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日本が沈没へと向かう日3

 武は教室の隅で高取と何やら話していた。

 武の隣の麻生もこの時ばかりは沈みがちな顔だ。

「明後日には辿り着いているわ」

 高取は机に広げたタロットカードから一枚を引いた。

 世界のカードである。

「俺が、どこかの神社に行くのか?」

「そう、そうしないと世界が……終わるのよ。私の占いの的中率は知っているわよね。ねえ、武さん。でも、あなたはこれから大きな力を得るの。その存在していないはずの神社で……」

 高取は世界のカードを目を瞑って無造作に引いていた。

「何度引いても昨日から世界のカードを引いてしまうの」

 それから、高取はおかっぱ頭が左右に揺れ、独り言のように呟いた。

「……スケベ」

「は?」

「明後日? そういえば高取さん。明後日は日曜よ。いくら何でも学校は休みよ」

 麻生は疑問をていし少し肩を傾けた。その先にはいつまでも武の肩があるかのようだ。時と場合を気にしない。そんな二人である。

 高取の手は少し震えていたが、麻生と武は至って平然な態度でタロットカードを見ている。

 突然にブルブルと震えだした高取は、深呼吸をして、またカードを引いた。

 そのカードは、やはり世界だった。


 高取 里奈は机の下へとタロットカードをしまうと、一人溜息をついた。

 どうやら、高取も武のことを好いていると思われる。

 いつもは、静かにしているような態度で、感情というものを外へと出さないが。ここから見ても武を見る目は少し違っていた。

 麻生とは中学の頃からの親友だった。

 何を考えているのかわからない性格で、教室で遊び半分に麻生を占い。将来、武と結婚すると占ったのがきっかけだったが、それから高取は武の占いを密かに頻繁にしているようである。

 不穏な未来が読めたのであろうか?

 それとも、ただの興味か?

 武にやはり好意を持ったのであろうか?

 もうすぐ下校時刻なので、高取は最後の授業を受けたようだ。


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