリンフィーナは、咄嗟に状況判断をして動くことはできていた。

 敵対しているのは十数名だ。

 それから味方は、リトウ先生と、ーー最悪だ。たぶん味方は、あと1人だけのようだ。


 リンフィーナは呼吸するのも忘れるほど緊張して、全身の毛を逆立てた。


 けれど一瞬の茫然自失は命取りになる状況は理解し、ここで自分の命、つまり身体に危険が迫れば、ソフィアが敵味方なしに、半径どれほどの距離を一瞬で廃屋と化すのかを想像してしまい血の気がひく。


「全くさ。私が金を払って買い取ったっていうのに、無粋なんだよなー。これだから嫌なんだよ。未開の猿どもって」

 唯一味方として数えた大柄の男は、かなりの手練れのようで、1人でも数人の敵を一瞬で倒している。見たところたった3人であっても、戦況は悪くないようだった。


 けれどリトウ先生は、血をダラダラ流しており、戦闘能力は皆無だった。敵に向かっている味方も1人しかおらず、リンフィーナは状況判断した。

「リトウ先生、これ回復薬です。飲んでください。止血する効用もあります」

 サナレスのために薬師を目指した黒歴史もあり、リンフィーナは薬を常備しており、ソフィアはにもそれを捨てられることもなかった。だから瞬時に取り出して、渡すことができる。


 あとは剣なのだ。

 これは、手元になかった。


 リンフィーナは自らの身体を守るために、常に短剣は忍ばせていたけれど、魔女はその強大な魔力ゆえに、剣のことを軽んじており、リンフィーナと入れ替わっている間に、武器である剣をその身から外してしまっていた。


「リトウ先生、私もあそこで戦っている方に加勢します。ですので先生は薬飲んでこちらで」

「ええっ!? ダメですよ、リンフィーナ様!!」

 リトウが静止するよりも早く、リンフィーナは散らばったカラトリーの中から、数本のナイフと肉をさばくための少し長めの包丁に狙いを定めた。

 机の下から、斜めに床を蹴って、それらを右手左手に握りしめる。


 兄サナレスに憧れて、長い間大剣を扱う自主練をしていたのだけれど、結局サナレスに苦言を言われた。

『体重が違う。だからお前はその身の軽さで、扱いやすい武器で戦うことに利があるよ』

 サナレスでさえ、巨漢の武人と戦った時は、スピードで戦うのだと言っていた。

 剣はないけれど、軽くて扱える武器なら落ちていて、リンフィーナは武器を選定した。


 敵、とは言っても、自分たちを襲っているのは一般人のようで、リンフィーナは急所ではないところにナイフを投げ、戦闘能力を奪うことに注力した。


「リンフィーナ!」

 リトウが飛び出した自分を止めようとしてくれているのだけれど、すでに前線に出てしまった。


「ワギさんって言った?」

「ええ」


 背中を守ることが得策という状況が生まれ、ソフィアはワギというガタイのいい男と近づいて、敵を見据えたまま会話を交わすことになった。


「できうることなら、庶民を殺さないで欲しいのだけれど」

「もとより、そのつもりですよ」

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

「戻った場所は、異世界か故郷」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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