エピローグ
「それで武君が……竜宮城の住まう惑星へ?」
「ええ、そうなの。これで命には別状はないわね。すぐには戻れそうもないけど……」
宮本博士と高取はグラウンドで晴れ渡った空を見上げていた。
鳳翼学園からはすでに、生徒やその父母、教師たちが家へと帰って行った後である。天鳥船丸や虚船丸らも帰り支度であった。
ここからでは湯築と麻生と卓登の姿は見えない。
「実は、こうなってしまうことを私たちは予め知っていたんだよ……」
宮本博士はぼそりと言って葉巻に火を点けた。
高取は眉間に皺を寄せたが、何も言わずに頷き。続きを急かした。
「あ、そうですね。学園都市の研究所で深海探査をしていた時に、海の底に一人の女性がいたんですよ。その時は驚愕したのですが、誰かなー? て、思った時に……」
痩せすぎといえる研究員が言ったのだ。
小太りの研究員はしみじみとした顔で、その痩せた研究員の言葉を引き継いだ。
「英雄は死に。二度生き返る。そして、星に生き星で生きながらえるだろう。って、言ったんです。海の底ですよ。そこは。その女性が言った言葉がよく聞こえたから、みんなびっくり仰天しちゃって……今までおぼろげだったけど、確かに覚えていたんだよ。まあ、ぼくは今でも信じてないけどね……」
小太りの研究員は高取にコーラを渡して微笑んだ。
「大丈夫さ。惑星から無事に帰って来るってさ。麻生ちゃんの元に……」
「そう。武の旅はまだ始まったばかりなのね……」
ここは遥か遥か地球から離れた宇宙の彼方。
幾ばくかの月日が経ったようです。私は玉座で高取さんの言葉を聞いていたように覚えています。
水の溢れた地球の水を適度に渦潮から本星に流せばいいと、それならば地球温暖化とやらで全体的に増した地球の海水も元通りになる。と。
「地球の余分な水を惑星へ流せばいいの。それで万事丸く治まるわ」
その後、地球にいる人類の寿命が延びたようです。
麻生さんには私から伝えておくとも言っていました。
皆んなでよく相談し、武の命を案じて本星で武の治療をすることになりました。なぜなら治療が不可能とまでなってしまった命を生き返らせなければならなかったのです。
こうするしかなかった。例え治ったとしても、本星は遠い宇宙にあります。地球へと戻るには何年もかかるでしょう。渦潮で戻すにしても人の身体が持たない。浦島太郎と同じ末路です……。
でも、タケルなら……。
高取さんから聞いたように思います。麻生さんはいつまでも待つといっていました。
両親は二人のため祝言の準備とか……。
本星は前よりはだいぶましになりました。
もう水が失なわれることはないと……思いたい。




