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水の失われた神々  作者: 主道 学


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暗き海3

 一方。ここは現在の鳳翼学園の昼の12時30分頃。


 武たちが東京へと向かっている間に、事態は刻一刻と変わっていたようだ。

 鳳翼学園の周囲に巨大な渦潮が現れている。その渦潮からは、どう見ても1000歳は軽く超えている龍が数十体も昇って来ていた。 

 学園内の2年D組には、宮本博士が頭を抱えていた。

「早速、本格的な人払いか……」

「宮本博士。あの巨大な龍をどうしますか? 弾丸は効きません」

 田嶋が厳つい顔をこわばらせた。

「あの……装甲弾では、どうでしょう?」

 2年D組の窓の付近で皆、宮本博士たちと自衛隊が集まっていた。

 かなり細い研究員が言ったのだ。

「あるにはあります……けれども……有効かどうかは……」

 ハッとした田嶋はすぐに本部へと連絡を入れるために動いた。

 考えるより、まず行動である。

 

 晴れ渡った空の下。


 装甲弾と催涙弾の重装備の応援のヘリの大軍が鳳翼学園へ着く頃には、日本刀や槍を持った高校生や巫女たちが龍と果敢に戦っていた。空には大船が幾つも浮かび上がり。雨雲が所々、意志があるかのように漂っていた。

「武!」

 麻生が叫んだ。

 そう、武たちが龍と戦っていたのだ。

 龍の息の根を次々と止めている武たちに、鳳翼学園からは凄まじいまでの声援が送られている。

 それを見ていた卓登は歯ぎしりのし過ぎで真っ青な顔になっていた。当然、道という字が好きな卓登には武たち羨ましくてしかたないのであろう。

 学園内の宮本博士や自衛隊は、信じられないものを見たかのような驚きの眼差しをしていたが、ここぞとばかりに熱い声援を送っていた。

 武が1000歳以上の龍を一刀両断にした。

 鬼姫は神鉄の刀で大津波がでるほどの横薙ぎをし、龍を数体始末した。海上を歩き。時には飛翔する武たちを目の当たりにして、鳳翼学園の生徒や生徒の父母たちの中には、夢を見ているのだろうかと目を擦るものもいた。

 虚船丸からも海上を歩ける巫女や大人たちが刀を振るう。

 まるで、戦であった。

 波を飛び越え、海面を走り、龍をはふるのである。

 湯築も一際長い槍で龍の心臓を穿ち、高取の落雷も龍を灰塵と化せるようになっていた。

 海の上での激戦の最中。

 武が麻生を探していた。

 その時、学園の二階の麻生と武は目が合った。

 二人はしばらくじっと見つめ合っていたが。

 すぐさま麻生がこくりと頷いた……。


 あの戦の後、地姫の提案で、虚船丸を幾つか鳳翼学園へ残すことにし、武たちは再び旅立った。

 鳳翼学園では大歓声の中。廊下の窓際で麻生と卓登が空を見上げていた。

 かれこれ武たちの戦いは一時間もの激戦であった。

 空は晴れ渡り、健やかな風の海には、龍の脅威も綺麗に退けられている。

「また、旅に出るって……」

「え? いつの間に話したんだ?」

 卓登はしきりに首を傾げている。

「なんとなくよ。さあ、2年A組へ行きましょ。空飛ぶ船から色んな人が来ている」

 麻生は再び、空を見上げてから2年A組の教室へと歩いて行った。 

 2年A組の教室のベランダの近くに、大波に揺れる虚船丸が浮かんでいる。

先ほど戦いの渦中にいた一人の巫女と、武士の恰好をした大人の男二人が、大船からベランダへと梯子を使って降りて来た。

 空に浮かぶ幾つかの虚船丸からには大勢の大人の男が鳳翼学園の2年D組へと貴重な素材である神鉄を降ろしている。

 地姫の宮本博士や研究員たち、自衛隊のための配慮だった。

「はじめまして、本堂と申します。先ほどは危ないところを助けて頂き本当にありがとうございました」

 本堂先生が巫女と二人の武士に深く頭を下げている。

「お気になさらないで下さいね。それよりも」

 巫女が微笑んで頭を下げてから、そっと人を探し始めた。

恐らくは、この三人は存在しないはずの神社の代表なのだろう。

 本堂先生やそれぞれのクラスの担任。自衛隊や宮本博士たちが集まった廊下であった。人々のひしめき合うその場所で、巫女は麻生を探していた。

 その巫女は地姫であった。


 天鳥船丸では、鬼姫が遥か下方の鳳翼学園の二階。そう、麻生の方をキッと唇を噛み悔しそうに見ていた。きっと、やきもちを焼いているのだろう。

 鬼姫にとっては、最大のライバルである。


「武様。絶対、今日も一緒に寝ましょうね!」

 鬼姫はニッコリ微笑んで、武の腕に抱き着いた。

「はっくしょん! さあ、行こう!」

 武は照れ隠しにくしゃみをすると、すぐさま鬼姫を連れて操舵室へと向かったようだ。

 もうすぐ東京であった。


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